灰かぶり姫と月の魔法使い

星 佑紀

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第弐譚

0009:第一王子様

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 ーーこのは、トルネード王国王城の舞踏会場。ーー


「灰かぶり姫を無事連れて参りました、マーズ殿下。」

「よくやったぞ、ツクヨミ‼ ……それで、何故女装をしているのだ?」

「で、殿下、……こ、この格好には訳がありましてですね――。(汗)」

「あぁ、そういう趣味なのだな。わかった、わかった。(納得)」

「全然わかってないじゃないですか!(怒)」


 皆様、どうも、ぽかーんと口を開けている灰かぶりです。

 ツクヨミさんとお話されているこのお方は、皇国新聞で時々お目にかかる有名な人物なのでした。


「殿下、場所を移動しましょう。」

「ああ、そうだな。」

「灰かぶり姫、こっちだよ。」


 私は、ツクヨミさんに手を引かれて、お二人に付いていくことになったのです。


◇  ◇  ◇


 ガチャッ


「ここなら誰も来ないぞ。」

「ありがとうございます、殿下。」


 私達は、とある一室に入りました。そこは、先ほどの会場に比べてかなり質素に見える部屋なのでした。


「王城専属魔術隊の目が届かない場所はここだけなんだ。(困り眉マーズ殿下)」


 殿下はキョロキョロしている私を見て、苦笑いを浮かべております。


「殿下、改めてご紹介を。こちら、ロック公爵家長女のルナ・ロック……通称灰かぶり姫でございます。……灰かぶり姫、この御方がトルネード王国第一王子マーズ・サイフォン殿下だよ。」

「灰かぶり姫、はじめまして。」

「は、はじめまして、マーズ殿下。(深く礼)」

「マーズでいいよ。」

「お、恐れ多いです。(汗)」


 マーズ殿下は、私の方に右手を差し出してこられました。こ、これは握手しろということなのでしょうか? 


「あはは、灰かぶり姫、さてはイケメンな殿下に一目惚れしてモジモジしてるんだね!」


 ツクヨミさん、変な誤解はやめてください!
 あまりにも、有名なお方が目の前にいらっしゃるので、頭が混乱しているのです!


「これからよろしく頼む。」

「は、はい。(脂汗)」

「灰かぶり姫、三人で握手しようか!」


 ツクヨミさんは私の右手を取って、マーズ殿下の手も取ると、三人の手を重ねてブンブンと振りまくりました。(大汗)


「灰かぶり姫、これから君も私達の仲間だ。(キラキラ)」

「よ、よろしくお願いします。(大汗)」

「殿下、新しい仲間ができてよかったですね‼」

「ああ、とても心強いな。灰かぶり姫、これからの君に期待しているよ。…………そして、ツクヨミから聞いているかもしれないが、君の父親エドワード・ロックは現在、仮死状態にある――。」


 ――灰かぶり姫は、マーズ殿下の最後の言葉に、衝撃を受けるのであった。――
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