僕の幸せ

朝比奈和花

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夜、ごはんもお風呂も済ませてりぃくんとごろごろする。

「はる、その首に巻いてるのやっぱりきれいだねぇ。」

帰り道、このプロテクターに気づいてからりぃくんはずっと褒めてくれる。

「ずっと褒めてくれてるね、ありがとう。」

僕はきれいきれいと言ってくれるりぃくんを抱っこする。
お風呂上がりのりぃくんはいつにも増してあったかい。

ついうとうとしそうになるが、ふと今日のこどもたちが話していたことが脳裏をよぎった。

こどもたちがどこどこに行ったという話が頭の中にずっと残っているのだ。

僕は休日、りぃくんと公園に遊びに行ったりはしていたけれど、そういうアミューズメントパークとかには連れて行ってあげてなかった。

僕にとって遊べる場所、と言ったら公園で、それ以外の場所があるということをすっかり失念していたのだ。





7月にりぃくんの誕生日がくるからそのときに連れて行ってあげたいな。
お仕事、頑張らないと……!


「りぃくん、どこか行ってみたいところある?

今日ほら、お友達と話していたでしょ?」

正直、水族館と動物園と遊園地って名前しか知らなくて、携帯を持っていないから、明日詳しそうな柚さんに聞いてみようかな……。

「いいよ、はるとこうえんで遊ぶの楽しいし……。

っていうかはる、ひとごみにがてでしょ?」

りぃくんは気遣ってくれているのがわかる。

でもこどもだ。
そういう場所に行きたい気持ちはあるだろう。

それにこどものときにどこかに行った思い出は必要だと思う。

僕の人混み苦手なのは怖いからで、我慢すればなんてことない。


うーん、うーん、とどこにしようと悩む。


僕は修学旅行も行ったことがなくて、この街を出たことがないからどこが楽しいとかわからない。

「はるは行けるとしたらどこ行ってみたい?」

「えー、そうだなぁ……。

どこでもいいなぁ。

あ、でも中学のとき修学旅行の準備で見た京都の街並みは綺麗だったなぁ。
まぁ修学旅行は行けなかったからパンフレット見ただけだけど、楽しかったよ。

って歴史とか神社とかりぃくんには難しいね。
ごめんね、楽しいところ、どこかな~?」

今考えても仕方ないか、と寝る準備をしようと腰を上げたとき


プルルルルル…プルルルルル…


聞いたことがない音がどこからか響いた。


「……何の音!?」

「はる~ここからなってるよ!
あ!とまった!」

りぃくんが持って来たのはリュカさんからもらったリュック。

急いで中を覗いてみるとそこにはメッセージカードと白い携帯が。
メッセージカードには

『20歳の誕生日おめでとうございます。

プロテクター、ぜひ使ってください。

携帯は私と連絡を取っていただきたく……。
色など勝手に選んでしまいました。』

初対面の相手に携帯を贈るなんて変な人……。
朝に入れ忘れたと言っていた意味がようやくわかった。

そして鳴り止んでしまった携帯をりぃくんとどう使うんだろうね~なんて話していたらピコンッと軽快な音とともにメッセージが。

『そろそろこの携帯を見つけてくれた頃でしょうか?

琥太郎さんが陽さんは携帯を持っておらず、自分の携帯のフォルダが理人で満杯とおっしゃっているのを聞きました。

この携帯は容量が多いのでりぃくんの写真が撮り放題ですよ。

近々、食事に誘わせてください。』


その文章に即座にカメラを起動させてりぃくんを撮った。
りぃくんも携帯に興味津々でお礼の文を考えたいこともあって一度貸してあげた。



後ろでりぃくんが携帯でなにをしていたかなんて知らずに。


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