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第参譚

0031:マーズとマーキュリー

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 ーーここは、『レオの館』の救護室。ーー


「ま、マーズ、ーーっ‼︎」


 ーー室内には、ぎゅうっとマーキュリー殿下を抱き締めるマーズ殿下がいた。(汗)ーー


「て、手を離してくれ!(汗)」

「嫌だ、離さない。(ぎゅー)」

「ーーーーっ‼︎」

「……これはこれは、楽しそうな展開だね?(にやり)」

「レオ、……マーズを止めてくれ‼︎(困惑)」

「マーキュリー、……流れに身を任せるのも、きっと楽しいものだよ。(謎の遠い目)」

「レオーー‼︎(必死にマーズから逃げようとする)」

「マーキュリー、……私以外の輩の名前を何度も呼ばないでくれ。(もの悲しい表情)」

「ま、まーず⁉︎(びっくり仰天)」

「レオ、……悪いが席を外してくれないか。」

「わかったよ、マーズ。二人とも、どうぞごゆっくりー!」


 ーーにこやかに、レオは救護室から出て行った。ーー


 バタン


 シーーーーーン


「…………あの、マーズ?(そわそわ)」

「……自分でも、わからないんだ。(涙)」

「ま、まーず。」

「……エドワードが好きなはずなのに、今の、……マーキュリーを見ると、胸の奥が痛くなる。……忘れてはいけないことを忘れているような気がして、……どうすればいいかわからない。(更にギュッとマーキュリーを抱き締める)」

「マーズ、…………ごめんよ。(ウルウル)」

「……なんで、マーキュリーが謝るんだよ。」

「だって、……全部僕が悪いから。(ぐすん)」

「…………。」

「……マーズのしたのは、僕の心の弱さが原因だから……本当にごめんよ。(涙がポタポタと流れ落ちる)」

「…………ゆるす。」

「ふえっ?(ウルウル)」

「ゆるすから、私の記憶を戻して欲しい。(鷹の目)」

「で、でも…………。」

「いいから、私の言う通りにしてくれ。(瞳孔ピカッ)」

「は、はい。(虚ろな瞳)」


 ーーマーキュリー殿下は、マーズ殿下の通りに、干渉魔法を解除した!ーー


 パアアア


「………………そうだったのか。」

「ま、マーズ。(大焦り)」

「……ずっと、エドワードに愛を投げかけながら、心ここにあらずだった。……愛の言葉をどんなに叫んでも、心の中は空っぽで、いつも虚しかった。……相手を間違えていれば、そうであってもおかしくないもんな、マーキュリー。(じっとりとした眼差し)」

「ひ、ひいいいい‼︎(マーズ殿下から逃げようとする)」

「まあ、待て、マーキュリー。……ゆるすから。(マーキュリー殿下をガシッと掴んで)」

「ほ、ほんとに?(子犬ばりにフルフル震えてる)」

「ああ、……マーキュリーのことだ。……私のことを考えてやってくれたのだろう?(凝視)」

「う、うん。…………予知夢を見たんだ。マーズと結婚した未来は、血の海で、マーズもみんなも死んで、アデル皇国は滅亡するんだ。(モジモジ)」

「…………そうはさせない。(鷹の目)」

「ま、まーず。で、でも、……。(困り眉)」

「私を信じろ、マーキュリー。(瞳孔ピカッ)」

「…………う、ん。……しんじるよ。(もっと虚ろな瞳)」

「未来のことは、気にしなくていい。……私だけを見て、他を信じてはならない。(瞳孔ピカッ)」

「う、ん。……まーずだけをみる。(かなり虚ろな瞳)」

「……よし、落ち着いたな。まずは、私達の結婚が先だ。今すぐ皇帝陛下に謁見だ。(瞳孔ピカッ)」

「まーずと、けっこん、……するの?(虚ろな瞳)」

「そうだ、マーキュリー。……今までの溝を埋めないといけないからな。(じっとりとした瞳)」

「……でも、ぼく、けっこんしないってきめてる。」

「大丈夫だ。マーキュリーが私と結婚すれば、が幸せになれるんだ。(瞳孔ピカッ)」

「みんなが、しあわせ?(虚ろすぎる瞳)」

「ああ、私達だけではなく、世界中が幸せになるんだ。(瞳孔ピカッ)」

「……なる。……ぼく、まーずとけっこんする!」

「そうだな。……じゃあ、気が変わらないうちに、皇帝陛下へ謁見するぞ!(鷹の目)」

「うん‼︎(虚ろな瞳)」


 ーー二人は救護室から出ることになった!ーー


 ◇  ◇  ◇



 ーーここは、『レオの館』の応接間。ーー


「レオ、いるか?(マーキュリー殿下をお姫様抱っこしながら、応接間を覗くマーズ殿下)」

「ーーーーっ‼︎ あ、ああ、いるけど、どうしたの?」

「今からマーキュリーと結婚してくるから。」

「け、結婚⁉︎(展開が早過ぎないかい⁉︎)」

「ああ、マーキュリーの正気が戻る前までに、契約書にサインさせるからな!(ドヤっ)」

「そ、そう。……ってことは、記憶が……。」

「完全に戻った。……全部、話は聞いた。」

「そ、そっか。」

「レオにも心配かけて申し訳ない。」

「いやいや僕は何もしてないからね。……それよりもなんかマーキュリー、目がおかしい気がするけど、何かしたの?」

「ああ、マーキュリーに『記憶の干渉』をされたらまた同じ事の繰り返しだからな。少々、している。」

「そ、そうなんだ。れ、霊力、マーズ使えるんだ。(汗)」

「亡き母上の能力だ。……結構強めにかけたから、マーキュリー、もしかするとずっとこのままの状態かもしれない。」

「そ、それは、のままってことかな?(大汗)」

「ああ。……だが、私はそれでも構わない。マーキュリーが離れていくよりかは、何倍もマシだ。(じっとりとした目で、マーキュリー殿下を舐め回す)」

「そ、そう。……二人とも、お幸せに。(脂汗)」

「ああ、……レオ、ありがとな。」

「う、うん、……またね。(そわそわ)」

「レオ……結婚式のときの仲人は頼んだぞ!」

「ーーーーっ‼︎ 当たり前だ! 任せてよね!」

「ああ、……じゃあ、もう行くな。」

「気をつけて。……時たま遊びにおいでよー。」

「ああ、すぐに報告しに来るから。……マーキュリー、行こうか。(瞳孔ピカッ)」

「……うん、まーず、いく。(マーズ殿下に抱き付く)」

「…………転送。」


 シュパパパパッ‼︎


 ーー二人は、光の中に消えた‼︎ーー


 ーーあー、怖かったー。マーズ、本気でキレてたなー。優しい奴ほど、怒らせたら怖いってことが身に染みてわかった気がする。……マーキュリー、なんか、お人形さんというか、廃人というか、…………大丈夫かな? ちょっとさすがに、あれはまずいかなー? なんとなく、マーズの記憶が戻れば、あの頃のように仲直りして、一件落着! みたいな感じでおさまるかなって、予想してたんだけど、予想をぶち壊して、遥か彼方へ行ってしまったなー。……さすがに、既成事実までいったりしないよね? ……幼馴染だった二人が、やっと結ばれると思うと、そりゃ嬉しいし、感慨深いけど、メリーバッドエンドとかにはならないよね? マーズ、目が血走ってたけどさ。……っていうか、あの『瞳孔ピカッ』ってなんなのさ? めちゃくちゃ怖いんだけど。……大丈夫かな、マーキュリー。次会った時、『赤ちゃん、身籠っちゃった♡』とかになってたら、ちょっと、気まずいなー。


「……レオ様、何をもの思いに更けていらっしゃるのですか?(きょとん)」

「リオナ、……いやさ、幼馴染のことを考えていてね。」

「マーキュリー殿下とマーズ殿下のことですか?」

「そうそう。……二人が幸せなら、それでいいんだけどね。(ソワソワ)」

「大丈夫ですよ、レオ様。」

「へっ?」

「マーキュリー殿下はお強いお方ですからね!」

「…………そうだね、リオナ。(微笑み)」

「レオ様、……お茶をお持ちしてもよろしいですか?」

「うん! いつもの茶葉でよろしく!」

「了解致しましたわ!」

「……リオナがいてくれて、助かったな。」


 魔法使いレオは、助手が淹れてくれるお茶を密かに楽しむのであった。


 ーー別れていた星々は再び衝突する‼︎ーー






 【おまけ】


 ーーマーズ殿下達が宮殿へと向かって一週間後。ーー


「…………フッフッフッ、……ベル殿下、ついに、ついに着きましたよ! 懐かしのアデル皇国へ‼︎」

「……リア、すごく楽しそうだね。(凝視)」

「……だって、ランドット王国にはないの数々を見ることができるのですよ!」

「……私だって、魔法、使えるんだけどな。」


 ーーベル殿下はリリアナ嬢の手を取って、口付けた!ーー


「ーーーーっ‼︎(顔真っ赤)」

ここアデル皇国に来るのも、私の転送魔法、使っただろう?(じっとりとした眼差し)」

「は、はい。……とても快適でしたわ。(モジモジ)」

「……アデルの魔法使いと、私、どっちがいい?」

「そ、そんなの、ベル殿下に決まっていますよ!」

「……よくできました。(にっこり笑って、リリアナ嬢の頭を撫で撫でする)」

「…………。(顔茹で蛸状態)」

「久しぶりに、従兄弟レオ兄さんのところへ顔を出してみようか。」

「ーーーーっ‼︎ はい! そうですわね!」

「……レオ兄さん、元気にしてるかなー?」

「レオ様のことですから、楽しくなされていらっしゃいますよ!(にこにこ)」

「……そうだね。…………リア、お手を。」

「はい、ベル殿下‼︎」


 は手を繋いで、仲良く歩いて行く。


 ーーアデル皇国に、新しい風が舞い込んだ!ーー
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