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しおりを挟む「ん……んぅ……リュカ……?……陽は?」
興奮した伊南さんの声に起きてしまったのかリュカさんの腕の中で目を覚ましたりぃくん。
僕はリュカさんの一歩後ろにいたからりぃくんから見えなかったようだ。
「りぃくん、おはよう。
って言っても夜だけど。」
まだ少し寝ぼけているりぃくんがおーちゃんを抱きしめながら周りを見る。
「あー……俺の声で起きちゃったか?
ごめんなー、気持ちいいところで起こしちゃって。」
「え……?え?」
りぃくんに顔を近づけて申し訳なさそうに謝る伊南さんを見たりぃくんは困惑しながらリュカさんと伊南さんを交互に見る。
「リュカが……ふたりになってる!」
無邪気な言葉にふたりが笑った。
……笑ったときリュカさんは目尻が少し下がる。
そこは似てないなぁ、なんて。
「わはは、リュカがふたりか!
そう思っちゃうよな!
俺は西園寺 伊南。
リュカの双子の弟だよ。」
「リュカ……弟いたの?」
「ええ、でもほら、喧しいでしょう?
りぃくんに悪影響があったらいけないと思ってなにも言わなかったんです。」
「おいリュカ!悪影響ってなんだ!
俺はこれでも医者だぞ!」
「自分でこれでも、とつけてしまうあたり、まだまだ医者としての自覚が足りないというのです。」
ぐぬぅ……と黙りこんでしまった伊南さんを見てふたりの力関係が垣間見えた気がした。
「理人くん!
理人くんは食べもので何がすき!?」
唐突に伊南さんがりぃくんに尋ねる。
「陽の作ったハンバーグ!」
「あちゃー、その答えは想像してなかったー!
でもそうだよな、おふくろの味が一番だよな!
でも俺は作れねぇからなぁ……。
理人くん!
これから皆でご飯食べに行かないか!?
おじさんも理人くんと仲良くなりたいなぁ。」
「いーよ!」
「えっ!」
いきなりりぃくんにすきな食べものを聞いたかと思えばごはんのお誘いでしかもりぃくんもいいよと言っちゃうものだからびっくりして思わず反応してしまった。
「伊南、陽さんが困っていますよ。
そもそもディナーは私がお誘いしようと思っていたんです。」
「なおさらいいじゃないか!
皆で行こう!なぁ!陽くん!」
「えっ、あっ、はい。」
何も考えず反射的に頷いてしまった。
「……本当に私の片割れなのか疑いすら生まれます。
陽さん……断ってよかったんですよ?」
着替えてくる!と、どびゅんっと伊南さんが消えてしまった後、リュカさんが気を遣ってくれた。
「いえ、大丈夫ですよ。
伊南さんのような方が周りにいなくて少し驚いただけです。
それに……こう言ったら失礼かもしれないですけど、なんとなくりぃくんっぽいんですよね。
その……表情がころころ変わって元気なところが。」
ねー、りぃくん?なんて言うと聞いていなかったのか不思議そうな顔をした後、うん!と返事がきてくすくすと笑ってしまう。
「りぃくんの方があの愚弟より比べものにならないほどかわいいですけどね。」
リュカさんはなぜか少し不満そうだった。
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