腐女子な女兵士がボロボロな少女を助けたら…。

星 佑紀

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第壱譚

0004:月の魔物と助っ人登場⁉︎

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 ーーここは演習場付属の救護用天幕内。ーー


「(小声で)リムル班長、気づいているか?」

「……ああ。(嫌そうな班長)」

二人共殿下とエリン、頭を抱えて身をかがめてくれ。(汗だく隊長)」


 ーー殿下とエリンは隊長リアムの言う通りにした‼︎ーー


 カサ、カサカサカサー。(何かの音)

 チャキッ。(隊長がを鞘から抜く音)

 シーン…………。

 ……ンキエエエエエエエエ‼︎(何かの叫び声)


「ーーーーそこだ。(ある一点を刀で突く隊長)」


 ブシャアアアア‼︎(ある生物から血が噴き出る音)


「……もう大丈夫だ。(白布で刀身を拭く隊長)」

「……お見事だな。(煙草を咥えて見てた班長)」


 ーー天幕外は、とある生物の血の海と化した‼︎ーー


「……。(天幕の外を見て蒼ざめるエリン)」

「殿下、を知っていますか?(微笑み隊長)」

「…………月の魔物。(ジト目殿下)」

「流石殿下、目の付け所がピンポイントですね! …………最近、ちょくちょくやって来ては私の部下達を食べちゃうんですよ。あれ、どうにかならないかなー?(能天気隊長)」

「バカ野郎、エリンの前で言うなよ‼︎ これ月の魔物に関しては俺達上層部以外にはだろうが‼︎(激おこ班長)」

「まあまあ、リムル落ち着けよ。……エリン救護兵は、昨日付けで除隊したのだからいいではないか!」

「いや良くねえよ!(隊長のスネを蹴り上げる班長)」

「イタい、イタい‼︎(キャッキャする隊長)」

「……。(推しカプ隊長と班長のイチャイチャがこんなにも間近で見れて幸せな反面、これ以上関わると、かなり危険だと私でも分かる。……複雑な心境だわ。)」

「……いつから月の魔物がくるようになったんだ?(ジト目で隊長に聞くパトラッシュ殿下)」

「殿下の弟君リゲル殿下月国王ユエと結託し始めた頃なので、……大体一年くらい前ですね!(爽やか隊長)」

「……。(ヘラヘラしやがって。このサイコパスが‼︎)」

「月国王……。(暗い表情殿下)」

「まあ私がチャチャっと対処するので被害は最小ですが、夜霧に紛れて四、五人は天に召されましたね。(微笑み)」

「……。(笑顔で言うことじゃねえんだよ!)」

「殿下、先程言ったように、近い将来『殿下の兄君パトリック殿下』から合図が上がります。これからは、が殿下のことをお守り致しますので、大船に乗った気持ちでいてくださいね!」

「……俺は仕事が忙しいから出来ないけどな。」

「ああ、リムル班長の辞職願、代わりに出しておいたから!」

「……はあ⁉︎(怒りを超えた驚きの班長)」

「俺達は本日付けで除隊だ。これで伸び伸びと動けるぞ!」

「……俺は協力すると言った覚えは無い。」

「……兄さんリムル、いい加減素直になったらどうなんだ?」

「ーーっ⁉︎(えええ⁉︎ 推しカプ隊長と班長は兄弟だったの⁉︎)」

「俺、兄さんが上層部に気づかれないように、さんに工面していたことくらい知っているんだからな!」

「あれは、……ナギのためだ。(そっぽを向く班長)」

「兄さん、ナギちゃんの為ならこれからずっと近くにいないと、ナギちゃんを奪われるぞ! ……それこそインチキオカルト集団が、儀式に必要な犠牲とか言ってナギちゃんの魂を殿下から抜き取ってから『あの生物月の魔物』に食べさせたりとかするかもしれん。もしそうなると、ナギちゃんは二度と生まれ変われないんだからな!」

「……。(ありそうな話なんだよな。)」

「ーーっ⁉︎(ナギっちが可哀想だわ‼︎)」

「俺だって、自分の軍での未来を蹴ったのだから、兄さんも、ナギちゃんの為に覚悟を決めろよ!」

「……わかった。だが、あくまでナギのためだからな。」

「ああ‼︎(にっこり隊長)」


 ーー班長リムルが仲間に加わった‼︎ーー


「エリン君、殿下の面倒を見てもらって申し訳ない。これからもよろしくな‼︎(カモネギは逃がさないぞ‼︎)」

「は、はい。よ、よろしくお願いします。(大汗)」

「いやエリン、危険だからお前は実家に帰っとけ。」

「班長ー‼︎(やっぱり班長優しすぎるー‼︎)」

「男でも逃げ出すような状況が待っているからな。」

「……エリンは俺のだから一緒にいないといけない。(ジト目で班長を睨みつける殿下)」

「ーーっ⁉︎(……マジか‼︎ よりにもよってエリンが⁉︎)」

「エリンの事は俺が守るから、エリン、一緒に来てくれ。(両瞳をウルウルさせてエリンを落としにかかる殿下)」

「くっ‼︎ ……私は、ナギっちの親友なので、ナギっちに、ついて行きますよ‼︎(不覚にもときめいてしまったわ‼︎)」

「人数は多いほどいいからな! 皆で力を合わせて頑張ろうではないか‼︎(元気はつらつ隊長)」


 ンキエエエエエエーーー‼︎(月の魔物の咆哮)


 ーーとそこへ、おびただしい数の魔物が飛来してきた‼︎ーー


 ンキンキンキエエエエエアエエエーー‼︎


「……この数だと俺一人では無理だな。(悟った隊長)」

「いや、なに、諦めた顔をしているんだよ⁉︎」


 ーー班長はとりあえず結界を張った‼︎ーー


「リムル、俺、刀しか使えないから、こんなに多くの数を捌くのはちょっと難しいというか、なんというか、……みんなで食べられたら怖くないぞ‼︎」

「いや、怖いわ! 一応、お前軍一番の猛者なんだから前に出て戦ってこい‼︎(結界補強魔法陣を地面に書き込んで、必死に魔物の侵入を食い止める班長)」

「……。(私の人生、短かったけど楽しかったな。)」

「……。(これが、の戦力か。 ジト目殿下)」


 ーーここにいる全員は、半ば諦めたのであった‼︎ーー


 シャキーーン‼︎(突如として空気を切り裂く音)


 ンキエエエアアアー⁉︎(痛みに打ち震える魔物達)


 ジャキジャキーーン‼︎(魔物に共鳴する刃物の音)


 ーーと、そこへ、とある二人組が現れた‼︎ーー


隊長サネユキ隊長ー! なんか効きましたよー‼︎」

「ジョナサン、でかした! ……みんな、大丈夫か⁉︎」

「「「ーーーーっ⁉︎」」」


 ンキンキエエアエアエー‼︎(お母さーん、痛いよー‼︎)


 ーー負傷した魔物達は、天へと帰って行く。ーー


「……よくわかりませんけど、隊長サネユキ隊長、魔物達が何故だか帰っちゃいましたね。(ほへー)」

「ジョナサンの美しさに目が潰れてしまったのかな?」

「……隊長サネユキ隊長のせいで鳥肌が⁉︎(ドン引き少年)」

「……あの、すみません。(信じられない表情の班長)」

「おお、申し遅れたな。……私はニホン帝国から来たサネユキ・イトーだ。こっちは、妻のジョナサン。よろしく。」

「妻ではなくて、部下ですよー‼︎」

「パトリックの指令により、ここへ来た。君達を安全な場所まで無事に送り届けよう‼︎(生真面目サネユキ)」


 ーー強力な助っ人登場⁉︎ーー
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