僕の幸せ

朝比奈和花

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それから入口に向かう途中で

「やはりさすがですね。」

とリュカさんが感心した様子で褒めてくれた。

どんなに小さなことでもリュカさんは褒めてくれるからむず痒くなる。

褒められることに慣れていないからどんな反応をすればいいのかわからないのだ。



どんどん人が集まっているゲートに向かい、並ぶのかなと思いきやリュカさんはこっちです。と誰も並んでいない一番端のゲートに連れて行ってくれた。

「ようこそ!あ!
VIPチケットのお客様ですね!

お待ちしておりました!

ガイドは不要とのことですのでご用意しておりませんが、このチケットの特典が説明されているパンフレットと一緒にしておりますのでぜひご活用ください!

さ!バースデー旅行をしている君にプレゼントだよ!

入場したら開けてみてね!

それではいってらっしゃーい!!!」

ポップな服装のお兄さんがりぃくんに大きな袋を渡す。

中身は見れないがりぃくんはきらきらの笑顔できちんとお礼を言っていた。

えらい!

入場して人の迷惑にならなさそうな隅っこでそのプレゼントを開けてみた。

うわぁ、かわいい。

このテーマパークのキャラクターのフード付ポンチョと夏らしい色のTシャツ。
ゴーグルのついた帽子と首から下げれる水筒。
りぃくんに身体にぴったりな大きさのリュックサックにタオル、と全身のコーディネートができるものだった。

「見て見て!似合う?」

リュックサックに使わないものを入れてその他を装備したりぃくん。

「似合うどころじゃないよ!
もう世界一かわいいよ!」

あぁ、シャッターを押す手が止まらない…。


りぃくんを夢中で撮っているといきなり僕の帽子が取られてポスン、と何か被せられた。

「これで陽さんもりぃくんとお揃いですね。」

上を見上げると僕が来たとき被っていたキャップを持っているリュカさんの姿が。

いつの間に……!

「陽も僕とおそろい!」

手鏡で確認するとりぃくんとお揃いの大人用のキャップだった。


か、かわいい……。


「今から5、6時間ほどしか遊べませんが特典でジェットコースターとか早く乗れるようなので少しは楽しめると思いますよ。

これなら道順もあまり気にせずすきなところから行けそうですね。

いまは開園したばかりですし。」

リュカさんがマップを広げながら言うので少し腕を下げてもらって僕も隣から覗きこんだ。
身長差があるし腕の長いリュカさんが自分の見やすい高さにしてしまうとマップの下側しか見えないんだ。

マップにはテーマごとにいろんなエリアがあるようだった。

「りぃくん!なんか色々あるよ!
どこ行きたい?」

リュカさんがしゃがみこんでりぃくんにマップを見せてあげる。

「ここ!行きたい!」

りぃくんが指したのは水を使ったアトラクションだった。

「近くにありますし行きましょうか。」

りぃくんが僕とリュカさんの間に入って僕の右手とリュカさんの左手を引っ張る。

ぶんぶんと僕たちの手を振るりぃくんのテンションは上がりっぱなしなようだ。


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