捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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序章 早朝の神社

1.

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朝、早く起きられたので、駅までの道をちょっと遠回りした。

「おっ」

いい雰囲気にレトロな喫茶店を発見したが、惜しいなー。
明日、私は新婚旅行を兼ねたハワイ挙式で日本を発つ。
帰ってきた翌日は新居への引っ越し予定なので、ここに来るにはわざわざにな
ってしまう。

「もっと早く発見してればな……」

あまり住んでいるマンションの周りを探索しなかった私が悪いので、文句を言
っても仕方ない。

さらにふらふらと歩き、今度は小さな神社を発見した。

「神社とかあったんだ……」

なんとなく興味が湧いて境内へ足を踏み入れる。
小さいながらによく手入れされていた。

「ここ、パワースポットだったりして?」

傍らに生えている木の枝から差し込む朝日がキラキラして、とても綺麗。
少し朝早い時間の静謐な空気が、さらに神秘的に感じさせた。

「五円……あった」

お賽銭箱の前に立ち、お財布から出した五円玉を投げ入れる。

「お願い……。
幸せな家庭が築けますように!」

柏手を打って神様にお願いした。
彼と温かくて幸せな家庭を築く。
それが今、私一番の目標だ。
ここの神様ならなんか、叶えてくれそうな気がする。

「いいお散歩ができたなー」

きっと、明日からの新婚生活は光り輝く明るいものになるだろうなんて思って
いたけれど。

……まさか、あんなことになるなんて予想もしていなかった。
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