35 / 57
第六章 ワルイコトはイケナイコトです
6-4
しおりを挟む
ケーキも食べ終わり、教授から解放される。
「凛音様、お疲れですか?」
車に乗った途端、ミドリさんが聞いてきた。
「えっ、あっ、……そう見えます?」
「はい」
そっかー、やっぱり教授との話でげんなりしているのが顔に出ているのか。
「帰ったらゆっくり休んでください」
「ありがとうございます」
疲れた顔をしていたら、炯さんが心配しちゃうもんね。
帰ってくるまでに復活しなくちゃ。
「おかえりなさいませ、凛音様」
今日も帰ったら、スミさんが迎えてくれる。
「さあさ、お茶の準備ができておりますので、ごゆっくりされてください」
「あー……」
急かすようにリビングへと誘われながら、長く発して止まった。
「今日はケーキはなしでお願いできますか?」
曖昧な笑顔を浮かべ、スミさんの顔を見る。
「あらあら、どこかお加減が悪いんですか?」
途端に彼女は眉を寄せ、私を心配し始めた。
「その。
今日は……職場で帰りにケーキをいただいて。
これ以上食べると夕飯入らなくなっちゃうかなー、って」
まったくの嘘ではないが、なんとなく後ろめたくて視線が泳ぐ。
「そうでございますか。
わかりました」
ほっとした顔をし、スミさんは私にお茶を淹れてくれた。
ダージリンのいい香りが鼻腔をくすぐる。
それを胸いっぱいに吸い込み、荒んだ心が和らいだ気がした。
炯さんからドレスの候補ブランドを挙げておいてくれと言われていたので、ソファーでだらだらしながら携帯でサイトを巡る。
「あ……」
たまたま見たそのサイトは、和装が専門のようだった。
……炯さんは白無垢姿が見たいとか言っていたけれど、私は色打ち掛けが気になるんだよね。
ドレスの候補と言われていたのに、つらつらと和装の画像を漁っていく。
その中で、目についたものがあった。
「黒引き振り袖か……」
クラシカルな雰囲気は私の好みにマッチしていた。
しかも、その意味が。
「あなた以外の誰にも染まりません、か」
白の、「あなたの色に染まります」より、こっちのほうが好きかも。
私を染めていいのは炯さんだけだ。
どっちにしても彼に相談だけれど。
でも、白はドレスで着るし、和装は色でもいいかもしれない。
私が和装ならば基本、炯さんは紋付き袴になるわけで。
「炯さんの着物姿……」
想像するだけで顔がにやけてきちゃいそう。
背が高いし、体つきがいいから似合いそうだ。
あ、でも、袴姿もいいけれど、着流しスタイルも見てみたいなー。
でも、普段で着物を着る機会なんてないし……。
「無理、かな……」
「はーい、今行きまーす!」
ため息をついたところでシェフに呼ばれたのか、スミさんが駆けていく。
それでも諦めきれずに、今度は婚礼衣装からすらも離れ、男性の着物を検索した。
そのうち、スミさんがなにやら手に戻ってくる。
「スミさん、それ、なんですか?」
別に興味があったわけではないが、なんとなく聞いてみた。
「近くの神社でお祭りがあるので、それに協賛したお礼でございますよ」
「お祭り……?」
そんなの、聞いたことがない。
そもそも、神社があるのすら知らなかった。
「はい。
小規模なお祭りですが、屋台も出ますし花火も少しですが上がるんですよ」
「屋台……花火……」
気になるワードが出てきて耳がピクピク反応する。
花火大会はホテルの部屋からだったり、クルーズ船からだったりで経験はある。
しかし、屋台は未経験なのだ。
これは是非、行きたい。
それに夏祭りデートなら、炯さんの浴衣姿が拝めるのでは?
「お祭りっていつですか!?」
「一ヶ月半後くらいでございますね」
私が喰い気味でスミさんは笑っているが、気にならない。
携帯を操作して炯さんのスケジュールを確認した。
今のところは、出張は入っていない。
しかしまだ先の話なので、変更になるかもしれないが。
「うーん」
少し悩んで、スミさんから聞いたお祭りの日に【お祭り、デート】と書き込んでおいた。
さりげないお誘いだけれど、炯さん気づいてくれるかな?
あとは浴衣を準備して炯さんを驚かせたい。
実家から持ってきたのはあるが、できれば新調したいな。
それよりも、炯さんの浴衣だ。
「スミさん。
炯さんは浴衣を持ってますか?」
「坊ちゃんですか?
お付き合いで作ったのがいくつかあったような……?」
だったら炯さんの浴衣は解決かな?
私の浴衣はどうしよう……。
「そうですわ」
なにかを思いついたかのように、スミさんがぽんと手を打つ。
「お祭りに行かれるのでしたら、凛音様と坊ちゃんの浴衣を新調しましょう!」
もう決まりだとばかりに、スミさんはそわそわとしている。
しかしそれには、問題があるのだ。
「ど、どれくらいかかるんでしょう……?」
たぶん、なじみの呉服店に頼むんだと思う。
そうなると、私の稼ぎで足りるのか心配だ。
……そう。
〝悪いこと〟をして遊ぶお金は、稼いだお給料でまかなうと決めている。
それはスミさんも知っていた。
「まあまあ。
そんなの、気になさらないでいいんですよ」
「でも……」
これは私の悪い遊びなのだ。
なのに、浴衣を買ってもらうとかできない。
「どのみち、協賛のご挨拶に行かないといけませんからね、奥様としてのお努めのようなものです。
だから、気になさらないでください」
「奥様としての務め……」
そうか、籍はまだ入れていないとはいえ、もう私はほぼ炯さんの奥さんなんだ。
気づくと同時にみるみる顔が熱くなっていき、いたたまれなくなってクッションで顔を隠した。
「わかり、ました」
それだとゆっくり屋台を見て回ったりできなさそうな気もするが、奥様としての務めなら仕方ない。
うん、仕方ないとも。
明日、私が仕事から帰ってくる頃になじみの呉服店に来てもらうように、スミさんが手配してくれた。
楽しみだな。
「凛音、祭りデート、OKだ!」
帰ってきた途端、炯さんに抱きつかれて熱烈にキスされた。
「えっ、あの、ご無理はなさらないでいいので……」
「凛音からの誘いでデートするなら、無理するに決まってるだろ」
炯さんはかなり本気っぽいが、本当に無理はしないでいただきたい。
「スミ。
すぐに浴衣の手配だ」
「もう手配済みでございます」
得意げにスミさんが笑う。
そうか、どのみちお祭りデートなら、炯さんが浴衣を買おうとするのか……。
夕食のあとも、炯さんはご機嫌だった。
「もう、この日は絶対に出張を入れるなと命じてあるし、トラブルを起こしたヤツはクビだと言ってあるからな」
炯さんは真剣で、どこまでが冗談なのかわからない。
とりあえずクビになる人が出ないように祈ろう。
それでも、そこまで楽しみにしてくれているのは嬉しかった。
「凛音と祭りデートか、楽しみだな。
楽しみすぎて今から眠れなさそうだ」
「私も同じです」
楽しい、私たちのデートの約束。
きっといい想い出になると思っていたんだけれど……。
「凛音様、お疲れですか?」
車に乗った途端、ミドリさんが聞いてきた。
「えっ、あっ、……そう見えます?」
「はい」
そっかー、やっぱり教授との話でげんなりしているのが顔に出ているのか。
「帰ったらゆっくり休んでください」
「ありがとうございます」
疲れた顔をしていたら、炯さんが心配しちゃうもんね。
帰ってくるまでに復活しなくちゃ。
「おかえりなさいませ、凛音様」
今日も帰ったら、スミさんが迎えてくれる。
「さあさ、お茶の準備ができておりますので、ごゆっくりされてください」
「あー……」
急かすようにリビングへと誘われながら、長く発して止まった。
「今日はケーキはなしでお願いできますか?」
曖昧な笑顔を浮かべ、スミさんの顔を見る。
「あらあら、どこかお加減が悪いんですか?」
途端に彼女は眉を寄せ、私を心配し始めた。
「その。
今日は……職場で帰りにケーキをいただいて。
これ以上食べると夕飯入らなくなっちゃうかなー、って」
まったくの嘘ではないが、なんとなく後ろめたくて視線が泳ぐ。
「そうでございますか。
わかりました」
ほっとした顔をし、スミさんは私にお茶を淹れてくれた。
ダージリンのいい香りが鼻腔をくすぐる。
それを胸いっぱいに吸い込み、荒んだ心が和らいだ気がした。
炯さんからドレスの候補ブランドを挙げておいてくれと言われていたので、ソファーでだらだらしながら携帯でサイトを巡る。
「あ……」
たまたま見たそのサイトは、和装が専門のようだった。
……炯さんは白無垢姿が見たいとか言っていたけれど、私は色打ち掛けが気になるんだよね。
ドレスの候補と言われていたのに、つらつらと和装の画像を漁っていく。
その中で、目についたものがあった。
「黒引き振り袖か……」
クラシカルな雰囲気は私の好みにマッチしていた。
しかも、その意味が。
「あなた以外の誰にも染まりません、か」
白の、「あなたの色に染まります」より、こっちのほうが好きかも。
私を染めていいのは炯さんだけだ。
どっちにしても彼に相談だけれど。
でも、白はドレスで着るし、和装は色でもいいかもしれない。
私が和装ならば基本、炯さんは紋付き袴になるわけで。
「炯さんの着物姿……」
想像するだけで顔がにやけてきちゃいそう。
背が高いし、体つきがいいから似合いそうだ。
あ、でも、袴姿もいいけれど、着流しスタイルも見てみたいなー。
でも、普段で着物を着る機会なんてないし……。
「無理、かな……」
「はーい、今行きまーす!」
ため息をついたところでシェフに呼ばれたのか、スミさんが駆けていく。
それでも諦めきれずに、今度は婚礼衣装からすらも離れ、男性の着物を検索した。
そのうち、スミさんがなにやら手に戻ってくる。
「スミさん、それ、なんですか?」
別に興味があったわけではないが、なんとなく聞いてみた。
「近くの神社でお祭りがあるので、それに協賛したお礼でございますよ」
「お祭り……?」
そんなの、聞いたことがない。
そもそも、神社があるのすら知らなかった。
「はい。
小規模なお祭りですが、屋台も出ますし花火も少しですが上がるんですよ」
「屋台……花火……」
気になるワードが出てきて耳がピクピク反応する。
花火大会はホテルの部屋からだったり、クルーズ船からだったりで経験はある。
しかし、屋台は未経験なのだ。
これは是非、行きたい。
それに夏祭りデートなら、炯さんの浴衣姿が拝めるのでは?
「お祭りっていつですか!?」
「一ヶ月半後くらいでございますね」
私が喰い気味でスミさんは笑っているが、気にならない。
携帯を操作して炯さんのスケジュールを確認した。
今のところは、出張は入っていない。
しかしまだ先の話なので、変更になるかもしれないが。
「うーん」
少し悩んで、スミさんから聞いたお祭りの日に【お祭り、デート】と書き込んでおいた。
さりげないお誘いだけれど、炯さん気づいてくれるかな?
あとは浴衣を準備して炯さんを驚かせたい。
実家から持ってきたのはあるが、できれば新調したいな。
それよりも、炯さんの浴衣だ。
「スミさん。
炯さんは浴衣を持ってますか?」
「坊ちゃんですか?
お付き合いで作ったのがいくつかあったような……?」
だったら炯さんの浴衣は解決かな?
私の浴衣はどうしよう……。
「そうですわ」
なにかを思いついたかのように、スミさんがぽんと手を打つ。
「お祭りに行かれるのでしたら、凛音様と坊ちゃんの浴衣を新調しましょう!」
もう決まりだとばかりに、スミさんはそわそわとしている。
しかしそれには、問題があるのだ。
「ど、どれくらいかかるんでしょう……?」
たぶん、なじみの呉服店に頼むんだと思う。
そうなると、私の稼ぎで足りるのか心配だ。
……そう。
〝悪いこと〟をして遊ぶお金は、稼いだお給料でまかなうと決めている。
それはスミさんも知っていた。
「まあまあ。
そんなの、気になさらないでいいんですよ」
「でも……」
これは私の悪い遊びなのだ。
なのに、浴衣を買ってもらうとかできない。
「どのみち、協賛のご挨拶に行かないといけませんからね、奥様としてのお努めのようなものです。
だから、気になさらないでください」
「奥様としての務め……」
そうか、籍はまだ入れていないとはいえ、もう私はほぼ炯さんの奥さんなんだ。
気づくと同時にみるみる顔が熱くなっていき、いたたまれなくなってクッションで顔を隠した。
「わかり、ました」
それだとゆっくり屋台を見て回ったりできなさそうな気もするが、奥様としての務めなら仕方ない。
うん、仕方ないとも。
明日、私が仕事から帰ってくる頃になじみの呉服店に来てもらうように、スミさんが手配してくれた。
楽しみだな。
「凛音、祭りデート、OKだ!」
帰ってきた途端、炯さんに抱きつかれて熱烈にキスされた。
「えっ、あの、ご無理はなさらないでいいので……」
「凛音からの誘いでデートするなら、無理するに決まってるだろ」
炯さんはかなり本気っぽいが、本当に無理はしないでいただきたい。
「スミ。
すぐに浴衣の手配だ」
「もう手配済みでございます」
得意げにスミさんが笑う。
そうか、どのみちお祭りデートなら、炯さんが浴衣を買おうとするのか……。
夕食のあとも、炯さんはご機嫌だった。
「もう、この日は絶対に出張を入れるなと命じてあるし、トラブルを起こしたヤツはクビだと言ってあるからな」
炯さんは真剣で、どこまでが冗談なのかわからない。
とりあえずクビになる人が出ないように祈ろう。
それでも、そこまで楽しみにしてくれているのは嬉しかった。
「凛音と祭りデートか、楽しみだな。
楽しみすぎて今から眠れなさそうだ」
「私も同じです」
楽しい、私たちのデートの約束。
きっといい想い出になると思っていたんだけれど……。
12
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~
猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」
突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。
冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。
仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。
「お前を、誰にも渡すつもりはない」
冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。
これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?
割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。
不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。
これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。
じれったい夜の残像
ペコかな
恋愛
キャリアウーマンの美咲は、日々の忙しさに追われながらも、
ふとした瞬間に孤独を感じることが増えていた。
そんな彼女の前に、昔の恋人であり今は経営者として成功している涼介が突然現れる。
再会した涼介は、冷たく離れていったかつての面影とは違い、成熟しながらも情熱的な姿勢で美咲に接する。
再燃する恋心と、互いに抱える過去の傷が交錯する中で、
美咲は「じれったい」感情に翻弄される。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる