結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第七章 最初で最後の旅行

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残り三日間、彼との別れなんて忘れてひたすら楽しんだ。
それに……。

「純華」

「えっ、あっ、んんっ」

一緒にプールで遊んでいたら、すぐに紘希が悪戯してくる。

「もう感じてる?」

それに黙って頷いた。
そうしないと私が頷くまで紘希はやめてくれないし、それに実際、感じていた。

「寝室、行く?」

それにまた、黙って頷く。

「じゃあ」

先にプールから上がった彼が手を差し出してくる。
それを借りてプールから出た。

「イブキはもうちょっと、ひとりで遊んでようなー」

紘希がイブキに声をかけ、ふたりで寝室へと向かう。
もう待ちきれなかったみたいで、中に入った途端、いきなり押し倒された。

「……がっつきすぎ」

「純華が可愛すぎるのがいけないんだぞ」

なんて謎の言い訳をしながら、紘希が唇を喰ってくる。
あれからなにかとすぐに紘希はこうやって誘ってきた。
さすがに、イブキの前ではしないみたいだけれどね。



帰る前日、イブキを連れてふたりで海岸を散歩した。

「純華」

「なに?」

立ち止まった紘希が振り返り、じっと私を見つめる。

「俺は純華を愛してる。
それはたとえ、純華が犯罪者だったとしても変わらない。
世界中の誰もが純華の敵でも、俺だけは純華の味方だ」

こんなに真剣な顔をして、紘希はなにを言っているのだろう。
彼の手が伸びてきて、私を抱き締める。

「……覚えておいて」

誓うようにきゅっと一瞬、彼の腕に力が入った。
離れた彼が、淋しそうに笑う。
それは信じてもらえなくて傷ついているようで、私の胸まで痛くなった。

「紘希……?」

「あーあ。
またあさってから仕事かよ。
このままずっと、ここで純華を可愛がっていたいなー」

今までの深刻な空気が嘘のように、急に紘希が明るい声を出す。

「いや、可愛がられるのはちょっと……」

歩き出した彼を追う。
それはまるで追求は許さないようで、それ以上聞けなかった。
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