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№103 カーテン
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お昼休み。
窓から入ってくる風がカーテンを柔らかく揺らしてた。
「今日帰り、どっか寄って帰る?」
「あー、俺、本屋寄りたい」
机に両手で頬杖ついて、彼はにこにこと私を見てる。
「どうか、した?
なんかついてる?」
「いや、可愛いなーって思って」
そんなことを言ってにっこり笑われると、途端に顔に熱が上ってくる。
「そんな顔されると、キスしたくなるんだけど」
いやいやいや、無理だから!
みんなに見られるよ!
焦ってる私を無視して、彼の手がカーテンを掴む。
くるっとそれで私ごとくるまったかと思ったら……ちゅっ。
唇にふれる、柔らかい感触。
離れた彼は目が開いたままだった私に気付くと、いたずらっぽく笑ってカーテンから手を離した。
次第に戻ってくる喧噪。
赤い顔で黙って俯いてしまった私と、その手を握る彼のあいだになにがあったかなんて、誰も気付いてない。
窓から入ってくる風がカーテンを柔らかく揺らしてた。
「今日帰り、どっか寄って帰る?」
「あー、俺、本屋寄りたい」
机に両手で頬杖ついて、彼はにこにこと私を見てる。
「どうか、した?
なんかついてる?」
「いや、可愛いなーって思って」
そんなことを言ってにっこり笑われると、途端に顔に熱が上ってくる。
「そんな顔されると、キスしたくなるんだけど」
いやいやいや、無理だから!
みんなに見られるよ!
焦ってる私を無視して、彼の手がカーテンを掴む。
くるっとそれで私ごとくるまったかと思ったら……ちゅっ。
唇にふれる、柔らかい感触。
離れた彼は目が開いたままだった私に気付くと、いたずらっぽく笑ってカーテンから手を離した。
次第に戻ってくる喧噪。
赤い顔で黙って俯いてしまった私と、その手を握る彼のあいだになにがあったかなんて、誰も気付いてない。
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