500文字恋愛小説【SS集】

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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№23 成人式

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「久しぶりだな!」

「……久しぶり、だね」

成人式の会場で会ったのは、中学時代に仲のよかった彼。

……仲がよかっただけ、の。

その彼がスーツに身を包み、私の前に立っている。
あの頃よりも少し伸びた背。
いつかけ始めたのか銀縁眼鏡。
幼さが抜けて、大人になった顔。

「女って化けるから、一瞬誰だかわからなかったぞ!」

「化けるって……」

……なんですか、それ。
あんただって随分変わってる癖に。

「……ああ。
綺麗になったうえに振袖なんか着てるから。
ほんと誰かと」

「……ありがと」

赤くなって視線をそらしてしまった彼に、私も俯いてしまう。

顔が熱い。
胸が苦しい。
これは振袖のせいなのかな。

「あの、さ。
中学のとき、子供で言えなかったんだけど。
……俺と付き合わねー?」

彼の言葉にただ黙って頷いた。
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