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episode1
4 side リュカ
しおりを挟むおばあ様の膝の手術がちょうど結婚式の前に行われたこともあり結婚式に招待ができなくて、陽も挨拶ができていない……。と気にしていたがやっと会わせてあげることができた。
陽は無意識にΩだから反対されるかもしれないと思っていたようだが、歓迎されて力が抜けたようだ。
ルグゼンブルクや西園寺……まぁ西園寺は最近母が当主に変わって改善されてきているが、ルグゼンブルクはあの義兄と親戚のせいでいまだにα至上主義だ。
いまだにΩの血を忌避しているくだらない家。
だから私はバースに偏見のないルフェーブル家に入った。
革新者と謳われ、容姿とは裏腹に楽しいことがだいすきで、豪胆な祖父と、これまた優しげな容姿とは打って変わって女帝とまで呼ばれ、巷の狐狸どもも逃げ出すほど恐れられる祖母だけれど、差別や偏見などしない正しい人ではあるから。
「りぃくんは何がすきなのかしら?
男の子だからやっぱりブロックとかかしらね。」
「孫たちには忙しくてなかなか構ってやれなかったしなぁ。
それに何と言ってもりぃくん。
素直でかわいいじゃないか!
どれ、じぃじがすきなものを買ってあげよう。」
そんな祖父母は一瞬でかわいいりぃくんに心をつかまれ、もうでれでれで顔が緩み切っている。
陽にもどんなアレルギーはないか、嫌いなものはないのか確かめているし。
私たちが学生のときは前線で活躍していて、最近やっとゆっくりできる時間ができたところに現れた素直な性格の陽と明るいりぃくんはふたりにとってやりたくても出来なかった子育てや(ひ)孫可愛がりができる存在なのだろう。
私がこどものころとは明らかに違うふたりの姿に驚きを隠すことができなかったが。
陽はこのやりとりが大丈夫かどうかはらはらしながら私に目で確認してきたから安心させておいた。
おじい様とりぃくんが外でキャッチボールをしはじめ、私も陽をつれて、ついていこうとすると陽はおばあ様に呼び止められてしまった。
おばあ様はあのおじい様の妻なだけあって、人の好き嫌いが激しいが大丈夫だろう。
『ミシェルのことは気にしなくていい。
陽くんも大丈夫だ。』
りぃくんに聞かせたくないのか、英語で話しかけてきた。
『そうですか。
それにしてもおじい様がりぃくんにこうやって接すると思いませんでしたよ。』
『だってかわいいじゃないか!
私たちの孫はみんなひねくれ者だったり冷めている者ばかりだからな。
あの幼さで会ったばかりの人間の身体を気遣うことのできる優しさもある。
家の名前で媚びへつらってくるわけでもない。』
「さぁ、りぃくん、どのボールにしようか。
いろんな大きさや硬さのものもあるよ。」
何か祖父に企みかなにかあるのかと思ったけれど、本当にりぃくんや陽のかわいさにやられてしまったようだ。
まぁ、りぃくんと陽だから。
あたりまえだ。
「このボールにする!」
「おっいいぞ~!
ほれ、リュカはそこに立ちなさい。」
広い庭でボールを投げて走り回るりぃくんは楽しそうで私としてもうれしい限りだ。
さてそろそろ中に戻らないと。
陽が心配だ。
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