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第肆譚
0037:サネユキの叔父
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ーーここは、フィックスド家の食堂。ーー
「シグレ、……伯父上は病に臥せてたはずなのだが。」
「いえ、ピンピンしてますね。(ど真面目シグレ)」
「……謁見ではなく『遊学せよ!』の間違いではないか?」
「いえ、『謁見』で間違いありません。」
「……ということは、伯父上はトルネードに来ているということなのだな‼︎(無理矢理納得しようとしてるサネユキ)」
「いえ、帝は現在ニホンの宮殿にいらっしゃいます。」
「……実家に帰らないと駄目?」
「そうなりますね。」
「…………。(汗だくで押し黙るサネユキ)」
「隊長、そんなにむっつりして一体どうしたんですかー?(横でモグモグご飯を食べながら聞いてたジョナサン)」
「……ジョナサン、……私は実家に帰りたくないのだよ。(しょんぼりした子犬のようなサネユキ)」
「ほえー、いろいろ複雑なんですねー?(モグモグ)」
「複雑もなにも、……伯父上に会わないといけないのだぞ!(うるうるサネユキ)」
「会えばいいじゃないですか。(きょとんジョナサン)」
「ジョナサン、……伯父上はニホンの帝なのだ‼︎ 帝に謁見するってことは、髷も結わないといけないし、服装もいろいろと面倒なんだぞ‼︎(さりげなくジョナサンと距離を縮めるサネユキ)」
「………(お目々パチクリ)ええええええ⁉︎(驚愕)」
「おや、ジョナサン、知らなかったのか?(大巫女)」
「あねごー‼︎ 初耳ですよー‼︎ なんで言ってくれなかったんですかー⁉︎(大巫女の胸に飛び込むジョナサン)」
「ーーーーっ⁉︎(ええええ⁉︎ 抱き合う大巫女とジョナサンを見てびっくりサネユキ)」
「すまん、すまん、……もう知っていると思っていたのだ。(ジョナサンの頭をナデナデする大巫女)」
「……姉上。(目がどんよりしているサネユキ)」
「うん、どうした?(更にジョナサンに密着する大巫女)」
「……れろ。……離れてください! ジョナサンは、私の妻なのですよ‼︎(激おこサネユキ)」
ーーサネユキは、二人の間を引き裂いた‼︎ーー
「「ーーーーっ‼︎」」
「ジョナサンも、私の妻なのだから、何かあったら私に抱きついてくるように‼︎(ガバッとジョナサンの肩を掴んで引き寄せ、腕の中に閉じ込めるサネユキ)」
「……隊長。(なんとも言えない表情のジョナサン)」
「次姉上の方へ行くようならば私はジョナサンに対して歯止めが効かなくなるやもしれん。(目がイってるサネユキ)」
「ーーーーっ‼︎ 隊長、了解です‼︎(サネユキの腕の中で敬礼する汗だくジョナサン)」
「……ごめんな、ジョナサン。……こんな、心の狭い夫で。(さりげなくジョナサンを強く抱き締めるサネユキ)」
「い、いえ、……心が狭いとかは思ってないんで、腕の力を緩めてほしいですねー、あははは。(サネユキに良いようにされてる汗だくジョナサン)」
「…………。(まるっと無視するサネユキ)」
「……おなごに興味の無かった実雪が、こんなにも執着しているだなんて、……ジョナサン、恐るべしだな。(何故かジョナサンを過大評価している大巫女)」
「……あの、すみません。隊長と奥方様には至急ニホンへ帰ってもらわないといけないのですが……。(めちゃくちゃ時間を気にしてるシグレ)」
「シグレ、……この状況を見て、何も感じないのか?」
「はい。ここからニホンまで、陸路で二週間近くかかりますし、道中何が起こるかわかりませんから、早めに出立したいとは考えています。」
「…………ほんとに帰らないと駄目?」
「帝の勅命ですので。(大真面目シグレ)」
「…………。(ため息をついてしょんぼりするサネユキ)」
「……姐御、どうして隊長はこんなにも嫌そうなんですか?(サネユキに抱きしめられつつ大巫女に聞くジョナサン)」
「うん? ああ、おそらく、帝……我らからみた伯父上は、サネユキに帝職を押し付けるつもりだからな、……サネユキはそれが嫌らしい。(コソコソっと大巫女)」
「隊長が帝になるってことですか?(目が点ジョナサン)」
「そういうことだ。伯父上は未婚で子なしだから、伯父上の妹の息子であるサネユキに後を継いでほしいみたいだぞ。」
「……私は、父上の実家の鈴造家を継ぎたいのですが。(ジト目サネユキ)」
「そうかもしれんが、実雪、……おぬしは今、伊藤姓だ。嫌なのはよくわかっているが、諦めろ。(諭す大巫女)」
「…………伯父上に早くお妃様をお迎えしてもらわなければ、大変なことになる。(ぶつぶつ呟いてるサネユキ)」
「……隊長が珍しくブラックだ。(ほえーなジョナサン)」
ーーと、そこへ、パトリック殿下が顔を出した‼︎ーー
「あれー、四人とも、なんか表情固いけど、どうしたのー?(マリア嬢専用のお食事を抱えてる殿下)」
「パトリックー‼︎ 助けてくれー‼︎(切実サネユキ)」
「ほえー?(きょとん殿下)」
「伯父上が、至急帰って来いって言っているのだ‼︎ しかし、素直に帰ると、おそらく『帝代理よろしく! ついでに帝継承の手続きもしとくね‼︎(きゅるるん)』とか言って、私を拘束するつもりだぞ! 私は、ジョナサンと一緒に仲睦まじく、素朴に暮らしたいのに……。(より一層ジョナサンを抱き締めるサネユキ)」
「……。(穏便に済ませたい為、とりあえずサネユキの背中をナデナデするジョナサン)」
「あー、そういえば、サネユキの叔父さんって、ニホンの帝だったねー。(あまり興味の無い殿下)」
「パトリック、どうにかして、伯父上から逃げる方法はないだろうか?(切迫してるサネユキ)」
「うーーん。……(ポケットの中からとある小箱を取り出して小声で)指定人物魔法転送。(瞳孔ピカッ)」
「「ーーーーえっ⁉︎(驚愕サネユキとジョナサン)」」
ガガガゴゴゴー、……ゲバーー‼︎
ーー一瞬にして、サネユキとジョナサンは消失した‼︎ーー
「………………えっ? でででんか……。(大汗シグレ)」
「ああ、シグレっち、ごめんね。サネユキとジョナサンはニホンの帝の所へ転送しちゃった‼︎(テヘペロ面倒殿下)」
「…………そ、そうですか。(めっちゃ焦ってるシグレ)」
「サネユキの気持ちもよく分かるけどさ、……結構な時間、サネユキをお借りしているわけだから、たまにはお返ししておかないと、サネユキの叔父さん、問答無用で取りに来そうじゃない?(苦笑い殿下)」
「……よくご存知で。(滝のような汗なシグレ)」
「伯父上は見た目によらず、かなりの切れ者だからな。……あの見た目を変えるだけで、縁談なんてすぐに決まるだろうに。(なんとも言えない表情の大巫女ミクル)」
「……そういえば、ミクル姉さん。たしか、皇族の伊藤家と、代々大巫女を輩出する名家の鈴造家って、昔から犬猿の仲で有名でしたよね?」
「左様。……仲の悪さは犬猿以上だな。」
「じゃあなんで、サネユキとミクル姉さんの両親って、結婚しちゃったのですか? 仲が悪い家同士が縁を結んでも良いことなさそうですけど。」
「……結婚の許可はされてない。……駆け落ちだ。」
「ーーーーっ⁉︎(な、ん、で、す、と⁉︎)」
「……父上も母上も今は故人だから、詳細は分からん。……ただ、父上と母上が他界後、実雪はまだ幼かったし、我はやっと巫女寮に入ったばかりのぺーぺーだった。幼い実雪を引き取って、大事に育てたのは、伯父上ただ一人だけ。……サネユキの籍だけ伊藤家に移してたのはなんか嫌だったが、伯父上にとってサネユキは、我が子のように可愛いのだろうよ。(遠い目の大巫女ミクル)」
「ほえー。(なんか複雑そうだなー。 きょとん殿下)」
「あら、実雪様とモブ様がいらっしゃいませんわよ⁉︎(両手にサンドイッチを持ちつつやって来たマリア嬢)」
「えへへ、なんか、ニホンに用があるみたいなんで、マーキュリー殿下からもらった転送用魔法陣で、転送しちゃいました!(テヘペロ殿下)」
「そうだったのですね‼︎(さりげなくサンドイッチをもふもふ食べてるマリア嬢)」
「……マリア様、たくさん食べて、いろんな場所にお出掛けしようね!(デレデレ殿下)」
「ええ、そうですわね! 難しいことは分かりませんが、たくさんの土地を踏み締めますわよ‼︎(もふもふマリア嬢)」
「……マリアさまーー‼︎(マリア嬢に突進していく殿下)」
「もふう⁉︎(衝撃をもふもふで吸収するマリア嬢)」
「……我はもう少しここにいようかの。(大巫女)」
「……お供します、ミクル様。(大汗シグレ)」
ーー実雪とジョナサンはニホンへ戻ったのであった‼︎ーー
「シグレ、……伯父上は病に臥せてたはずなのだが。」
「いえ、ピンピンしてますね。(ど真面目シグレ)」
「……謁見ではなく『遊学せよ!』の間違いではないか?」
「いえ、『謁見』で間違いありません。」
「……ということは、伯父上はトルネードに来ているということなのだな‼︎(無理矢理納得しようとしてるサネユキ)」
「いえ、帝は現在ニホンの宮殿にいらっしゃいます。」
「……実家に帰らないと駄目?」
「そうなりますね。」
「…………。(汗だくで押し黙るサネユキ)」
「隊長、そんなにむっつりして一体どうしたんですかー?(横でモグモグご飯を食べながら聞いてたジョナサン)」
「……ジョナサン、……私は実家に帰りたくないのだよ。(しょんぼりした子犬のようなサネユキ)」
「ほえー、いろいろ複雑なんですねー?(モグモグ)」
「複雑もなにも、……伯父上に会わないといけないのだぞ!(うるうるサネユキ)」
「会えばいいじゃないですか。(きょとんジョナサン)」
「ジョナサン、……伯父上はニホンの帝なのだ‼︎ 帝に謁見するってことは、髷も結わないといけないし、服装もいろいろと面倒なんだぞ‼︎(さりげなくジョナサンと距離を縮めるサネユキ)」
「………(お目々パチクリ)ええええええ⁉︎(驚愕)」
「おや、ジョナサン、知らなかったのか?(大巫女)」
「あねごー‼︎ 初耳ですよー‼︎ なんで言ってくれなかったんですかー⁉︎(大巫女の胸に飛び込むジョナサン)」
「ーーーーっ⁉︎(ええええ⁉︎ 抱き合う大巫女とジョナサンを見てびっくりサネユキ)」
「すまん、すまん、……もう知っていると思っていたのだ。(ジョナサンの頭をナデナデする大巫女)」
「……姉上。(目がどんよりしているサネユキ)」
「うん、どうした?(更にジョナサンに密着する大巫女)」
「……れろ。……離れてください! ジョナサンは、私の妻なのですよ‼︎(激おこサネユキ)」
ーーサネユキは、二人の間を引き裂いた‼︎ーー
「「ーーーーっ‼︎」」
「ジョナサンも、私の妻なのだから、何かあったら私に抱きついてくるように‼︎(ガバッとジョナサンの肩を掴んで引き寄せ、腕の中に閉じ込めるサネユキ)」
「……隊長。(なんとも言えない表情のジョナサン)」
「次姉上の方へ行くようならば私はジョナサンに対して歯止めが効かなくなるやもしれん。(目がイってるサネユキ)」
「ーーーーっ‼︎ 隊長、了解です‼︎(サネユキの腕の中で敬礼する汗だくジョナサン)」
「……ごめんな、ジョナサン。……こんな、心の狭い夫で。(さりげなくジョナサンを強く抱き締めるサネユキ)」
「い、いえ、……心が狭いとかは思ってないんで、腕の力を緩めてほしいですねー、あははは。(サネユキに良いようにされてる汗だくジョナサン)」
「…………。(まるっと無視するサネユキ)」
「……おなごに興味の無かった実雪が、こんなにも執着しているだなんて、……ジョナサン、恐るべしだな。(何故かジョナサンを過大評価している大巫女)」
「……あの、すみません。隊長と奥方様には至急ニホンへ帰ってもらわないといけないのですが……。(めちゃくちゃ時間を気にしてるシグレ)」
「シグレ、……この状況を見て、何も感じないのか?」
「はい。ここからニホンまで、陸路で二週間近くかかりますし、道中何が起こるかわかりませんから、早めに出立したいとは考えています。」
「…………ほんとに帰らないと駄目?」
「帝の勅命ですので。(大真面目シグレ)」
「…………。(ため息をついてしょんぼりするサネユキ)」
「……姐御、どうして隊長はこんなにも嫌そうなんですか?(サネユキに抱きしめられつつ大巫女に聞くジョナサン)」
「うん? ああ、おそらく、帝……我らからみた伯父上は、サネユキに帝職を押し付けるつもりだからな、……サネユキはそれが嫌らしい。(コソコソっと大巫女)」
「隊長が帝になるってことですか?(目が点ジョナサン)」
「そういうことだ。伯父上は未婚で子なしだから、伯父上の妹の息子であるサネユキに後を継いでほしいみたいだぞ。」
「……私は、父上の実家の鈴造家を継ぎたいのですが。(ジト目サネユキ)」
「そうかもしれんが、実雪、……おぬしは今、伊藤姓だ。嫌なのはよくわかっているが、諦めろ。(諭す大巫女)」
「…………伯父上に早くお妃様をお迎えしてもらわなければ、大変なことになる。(ぶつぶつ呟いてるサネユキ)」
「……隊長が珍しくブラックだ。(ほえーなジョナサン)」
ーーと、そこへ、パトリック殿下が顔を出した‼︎ーー
「あれー、四人とも、なんか表情固いけど、どうしたのー?(マリア嬢専用のお食事を抱えてる殿下)」
「パトリックー‼︎ 助けてくれー‼︎(切実サネユキ)」
「ほえー?(きょとん殿下)」
「伯父上が、至急帰って来いって言っているのだ‼︎ しかし、素直に帰ると、おそらく『帝代理よろしく! ついでに帝継承の手続きもしとくね‼︎(きゅるるん)』とか言って、私を拘束するつもりだぞ! 私は、ジョナサンと一緒に仲睦まじく、素朴に暮らしたいのに……。(より一層ジョナサンを抱き締めるサネユキ)」
「……。(穏便に済ませたい為、とりあえずサネユキの背中をナデナデするジョナサン)」
「あー、そういえば、サネユキの叔父さんって、ニホンの帝だったねー。(あまり興味の無い殿下)」
「パトリック、どうにかして、伯父上から逃げる方法はないだろうか?(切迫してるサネユキ)」
「うーーん。……(ポケットの中からとある小箱を取り出して小声で)指定人物魔法転送。(瞳孔ピカッ)」
「「ーーーーえっ⁉︎(驚愕サネユキとジョナサン)」」
ガガガゴゴゴー、……ゲバーー‼︎
ーー一瞬にして、サネユキとジョナサンは消失した‼︎ーー
「………………えっ? でででんか……。(大汗シグレ)」
「ああ、シグレっち、ごめんね。サネユキとジョナサンはニホンの帝の所へ転送しちゃった‼︎(テヘペロ面倒殿下)」
「…………そ、そうですか。(めっちゃ焦ってるシグレ)」
「サネユキの気持ちもよく分かるけどさ、……結構な時間、サネユキをお借りしているわけだから、たまにはお返ししておかないと、サネユキの叔父さん、問答無用で取りに来そうじゃない?(苦笑い殿下)」
「……よくご存知で。(滝のような汗なシグレ)」
「伯父上は見た目によらず、かなりの切れ者だからな。……あの見た目を変えるだけで、縁談なんてすぐに決まるだろうに。(なんとも言えない表情の大巫女ミクル)」
「……そういえば、ミクル姉さん。たしか、皇族の伊藤家と、代々大巫女を輩出する名家の鈴造家って、昔から犬猿の仲で有名でしたよね?」
「左様。……仲の悪さは犬猿以上だな。」
「じゃあなんで、サネユキとミクル姉さんの両親って、結婚しちゃったのですか? 仲が悪い家同士が縁を結んでも良いことなさそうですけど。」
「……結婚の許可はされてない。……駆け落ちだ。」
「ーーーーっ⁉︎(な、ん、で、す、と⁉︎)」
「……父上も母上も今は故人だから、詳細は分からん。……ただ、父上と母上が他界後、実雪はまだ幼かったし、我はやっと巫女寮に入ったばかりのぺーぺーだった。幼い実雪を引き取って、大事に育てたのは、伯父上ただ一人だけ。……サネユキの籍だけ伊藤家に移してたのはなんか嫌だったが、伯父上にとってサネユキは、我が子のように可愛いのだろうよ。(遠い目の大巫女ミクル)」
「ほえー。(なんか複雑そうだなー。 きょとん殿下)」
「あら、実雪様とモブ様がいらっしゃいませんわよ⁉︎(両手にサンドイッチを持ちつつやって来たマリア嬢)」
「えへへ、なんか、ニホンに用があるみたいなんで、マーキュリー殿下からもらった転送用魔法陣で、転送しちゃいました!(テヘペロ殿下)」
「そうだったのですね‼︎(さりげなくサンドイッチをもふもふ食べてるマリア嬢)」
「……マリア様、たくさん食べて、いろんな場所にお出掛けしようね!(デレデレ殿下)」
「ええ、そうですわね! 難しいことは分かりませんが、たくさんの土地を踏み締めますわよ‼︎(もふもふマリア嬢)」
「……マリアさまーー‼︎(マリア嬢に突進していく殿下)」
「もふう⁉︎(衝撃をもふもふで吸収するマリア嬢)」
「……我はもう少しここにいようかの。(大巫女)」
「……お供します、ミクル様。(大汗シグレ)」
ーー実雪とジョナサンはニホンへ戻ったのであった‼︎ーー
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