30 / 129
第5話 これって軟禁?
1.新しい習慣
しおりを挟む
「Guten Morgen,Mein Schatz(おはよう、マインシャッツ)」
目を開けると、金髪が飛び込んできた。
ちゅっ、唇にふれたそれに、一気に目が覚める。
「おはようございます……」
起きあがったもののまともに顔を見れない朋香に、くすりと尚一郎がおかしそうに笑った。
「準備ができたら降りておいで。
朝食にしよう」
「……はい」
ちゅっ、今度は額に口付けを落とすと、尚一郎は部屋を出て行った。
……はぁーっ、大きなため息が落ち、そのまま朋香はベッドに崩れる。
毎朝これだなんて、耐えられるんだろうか?
尚一郎の生い立ちを聞いてから、朋香は態度を少し、改めた。
一緒のベッドで眠るくらいはしてもいいかと思ったものの、その夜。
「尚一郎さん。
その、あの、……夜、」
「ん?
もしかして朋香、一緒に寝てくれるのかい?」
ぱぁーっと尚一郎の顔が輝き、見えない尻尾がばたばたとうるさく振られているわんこモードで見られると、一気に気分が萎えた。
「寝ませんから!」
思いっきり否定した瞬間、後悔した。
別に、そんなことが云いたかったわけじゃないのだ。
「そうかい。
じゃあ、僕からひとつ、お願いをしていいかな」
尚一郎がにっこりと笑って、意外、だった。
きっといつものように落ち込むんだと思っていたから。
「お願い、ですか」
「うん。
朝は、僕に起こさせてくれないかな。
そして夜は朋香が眠るまで傍にいさせて」
するり、尚一郎の手が頬を撫で、レンズの奥の目が眩しそうに細められる。
「それくらい、なら」
だいたい、一緒のベッドで眠っていいと云うはずだったのだ。
これくらいは容易い。
「よかった。
これで、朝起きて朋香が一番初めに見るのは僕だし、夜、最後に見るのは僕だね」
ちゅっ、頬にふれる唇。
……どうして尚一郎はいちいち、恥ずかしいことをしたがるんだろうか。
熱くなった顔で黙ってしまった朋香にちゅっ、再び尚一郎が唇を落とした。
目を開けると、金髪が飛び込んできた。
ちゅっ、唇にふれたそれに、一気に目が覚める。
「おはようございます……」
起きあがったもののまともに顔を見れない朋香に、くすりと尚一郎がおかしそうに笑った。
「準備ができたら降りておいで。
朝食にしよう」
「……はい」
ちゅっ、今度は額に口付けを落とすと、尚一郎は部屋を出て行った。
……はぁーっ、大きなため息が落ち、そのまま朋香はベッドに崩れる。
毎朝これだなんて、耐えられるんだろうか?
尚一郎の生い立ちを聞いてから、朋香は態度を少し、改めた。
一緒のベッドで眠るくらいはしてもいいかと思ったものの、その夜。
「尚一郎さん。
その、あの、……夜、」
「ん?
もしかして朋香、一緒に寝てくれるのかい?」
ぱぁーっと尚一郎の顔が輝き、見えない尻尾がばたばたとうるさく振られているわんこモードで見られると、一気に気分が萎えた。
「寝ませんから!」
思いっきり否定した瞬間、後悔した。
別に、そんなことが云いたかったわけじゃないのだ。
「そうかい。
じゃあ、僕からひとつ、お願いをしていいかな」
尚一郎がにっこりと笑って、意外、だった。
きっといつものように落ち込むんだと思っていたから。
「お願い、ですか」
「うん。
朝は、僕に起こさせてくれないかな。
そして夜は朋香が眠るまで傍にいさせて」
するり、尚一郎の手が頬を撫で、レンズの奥の目が眩しそうに細められる。
「それくらい、なら」
だいたい、一緒のベッドで眠っていいと云うはずだったのだ。
これくらいは容易い。
「よかった。
これで、朝起きて朋香が一番初めに見るのは僕だし、夜、最後に見るのは僕だね」
ちゅっ、頬にふれる唇。
……どうして尚一郎はいちいち、恥ずかしいことをしたがるんだろうか。
熱くなった顔で黙ってしまった朋香にちゅっ、再び尚一郎が唇を落とした。
5
お気に入りに追加
980
あなたにおすすめの小説
【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~
蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。
嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。
だから、仲の良い同期のままでいたい。
そう思っているのに。
今までと違う甘い視線で見つめられて、
“女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。
全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。
「勘違いじゃないから」
告白したい御曹司と
告白されたくない小ボケ女子
ラブバトル開始
料理音痴
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
朝目覚めたら。
知らない、部屋だった。
……あー、これってやっちまったって奴ですか?
部屋の主はすでにベッドにいない。
着替えて寝室を出ると、同期の坂下が食事を作っていた。
……ここって、坂下の部屋?
てか、しゃべれ!!
坂下から朝食を勧められ……。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。
職場で知り合った上司とのスピード婚。
ワケアリなので結婚式はナシ。
けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。
物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。
どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。
その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」
春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。
「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」
お願い。
今、そんなことを言わないで。
決心が鈍ってしまうから。
私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。
私は密かに先生に「憧れ」ていた。
でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。
そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。
久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。
まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。
しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて…
ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆…
様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。
『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』
「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。
気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて…
ねえ、この出会いに何か意味はあるの?
本当に…「奇跡」なの?
それとも…
晴月グループ
LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長
晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳
×
LUNA BLUホテル東京ベイ
ウエディングプランナー
優木 里桜(ゆうき りお) 25歳
うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。
純真~こじらせ初恋の攻略法~
伊吹美香
恋愛
あの頃の私は、この恋が永遠に続くと信じていた。
未成熟な私の初恋は、愛に変わる前に終わりを告げてしまった。
この心に沁みついているあなたの姿は、時がたてば消えていくものだと思っていたのに。
いつまでも消えてくれないあなたの残像を、私は必死でかき消そうとしている。
それなのに。
どうして今さら再会してしまったのだろう。
どうしてまた、あなたはこんなに私の心に入り込んでくるのだろう。
幼いころに止まったままの純愛が、今また動き出す……。
お前を誰にも渡さない〜俺様御曹司の独占欲
ラヴ KAZU
恋愛
「ごめんねチビちゃん、ママを許してあなたにパパはいないの」
現在妊娠三ヶ月、一夜の過ちで妊娠してしまった
雨宮 雫(あめみや しずく)四十二歳 独身
「俺の婚約者になってくれ今日からその子は俺の子供な」
私の目の前に現れた彼の突然の申し出
冴木 峻(さえき しゅん)三十歳 独身
突然始まった契約生活、愛の無い婚約者のはずが
彼の独占欲はエスカレートしていく
冴木コーポレーション御曹司の彼には秘密があり
そしてどうしても手に入らないものがあった、それは・・・
雨宮雫はある男性と一夜を共にし、その場を逃げ出した、暫くして妊娠に気づく。
そんなある日雫の前に冴木コーポレーション御曹司、冴木峻が現れ、「俺の婚約者になってくれ、今日からその子は俺の子供な」突然の申し出に困惑する雫。
だが仕事も無い妊婦の雫にとってありがたい申し出に契約婚約者を引き受ける事になった。
愛の無い生活のはずが峻の独占欲はエスカレートしていく。そんな彼には実は秘密があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる