【モフモフは正義‼︎】親友に裏切られて国外追放された悪役令嬢は、聖女になって返り咲く

星 佑紀

文字の大きさ
21 / 59
第弐譚

0020:アデルの三人の魔法使い

しおりを挟む
 ーー新型爆弾投下予定日の黄昏時。ーー

 ーーここは、元『スピカ』の野営地内。ーー


「わふっ‼︎(パトリック様‼︎)」

「うん、マリア様、時間だね。そろそろ移動しようか。」

「そうだな。……パトリック、場所は特定できるか?」

「(瞳孔ピカッ)……予想していた通り、の陣営は、に設置されてるね。……ノア達は上手いこと避難させられたかな?」

「便りが来ないってのは、大概成功しているときに限るからな。『スピカ』のまとめ役なんだから、大丈夫だろう。」


 ーーと、そこへ、遠くからノアがやって来た‼︎ーー


「でんかー! 上手くいきましたよ!(ゼェハァ)」

「おかえり、ノア! アルトの実家はどうだった?」

「ゲフゲフ……いろいろと地獄絵図でした。」

「わっふふ‼︎(先輩様、お茶どうぞ‼︎)」


 ーーマリア嬢は、ノアにお茶を差し出した‼︎ーー


「ーーーーっ‼︎ マリア様、ありがとうございます!(コップにかぶりついてゴクゴクと飲み干すノア)」

「それで、……フローレンス家の人達と交渉できたの?」

「ハアハア……ギリギリどうにかなりました。」

「わふわふ!(ノア様、おかわりはいりますか?)」

「ありがとうございます、マリア様。今ので充分足りました。(コップを手拭いで清めてマリア嬢に返すノア)」

「わふ!(了解ですわ! コップを受け取るマリア嬢)」

「殿下、フローレンス家の方々には、一旦、ルーセント辺境伯領に避難してもらいました。」

「マテリア帝国側に位置するルーセント領か。……よく話がまとまったね。(考え込む殿下)」

「最初は俺たちの話を信じてもらえなかったんですけど、三日前からトルネード帝国軍がどかどかと押し入って来て状況が一変しました。『古くから交流のあるルーセント辺境伯の領地になら行ってやる。』とフローレンス家側が主張したので、その通りに致しました。」

「ルーセント家は、フローレンス家の弟分みたいな間柄でもあるからね。……何はともあれ、アルトの家族が巻き込まれないように対処できてあっぱれだ!」

「はい! フローレンス家のオリビアさんに対する仕打ちは、俺は絶対に許しませんが、アルトと血の繋がりのある家族ですから、必要最低限のことは出来たと思います。」

「了解。もう帰っていいよ。今から始まるはずだから、オリビアちゃん達の側についてあげて。」

「いえ、殿下。オリビアさんから『殿下の手足となって働いて来てください。私達は大丈夫だから。』って言われて。俺、感激し過ぎて泣きそうです‼︎(ゴーゴー涙なノア)」

「……いや、もう泣いてるじゃん。(ドン引き殿下)」

「オリビアさん達のためにも、俺、ここで頑張ります‼︎」

「そうだな! 人数が多いとなんとかなるからな‼︎」

「わっふふう!(私もいますわよ!)」

「……よし、四人での援護をするぞ‼︎」

「「「ラジャーー‼︎(わふう‼︎)」」」


 ーー四人は『百鬼夜行の大通り』へと向かった‼︎ーー


 ◇  ◇  ◇


 ーーここは、『百鬼夜行の大通り』。ーー


「マーズ、ツクヨミ、しっかりばら撒くぞ‼︎(銀色の粉が大量に入った大袋を抱えるエドワード・ロック公爵)」

「……、このは何なのだ?」

「ああ? なんでもいいから、さっさとやれ‼︎」

「……エドワードがつれない。私は寂しいぞ。(しょんぼりしつつも、言われた通りに粉を撒き出すマーズ殿下)」

「お師匠様、こんな気味の悪いところにどうしてやって来たのですか?(黒い前髪で顔を隠している男)」

「……いろいろあるんだよ。いいか、この粉全部撒ききらなかったら、夕飯抜きだ‼︎」

「ーーーーっ‼︎(お師匠様がスパルタ過ぎてつらい‼︎)」


 ーー三人は地味に銀色の粉を撒きまくった‼︎ーー


「エドワード、こんな感じでよいか?」

「……ああ。上出来だ。(上手くいけばいいのだが。)」

「お師匠様、あのー、勤務時間を超えちゃいましたね。」

「おう。今から時間外だ。(ギロリ)」

「……ですよねー。(残業いやだー‼︎)」

「それで、……エドワード、を待っているのだ?」

「……さあな。ただ、よくおけよ。」

「…………?」

「おそらく一瞬だからな。」

「お師匠様、サンドイッチ食べますかー?」

「……おう、マーズも食べておけ。今から忙しくなるからな。(地べたに腰掛けるロック公爵)」

「そうだな。ツクヨミ、私の分もあるか?」

「ありますよー! チャチャっと食べちゃいましょー‼︎」


 ーーの魔法使いツクヨミは、大風呂敷を広げた‼︎ーー



 ◇  ◇  ◇



 ーー一方パトリック殿下御一行は、草木の茂みから使を覗き見していた‼︎ーー


 ーーここから先の『スピカ』会話は全て小声です。ーー


「わあ! マリア様、あの背の高い男性がね、僕のお兄様なんだよ‼︎(目をキラキラさせる殿下)」

「わふっ⁉︎(あ、あれが噂のマーズ殿下ですか?)」

「そうそう、一回だけ会った事があるんだけどね、すっごく真面目で優しいんだ! そんでもって、マーズ兄さんの横にいるのが、この前スピカにやって来たエドワード・ロックでしょ?」

「わふわふう!(そうですわね!)」

「それで、あの黒髪の男は……要注意だな。」

「わふう?(きょとんマリア嬢)」

「うん? パトリック、どうしたのだ?」

「いや、あの顔面を黒髪で覆っている男、……このの人間じゃない気がするんだ。(ガタガタ震え出す殿下)」

「わ、わふ⁉︎(パトリック様、大丈夫ですか?)」


 ーーマリア嬢は、殿下に抱きついた‼︎ーー


「……ハアハア、……ありがとう、マリア様。少し落ち着いたよ。(マリア嬢を強く抱きしめ返す殿下)」

「わふう‼︎(発作になったらちゃんと言って下さいね‼︎)」

「うん。……心強いな。(マリア嬢に微笑む殿下)」

「……殿下が身震いするほど、あの黒髪の男性は異常なんですか?(殿下のセンサーが反応するのは久しぶりだな。)」

「……どうなんだろう? こんなの初めてだからね。」

「だが確かに、パトリックの言い分は合ってるかもしれんぞ。……あの男には、が無いからな。」

「「「ーーーーっ‼︎(わふっ?)」」」

「……僕も気が付かなかった。日が暮れて見えにくいから判断が難しいけど、サネユキの言う通り彼だけね。」

「日中に確かめた方が確実だな。」

「うん。……エドワード・ロックが一緒に行動しているってことは、安全なのかもしれないけれど、念のため、マリア様はあの男に近づいてはいけないよ。」

「わふわふわふ‼︎(はいなのです‼︎)」


『お師匠様、サンドイッチ食べますかー?』

『……おう、マーズも食べておけ。今から忙しくなるからな。(地べたに腰掛けるロック公爵)』

『そうだな。ツクヨミ、私の分もあるか?』

『ありますよー! チャチャっと食べちゃいましょー‼︎』


「……ピクニック?(こんな状況で? 驚愕殿下)」

「わふわふ‼︎(パトリック様、アンパンは常備してますからね! おもむろにアンパンの入った籠を見せつけるマリア嬢)」

「うん、マリア様も用意周到だね。……落としてはいけないから、僕の式神に持たせておくよ。(瞳孔ピカッ)」


 ーーアンパンの入った籠は一瞬で消失した‼︎ーー


「わふぅ⁉︎(アンパン、カムバーック‼︎)」

「ほんとマリア様、癒し系なんだから。(万が一、爆弾の影響でアンパンが汚染されたら勿体無いからね。)」


 ーーパトリック殿下はマリア嬢の頭をナデナデした‼︎ーー


「……なんかアデルの魔法使いって和気藹々わきあいあいとしていますね。(冷たいインテリの集団だと思ってたノア)」

「あの三人は稀だぞ、ノア。(きょとんサネユキ)」

「稀、ですか?」

「ああ、彼らは確かの所属だったはずだ。おまけに今は、トルネード国王の計らいで、二国共同特別魔術部隊の部員も兼任している所謂中立派の魔法使いだな。」

「そうなのですね。(ほへー。)」

が厄介でな、実家ニホン帝国もアデルと交流があるが、……の取り締まりがなかなかに厳しいのだ。」

「へえー、ニホンってアデルとの国交開いてたんだ。」

「約十年前からだ。ニホン人は霊力を扱えるから、アデルの零側は、ニホン人を警戒しているらしい。」

「いろいろと大変なんだね。(ほへーな殿下)」


 ーーと、そこへ、プロペラの爆音が近づいてきた‼︎ーー


「「「「ーーーーっ‼︎」」」」

「……マリア様、絶対に僕から離れちゃ駄目だよ。(マリア嬢を背後からグイッと抱き締める殿下)」

「わふふう‼︎(ラジャーなのですわ‼︎)」

「ノア、結界を張るぞ‼︎」

「了解です、隊長‼︎」


『…………来たな。マーズ、ツクヨミ、行くぞ‼︎』

『『ラジャーー‼︎』』


 ーー戦い(?)の火蓋が切られた瞬間だった‼︎ーー
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

婚約破棄だ!と言われ実家に帰ったら、最推しに餌付けされます

黒猫かの
恋愛
王国の第一王子クレイスから、衆人環視の中 で婚約破棄を言い渡されたローゼン侯爵令嬢ノエル。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

処理中です...