腐女子な女兵士がボロボロな少女を助けたら…。

星 佑紀

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第壱譚

0002:ナギっちじゃなくて、男⁉︎

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 チュンチュンチュン(朝ですよーー‼︎)


 ーーここは、エリンの小部屋。ーー


「むにゃむにゃ……もう少し寝ようー。(幸せエリン)」

「おい、起きろ女。(エリンの横で寝ているジト目の男)」

「………………。(ガバッと身体を起こすエリン)」

「寝相が悪いぞ。どうにかならんのか。」

「いや、貴方だれ⁉︎(ドン引きエリン)」

「…………ナギだ。(ジト目の男)」

「違うでしょ! 顔も身体も全然別人じゃない‼︎」

「そうキーキー耳元でしゃべるな。……発情期か?」

「ーーーーっ‼︎ な、ナギっちを今すぐ出しなさいよ!」

「いや、だから俺がナギだ。(堂々とした態度)」

「ナギっちは、もっと愛嬌があって、可愛くて謙虚で、柔らかくて、愛されキャラなのよ! ……貴方みたいに、ジト目で威嚇なんかしてこないわ‼︎(吠えまくるエリン)」

「…………それは、のナギだ。(遠い目男)」

「お、?(ぽかーんなエリン)」

「そうだ。……は二人で一つ。……一つの身体に二人の魂が宿っている状態なんだ。(説明が面倒な男)」

「そ、そんな事あるわけないじゃない‼︎(大汗)」

「信じられねーかもしれないが、これが現実だ。その証拠に昨日、お前達が交わしていた会話も俺は知っているぞ。」

「か、会話⁉︎(ど、どこからどこまで⁉︎)」

「……ケホン。……『隊長と班長のカップリングが最強過ぎて仕事中に妄想してると、班長に集中しろって怒られちゃうんだー! でも、しょうがないと思うの! 班長が理想の受け……。』(女声で)」

「(間髪入れずに)ストップーー!」


 ーーエリンは、男の口を両手で塞いだ‼︎ーー


「モガ、ムグ、モゴゴ!(手を離せ!)」

「な、ナギ。……信じるので、誰にも口外しないでね!(滝のような汗)」

「モゴモゴ、むぐぐー。(それは俺の勝手だろ?)」

「ねっ?(ジト目でお願いするエリン)」


 ーー男はブンブンと首を縦に振った‼︎ーー


「ありがとうです、ナギさん。(手をのけるエリン)」

「……ああ。(可哀想な目でエリンを見る男)」

「ほら、班長に私が腐女子ってことが知られちゃうと避けられるかもしれないじゃない? そうなると班長と隊長の絡みが見れなくなってトキメキが枯渇してしまうでしょ? これはもう由々しき事態なのですよ!(熱く語るエリン)」

「その前にお前さん、除隊したんだろ?」

「……そ、そうだったわ。(打ちひしがれるエリン)」

「……なんか、悪かったな。(気まずい男)」

「い、いいのよ! ナギっちというお友達もできたし、……いろいろな口実を使って、班長に会いに行けばいいし、なんなら、望遠鏡で遠くから眺めれば気付かれずにトキメキを供給できるわ!(考えすぎてのぼせたエリン)」

「……ストーカーはやめた方がいいぞ。」

「ち、違うの! 私は『班長を陰ながら見守り隊』副隊長なんだから! ただのストーカーと一緒にしないで!」

「……見守り隊。(更に可哀想な目で見る男)」

「と、とにかく、……私が腐女子って事は、ナギっちとナギさんと私だけの秘密なんだからね!」

「……見返りがほしいな。」

「み、見返り⁉︎(な、ん、で、す、と⁉︎)」

「そうだな。(エリンの身体を抱き寄せて)俺と婚約関係になるなら、お前さんの願いも聞いてやるよ。(ニヤリ)」

「こここここ婚約関係⁉︎(びっくりエリン)」

「良いと思うけどな。婚約すれば、俺も女ナギもお前さんの趣味に付き合ってても怪しまれないし、お前さんも楽しく趣味に打ち込めるし、女ナギものお友達と一緒にいられるし。一石三鳥だろ?(エリンの耳元で甘く囁く男)」

「ええええ、……で、でも。(考えるエリン)」

「お前さんの同人活動(?)も手伝ってやるぜ?」

「ほ、ほんと?(頬をほんのり真っ赤にするエリン)」

「ああ。……一緒に支え合って生きようではないか。」

「……ナギっちも一緒なんだよね?(念押しエリン)」

「当たり前だ。……女ナギもお前さんと一緒に居られることになったら、涙を流して喜ぶだろうな。(悪い顔)」

「……わかった。ナギさんの条件、のむわ!」

「……受けて立つぞ、。(悪い顔)」

「ということで、ちょっと離れてくれないかしら?」

「……なんでだ?(きょとん)」

「いや、だって、……着替えたいし、今日は演習場に用があるからその準備もしないといけないでしょ?」

「……俺が手伝ってやるよ。(悪い顔)」

「ーーーーっ‼︎ け、結構よ‼︎(赤面エリン)」

「遠慮するなって、……昨日、背中を流した仲だろ?」

「ーーーーっ⁉︎ ち、違うもん! あれはナギっちなんだから、ナギさんじゃない!(慌ててしどろもどろなエリン)」

「俺達は、をしているから、一緒にやったも同じだ。……女ナギに手取り足取り教えてただろ? 全部知って……グハァ‼︎(エリンにぶん殴られる男)」

「出ていけ、この変態男‼︎(激おこエリン)」

「……つぅ、……お前さんが怒っているところも、女ナギは共有してるんだせ?(全然懲りない男)」

「ハッ‼︎ ……そ、そうだった。(悩むエリン)」

「俺と上手くやっておかないと、女ナギが心を病むかもしれないな。(エリンに近寄って顎クイする男)」

「ーーーーっ⁉︎ ひ、卑怯者ーー‼︎」

「なんとでも言え。(悪魔顔な男)」


 ーーと、そこへエリンママが入ってきた‼︎ーー


「エリンー、朝ごはんできたわよー! あら、ナギちゃんも起きてたのね、おはよう!(ニコニコエリンママ)」

「おはようございます、お義母かあさん。(にっこり男)」

「ナギちゃんの分の朝ごはんも出来てるから、エリンと一緒に降りていらっしゃいね!(自然体ママ)」

「はい! ありがとうございます!(微笑む男)」

「じゃあ、下で待ってるわよー!(階段を降りるママ)」

「…………ママ、ナギっちじゃないよ、この男は!」

「……大体の人間は、騙せるんだけどな。」

「だ、騙せる⁉︎(口をあんぐり開けるエリン)」

「……謎の補正がかかっているのか知らんが、他者からは、たとえで接していても、一人の人間として認知されるみたいだから、日毎ひごとに魂が入れ替わっていることは気付かれない。……のことを知っているのは、トモカズと、一部の協力者だけだな。」

「そ、そうなのね。(なんで私は気づいたのかしら?)」

「まあいい。エリン殿、これからよろしくな。(ニヤリ)」

「え、ええ。(やや不安げなエリン)」


 ーーエリンに心配事(男)が増えたのであった‼︎ーー
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