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4.私の気持ちも、味わってください
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お正月デート。
荒木さん――尚尊さんに眼鏡店に連れてこられていた。
「どうせなら、未來の好みの奴をかけた方がいいだろ」
試しに銀縁眼鏡をかけた尚尊さんはエリートビジネスマンっぽくて無駄にどきどきしてしまう。
「んー?
結構反応いいかな。
こっちはどうだろ」
俯いて私が黙ってしまい、右頬だけを歪ませてにやりと笑って尚恭さんは新しい眼鏡に手を伸ばす。
今度かけたのはフレームのないタイプ。
……こっちもはっきりいってかっこいい。
「これもいいな。
未來はどっちがいい?」
いや、どっちがいいとか言われても。
どっちもかっこよくて困る。
「じゃ、じゃあ、たまには私がかけたらどうなんですか?」
手近にあった眼鏡をかけてみたら、なぜか尚尊さんが黙った。
……あれ?
似合っていないですか?
「……可愛すぎ」
渋々眼鏡を外そうとしたら、尚尊さんがぼそりと呟いた。
「はい?」
「可愛すぎてなんでも言うこと聞いちゃいそう」
思わず見上げると、赤くなって照れている尚尊さん。
……なら。
「じゃあ私も、眼鏡買おうかなー」
「は?
おまえ、眼鏡必要ないだろ」
なぜか尚尊さんはキレ気味だけど。
「PC眼鏡だったら必要ですよね。
それに」
「それに?」
「少しは私の気持ち、味わってください」
眼鏡をかけたままにっこりと笑うと、尚尊さんはがっくりと崩れ落ちた。
【終】
荒木さん――尚尊さんに眼鏡店に連れてこられていた。
「どうせなら、未來の好みの奴をかけた方がいいだろ」
試しに銀縁眼鏡をかけた尚尊さんはエリートビジネスマンっぽくて無駄にどきどきしてしまう。
「んー?
結構反応いいかな。
こっちはどうだろ」
俯いて私が黙ってしまい、右頬だけを歪ませてにやりと笑って尚恭さんは新しい眼鏡に手を伸ばす。
今度かけたのはフレームのないタイプ。
……こっちもはっきりいってかっこいい。
「これもいいな。
未來はどっちがいい?」
いや、どっちがいいとか言われても。
どっちもかっこよくて困る。
「じゃ、じゃあ、たまには私がかけたらどうなんですか?」
手近にあった眼鏡をかけてみたら、なぜか尚尊さんが黙った。
……あれ?
似合っていないですか?
「……可愛すぎ」
渋々眼鏡を外そうとしたら、尚尊さんがぼそりと呟いた。
「はい?」
「可愛すぎてなんでも言うこと聞いちゃいそう」
思わず見上げると、赤くなって照れている尚尊さん。
……なら。
「じゃあ私も、眼鏡買おうかなー」
「は?
おまえ、眼鏡必要ないだろ」
なぜか尚尊さんはキレ気味だけど。
「PC眼鏡だったら必要ですよね。
それに」
「それに?」
「少しは私の気持ち、味わってください」
眼鏡をかけたままにっこりと笑うと、尚尊さんはがっくりと崩れ落ちた。
【終】
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