腐女子な女兵士がボロボロな少女を助けたら…。

星 佑紀

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第壱譚

0003:ナギっちとナギさんと推しカプと

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 ーーここは、トルネード王国のとある演習場。ーー


「……トモカズ、安らかにな。(やさしい顔の男)」

「ナギさん……。(男の後ろ姿を見つめるエリン)」


 ーー二人は、を丁寧に埋葬していた。ーー


「さてと、……エリン、お前さんの上司に会わせろ。」

「え、ええ。……もういいの?」

「……姿形すがたかたちが見えなくとも、トモカズは、俺達の心の中にいるからな。女ナギも理解しているはずだぜ?」

「……わかったわ。行きましょう。」


 ーー二人は、救護用天幕へと向かった‼︎ーー



 ◇  ◇  ◇



「班長ー、いらっしゃいますかー?(天幕を開くエリン)」

「おう、エリンか。一体どうし…………。」

「久しぶりだな、使。(ニヤける男)」

「…………殿下。(目をまんまるにする班長)」

「でででででんか⁉︎(びっくり仰天エリン)」

「…………二人とも、とりあえず中へ。(神妙班長)」


 ーー二人は、天幕の中へと入った‼︎ーー



 ◇  ◇  ◇



「……殿下、生きていらっしゃったのですね。」


 ーー班長は、男の前にをドスンと置いた‼︎ーー


「まあな。……昨日、お前さんに殺されかけたけど。」

「そうですね。(小声で)…………被爆しても死なないなんてゴキブリ以上だな、こりゃ。(ドン引き班長)」

「うん? 何か言ったか?(きゅるるん)」

「いえいえ、殿下のお身体は強靭で素晴らしいって申し上げたのですよ。(他の方法を考えないとな。)」

「……あの、班長とはお知り合いなのですか?」

「ーーーーっ‼︎ エリン、このお方はナギではないぞ。ナギは、。こっちは、ここトルネード王国殿下だ。(ジト目班長)」

「だだだだ第二王子⁉︎(驚愕エリン)」

「正確には、第二王子のだがな。(ジト目殿下)」

「そうですね。パトリック殿下がに生まれたから、ずっと陰で霞を食って生きていらっしゃいますもんね。」

「言い方に悪意を感じるぞ。(ジト目殿下)」

「そりゃー、わざとですからね。……いつになったら、私の娘ナギを解放してくれるのですか?」

「……さあな。(そっぽを向く殿下)」

「……あの、……で、殿下とナギっちが、なんで同じ身体を共有することになったのですか?」

「エリン、聞いていないのか。殿下、そういうことは、キチンと話さないといけないですよ。(小声で)この変態が。」

「……エリンが聞いてこなかったから、良いと思って、言わなかっただけだ。勝手に人を変態扱いするなよ。」

「そうですか。下心があったから明かさなかったのですね。わかりました。私が代わりに説明致しましょう。」

「…………。(言い方に棘を感じる殿下)」

「エリン、俺の娘ナギは、三歳の時に交通事故で亡くなった。ナギの魂は、通常ならば、霊界へと行くはずだった。」

「ということは、ナギっちは、お化けなのですか⁉︎」

「バカ、よく聞け。……身体から離れた魂は、一度霊界で休憩するのだが、横槍が入った。」

「横槍ですか?」

「そうだ。とある国トルネード王国とある魔術師達エセオカルト集団が、ナギの魂を捕獲して、意味分からん儀式に使用したのだ。」

「儀式?(意味分からんとは?)」

「生きている身体に死んだ人間の魂を入れ込む儀式だ。」

「まるで、ナギっちと殿下みたいですね!」

「今その話をしとるんだろーが! 俺は人魂がたまたま視えるから、ナギが連れて行かれるのを目撃してしまった。急いでついて行くと、もう、殿下の中にナギが入った後の状態だったんだ。」

「そうだったのですね。(ナギっちと殿下が可哀想。)」

「……俺は、その時赤子だったから、記憶はない。」

「そうですね。殿下に罪はありませんよ。……ただ、殿下が死なないと、ナギがで生まれ変わることはできませんからね。親の私からすれば、一刻も早くお亡くなりいただきたいのですよ。(愛想笑い班長)」

「……なかなか複雑なのですね。(ほへー。)」

「……殿下、さんの身体、魔法で調べさせていただきましたが、やはり、がついておりました。」

「…………そうか。(暗い表情殿下)」

「班長、ってなんですか?」

「エリンも知っておいた方がいいな。とは、さっきの話に出てきた魔術師達エセオカルト集団が使役している魔法生物のことだ。」

「魔法生物?」

さんに付いていたのは、発信器の役割を持っているものだった。……殿下、は潰しましたが、奴らが来るのは、時間の問題でしょうね。」

「…………ああ。(暗い表情殿下)」

「おそらく、此度の演習でのトモカズさんの被爆も、奴らが画策したものだと思います。殿下はどうお考えですか?」

「……俺も同じ考えだ。」

「……。(よくわからんけどナギっちが危険なのね‼︎)」

「一応、ここ部隊には殿下を支持している人間もいますが、長居は危険です。私が介錯するので、いっその事、いさぎよくここで命を散らしましょう‼︎(にこにこ班長)」

「ーーいやいや、リムル班長、そう殿下に酷い事を言うなよ。」

「た、隊長⁉︎(推しカプがここに⁉︎)」

「…………来やがったな、リアム隊長。(ジト目班長)」

からの伝言だ。『が動き出した。』ってよ。(筋骨隆々で元気の良い隊長)」

「……。(兄貴パトリック、ついに想い人と……。)」

「俺達も、合図が上がれば、蜂起ほうきする! 準備するぞ!」

「………………そうだな。じゃあその前に、殿下、飲んで下さいよ。(にっこりポーカーフェイス班長)」

「………………それ、毒入りだから、嫌だ。」

「……。(……私、ここにいていいのかなー? 大汗)」


 ーーエリン、何故だか巻き込まれる‼︎ーー
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