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№92 桜散る
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「今日までお世話になりました。
ありがとう、ございました」
今日はこの職場最後の日。
夫の転勤に伴い、辞めることに。
未練がないかって言われればあれだけど、もともと一年単位の契約社員だから、まあ。
「運ぶの、手伝おうか」
もらった花束にプレゼント、持って帰る私物で両手がいっぱいになってしまった私に、課長が苦笑いで声を掛けてくれた。
「すみません、お願いしてもいいですか」
「ああ」
課長とふたり、駐車場まで歩く。
「君がいてくれてほんと、助かったよ」
「いえ、私の方こそお世話になりました」
じゃあ、元気で。
社内に戻っていく課長の背中にあたまを下げ、車に乗り込む。
助手席には大きな花束。
……ああ、そうか。
明日からはもう、課長に会うことはないんだ。
はらはらと桜が舞い落ちる。
はらはら、はらはら。
ありがとう、ございました」
今日はこの職場最後の日。
夫の転勤に伴い、辞めることに。
未練がないかって言われればあれだけど、もともと一年単位の契約社員だから、まあ。
「運ぶの、手伝おうか」
もらった花束にプレゼント、持って帰る私物で両手がいっぱいになってしまった私に、課長が苦笑いで声を掛けてくれた。
「すみません、お願いしてもいいですか」
「ああ」
課長とふたり、駐車場まで歩く。
「君がいてくれてほんと、助かったよ」
「いえ、私の方こそお世話になりました」
じゃあ、元気で。
社内に戻っていく課長の背中にあたまを下げ、車に乗り込む。
助手席には大きな花束。
……ああ、そうか。
明日からはもう、課長に会うことはないんだ。
はらはらと桜が舞い落ちる。
はらはら、はらはら。
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