フィックスド辺境伯家の秘密(代表作:元夫の隠し子は、私が立派に育ててみせます‼︎)

星 佑紀

文字の大きさ
上 下
28 / 45
とある暴走族のリーダー、就職する‼︎

0022:デモ集会解散!

しおりを挟む
⭐︎ ここは、フィックスド辺境伯領のとある街中に建てられた『首都代理市役所』の目の前にある小さな広場。


「みんなー、本日最後のデモだよーー‼︎(パト殿下)」

「「「ラジャーー‼︎(愉快な仲間達)」」」

「とにかく、市民の、……特に、首都の国民の生活を、陰で支えている辺境地の民に増税するのは、大反対だ‼︎(相変わらず、とある女性のプラカードを掲げる殿下)」

「「「増税反対!(愉快な仲間達)」」」

⭐︎ 若者達の強い声が、小さな広場に鳴り響く!

「それじゃあ、首都代理市役所側のアルベル君も、ありったけの思いの丈を吐いちゃって‼︎(さりげなく税務官アルベルを一番前例に誘導する殿下)」

「で、ですが殿下……。(これが上官に知られると、明日から無職なんですよ……。 かなり悩むアルベル)」

「大丈夫、大丈夫! もし、このデモが原因で税務官を辞めることになったら、僕の商会で働けばいいんだから! 崖から飛び降りるつもりで言ってみなよ!(きゅるるん殿下)」

「……そうですね。……(轟きわたる声で)首都の貴族様達が、無理難題を言って来て、各代理市役所はてんてこ舞いだあああーーー! 税金全般に関して、素人が口を出さないでくれええ‼︎(タガが外れたアルベル)」

「「「税務官、大変そう‼︎(同情する仲間達)」」」

「そうだね。……これから先、増税する事が決定して実際に増税が始まると、一番忙しくなるのは、市役所のお役人達だ。……特に市役所の窓口に立つ人は、国民からの厳しい声の矢面に立たされるわけだからね。……増税を断固阻止して、市役所の事務作業を、これ以上増やさせないぞーーー!(左腕を突き上げる殿下)」

「「「増税反対‼︎(殿下以外のデモ員達)」」」

「よし、パトリック、……もう少しで、日が落ちる。今日はこれくらいでいいだろう。(サネユキ)」

「そうだね。みんな、今日は、わざわざお仕事をお休みして、僕のデモ活動に参加してくれて、本当にありがとう。今後も引き続き増税を阻止するまで続ける予定だから、次回も協力してくれたらとてもありがたいです。最後に、デモの解散後、みんなが首都側の密偵から狙われる可能性があって、とても危険だから、今から約一カ月は、僕が用意している宿泊場所で待機していてほしい。お仕事に関しても、僕が話をつけておくから、宿泊場所の中でしてね。(慎重殿下)」

「「「ラジャー‼︎(気持ちを引き締める皆)」」」

「ありがとう。それじゃあ、サネユキ、みんなを場所へ誘導してあげて。(殿下)」

「ああ! 任せておけ‼︎(頷くサネユキ)」

「ということで、今日は解散! お疲れ様!(殿下)」

「「「お疲れ様っス‼︎(愉快な仲間達)」」」

「では、パトリックのご友人殿、今すぐ私達の隠れ家に向かうから、ついてきてくれ。(サネユキ)」

「「「お願いします!(内心安心感が強い皆)」」」

「アルベル君も、後の事は、僕がいい感じにやっておくから、サネユキについて行って。(殿下)」

「……ありがとうございます、パトリック殿下。(うるうるの税務官アルベル)」

「うんうん、今後に期待しているからね。(微笑み殿下)」

⭐︎ デモ員達と税務官アルベルは、殿下とノアにお別れの挨拶をしながら、サネユキの後を追うのであった。

「「「パトリック殿下と、アニキ、今日はありがとうございました‼︎(律儀な仲間達)」」」

「うんうん、お礼はいいからね。あと変な輩には、要注意だよ。(にっこり殿下)」

「みんなー、気をつけてなー‼︎(ノア)」

「「「ラジャーー‼︎(お別れする仲間達)」」」

⭐︎ 首都代理市役所の前には、殿下とノアの二人が残った!

「ノアもお疲れ様、お家に帰ってゆっくりしなよ。」

「では、そうさせていただきます。パトリック殿下、お疲れ様でした。(やったー! 今日は反省会無いぞ! ノア)」

⭐︎ すると、そこへ一羽の鳩が、ノアの頭の上に降り立った!

『クルックルウ!(お客が待っとるで。 ジト目鳩)』

「「────っ⁉︎(ノアとパトリック殿下)」」

「殿下……。(息を呑むノア)」

「うん。……鳩っち、お客様は人でいいのかな?(殿下)」

『クルックウ!(そうやで。 ジト目鳩)』

「わかった。……ノア、とりあえず、アルベル君の方は一旦保留にして、一緒に辺境伯邸へ帰るよ。(殿下)」

「そうですね。……行きましょうか。(オーマイガーー⁉︎ 内心休憩したいノア)」


⭐︎ ノアは、乗って来た自転車を押しながら、パトリック殿下と一緒に、来た道を戻るのであった‼︎




【おまけ】

⭐︎ ここは、トルネード王国、首都『王城』

⭐︎ その王城内の中心に位置する、トルネード国王、謁見の間『トルネードアイズ』に、チャラい風貌をした警察官が、とある首都貴族『ステビア侯爵』を引き摺りながらノコノコ入って来た!

「チーーッス、ラーズベルト公爵に国王陛下、お疲れ様っス‼︎(謎のチャラ男警察官ロベルト)」

「ロベルト君⁉︎ ……えっ⁉︎ ステビア侯爵も一緒なの⁉︎(かなり驚いているラーズベルト公爵)」

「……。(困惑顔な国王陛下)」

「ウッス! 今日、たまたま、パトリック殿下がデモをしてたんで、面白そうだから参加してたら、大きなの匂いを嗅ぎつけたんで、しょっぴいて来たっス‼︎(なかなかくだけた口調のロベルト)」

「────っ⁉︎(えええ⁉︎ 色々時間をかけて証拠集めをしていたのにーー⁉︎ 複雑な心境のラーズベルト公爵)」

「ロベルト、……の事は後でいい。……パトリックは、元気そうだったか?(国王陛下)」

「ウッス! パトリック殿下は、フィックスド領の若い領民を率いて、立派にステビア侯爵と渡り合っていましたよ‼︎ それはもう、男でも惚れ惚れするぐらいには、しっかりと、なされてました‼︎(ドヤ顔のチャラ男ロベルト)」

「そうか。(、約束通りパトリックは、自身の力で地道にやっておりますぞ。 無表情を崩さない国王陛下)」

「ロベルト君、……その、ステビア侯爵の息は、まだあるんだよね?(とても心配しているラーズベルト公爵)」

「当たり前っすよ! こんな汚い輩の為に、自分の手を汚すだなんて、俺には出来ないっす‼︎(渋顔のロベルト)」

「そ、それならよかった。(安心したああああ! もしステビア侯爵の息が切れてたら、反乱分子を調べる事がかなり難しくなるところだったよ! 安堵しまくりの公爵)」

「あと、これが、この貴族様の、汚職資料っすよ‼︎(ラーズベルト公爵に、分厚い封筒を手渡すチャラ男ロベルト)」

「ああああ、ありがとうね。(すごいな。やっぱり、現地の人たちの情報網の利便性は計り知れない。 感心のノア)」

「……ということは、もう、『首都圏活性化税』を進めなくてもいいのだな。(国王陛下)」

「そうですね。そうなりますね。(ラーズベルト公爵)」

「そういえば、どうして国王陛下は、首都圏活性化税をやろうとしてたんですか?(ロベルト)」

「ああ、それはだな……。(国王陛下)」

「全ての汚職に関する事柄を引出す為のです。(公爵)」

「おとり?(チャラ男警察官ロベルト)」

「そうです。……かなりずっと前から、ステビア侯爵の動向が怪しかったのですが、その動きを証明するような証拠が無かった。だから、今回、ステビア侯爵たっての新しい政策に乗ったように見せかけて、証拠を得るように、各方面に働きかけていたのですが、……パトリック殿下とロベルト君に、一歩先を越されてしまったようですね。(微笑む公爵)」

「そっスね! いやー、なんか申し訳ないっス‼︎(なかなかドヤ顔でとてもチャラいロベルト)」

「いい。……ロベルト、今回、ありがとう。だがしかし、これ以上、ロベルトを危険に晒すつもりは、毛頭ない。ロベルト、無理しなくていいんだからな。(優しげの国王)」

「国王陛下、ラーズベルト公爵、……悪いですが俺は、孤児だった頃に、お二人に助けられたお陰で、良い暮らしが出来てるんです! 俺の忠誠心をみくびらないでくださいよ‼︎(真面目な事を言っているが見た目はチャラいロベルト)」

「ああ。(うるうるお目々の国王陛下)」

「……。(じーーんとくるラーズベルト公爵)」

「お二人から非難されても、俺は、トルネードを良くする為に、勝手にやってるだけなんで。それでは、失礼するっス‼︎(速やかにステビア侯爵をドサっと置いて出るロベルト)」

⭐︎ チャラ男警察官ロベルトは、一人退出した。


「……アレックス、後は頼んだぞ。(国王陛下)」

「はい、陛下。(深くお辞儀をするアレックス公爵)」

「ユエとの関わりが、証拠として出ていればいいんだがな。(渋いお顔の国王陛下)」

「陛下。あくまで中庸の考えを持ってください。……陛下はこれからも、月国王との関係を良好にしていなければ、月国王に逃げられます。……亡くなった同期達の為にも。」

「……そうだな。(言葉が詰まる国王陛下)」

「それに、……これは、私の勘ですが、……ユエは、何かを隠しています。その何かがわからないから、同期達が軒並み逝ってしまいましたが。……私は、古代の古文書をもう一度深く、あたってみます。ですから陛下は絶対に、ユエの味方でいてください。(ラーズベルト公爵)」

「……わかった。(覚悟を決めた顔の国王陛下)」

「私も仕事の為下がりますが、……陛下、もうすぐからのノア君に、例の引き継ぎがあります。……変装して陛下も拝見しに行きましょうね。(ラーズベルト公爵)」

「ああ。……楽しみだな。(目が煌めく国王陛下)」

「では、失礼します。(サッと退出する公爵)」

⭐︎ トルネードアイズには、深く目を瞑る国王だけがいた。


「兄上、、皆、……なぜ私達だけを残して、先に逝ってしまったのですか。(左目から雫が溢れ落ちる国王陛下)」


⭐︎ ……国王陛下に応える声は、何もないのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

私の入る余地なんてないことはわかってる。だけど……。

さくしゃ
恋愛
キャロルは知っていた。 許嫁であるリオンと、親友のサンが互いを想い合っていることを。 幼い頃からずっと想ってきたリオン、失いたくない大切な親友であるサン。キャロルは苦悩の末に、リオンへの想いを封じ、身を引くと決めていた——はずだった。 (ああ、もう、) やり過ごせると思ってた。でも、そんなことを言われたら。 (ずるいよ……) リオンはサンのことだけを見ていると思っていた。けれど——違った。 こんな私なんかのことを。 友情と恋情の狭間で揺れ動くキャロル、リオン、サンの想い。 彼らが最後に選ぶ答えとは——? ⚠️好みが非常に分かれる作品となっております。

ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる

Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。 でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。 彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!

158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・ 2話完結を目指してます!

人生の全てを捨てた王太子妃

八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。 傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。 だけど本当は・・・ 受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。 ※※※幸せな話とは言い難いです※※※ タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。 ※本編六話+番外編六話の全十二話。 ※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

処理中です...