僕の幸せ

朝比奈和花

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身体が勝手に揺れてしまう。

「も、これ、ほしぃ……」

後ろが切なくて、リュカさんがほしいと本能が叫んでいた。
その証拠に後ろから溢れる液がしとどに垂れて双玉を濡らしていた。

「ん、私ももう……!」

切羽詰まった声と同時に熱い質量が僕の中に満たしてくる。

「あ、ぁ……んんんんっ!」

僕のイイトコロを擦り上げて、奥を突く。
たった一回のその行為におもらしをしてしまったようにじんわりとシーツを濡らしてしまったのがわかった。

「くぅっ……」

イっている僕が締めつけてしまっているのか、後ろからリュカさんの切ないような、辛そうな声が鼓膜を揺すぶった。

肌どうしがぶつかる音。
ひっきりなしに漏れる嬌声。
耳まで犯してくる水音。
昂らせてくる香り。

全部が気持ち良くて、たまらない。

「も、かんで、んぅっ、かんで……!

ひぁっ!リュカ、さんっ!」

「くっ、はぁ……はるっ!」




僕をリュカさんのものにして。
一生離さないで。




「あ、あぁぁぁぁっ!……っ、っ!」

かつてないほどの快感と少しの痛み。
それから膨れ上がる愛しさと安心。


「ふふ、しあわ、せです……

あり、がと……う」

愛しい人に包まれて僕の意識は沈んだ。











「____…な……ね。」

「……と、……で……ら。」


横から聞こえる話し声と、胸あたりでもぞもぞ動くなにかに意識が覚醒する。

「あっ、陽起きた!」

ぴょこん、と僕の顔を覗き込む天使りぃくんがいた。

結婚前に新しいマンションに移り住み、しかも下の階には伊南さんが住んでいて、昨日はつがいになるためにりぃくんを見てもらっていたのだが、どうやら戻ってきたようだ。

肌に当たるシーツもさらさらしていてどうやらリュカさんが後始末をすべてしてくれていたらしい。
きちんとパジャマも着ている。

本当に身体の熱を抑えてくれるだけの軽い抑制剤を飲ませてくれたのか、身体はまだ少しだるい。

身体がバキバキなのは気のせい、だよね。うん。

「陽……ねぼけてる?」

「りぃくん、陽は昨日の結婚式、少し疲れてしまったみたいです。

……陽、水は飲めそうですか?」

「ん……ありがとう、ございます。」

リュカさんから冷たい水が入ったグラスを受け取って口をつける。
乾いていた身体が潤う感覚が心地よい。


「昨日ね~こたちゃんのところでとってきたの!
陽にぴったりでしょ!

ゆずちゃんもリボンくれたから僕が結んだの。」



じゃーん、と見せてくれたのはいつかの日にリュカさんに渡したのと同じ花。
リボンの色まで一緒だった。


思わずリュカさんと顔を見合わせてクスクスと笑いあった。

急に笑い出した僕たちにりぃくんはぽかんとしている。




唯一の人が隣にいて、かけがえのない宝ものが腕の中にある。





幸せだね、僕。





過去の自分に笑いかけた。

それに応えてくれるように、一輪のバラがそよりと揺れる。
















僕の幸せ END.


お読みいただき、ありがとうございました。
ここまで読んでくださった貴方にもたくさんの幸せが訪れますように!







To Be continued……?


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