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第2章
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しおりを挟むドムさんに作ってもらったおでん鍋に具材を詰めていく。
「エルヴィスさん、熱いので気をつけてくださいね。」
「大丈夫ですよ。」
熱々のおでん鍋は熱い上に重くて、エルヴィスさんにテーブルまで運んでもらった。
「いきますよ~?」
蓋を開ければもわもわとした湯気とともにきつね色のおつゆが現れた。
部屋中にだしのいい香りが広がる。
「「ふわぁぁぁっ……!」」
「これは、素晴らしい……!」
「さ、どの具材がほしいですかー?」
「「「全部(ください)!」」」
「はははっ、順番ね。」
全部の具材を順番に入れていく。
「エルヴィスさんはこれをつけて食べてみるの、すきかも。」
小皿にからしを少しよそって渡す。
双子は前にからしをなめて、あまりの辛さに涙が出たのを思い出したのかうへぇ、って顔を顰めている。
「「「「いただきます。」」」」
大根をひとくち。
あっつあっつのだしが口いっぱいに広がって涙目になるのがわかるけれど、それでもあつあつのうちに食べたいよね、おでんって。
うん、だしがきちんと効いてるし、濃さも問題ない。
日本のあの凍てつくような冬にコンビニのおでんを食べたのを思い出した。
「これはなんだか、どこか懐かしくさせる、優しい味ですねぇ。」
あぁ、俺、エルヴィスさんがすきだなぁ。
「……そうでしょう?」
「ええ。
からしをつけても美味しいです。
このサクラ酒が進む。」
今日は日本酒ならぬ、サクラ米から造られたサクラ酒。
味はほぼ日本酒。
「寒い日に食べるのが格別なんですよ。」
「確かにこんな日に食べたくなる料理ですね。」
「ユーリ、僕これすき。」
「……僕はこれ。」
ミクロははんぺん、フィラはつみれを箸で持ち上げる。
「そっか、いっぱい食べな。」
「「うん!」」
俺はつぶにサクラ酒が止まらない。
「う~えるゔぃすさんはぁ、できないことはぁ、ないん、です、かー。」
「「ユーリが変!」」
「あらら、酔っていますね。
私が介抱しますから、双子ちゃんは2人でお風呂入って寝る準備できますか?」
「「うん。」」
「とりあえず移動しますよ。
よ、っと……。」
どこかからパタパタとふたつ足音が遠ざかっていったな。
なんでもできるエルヴィスさんになんかむかむかしてきて、目の前にある胸板にどん、どん、とおでこをぶつける。
その胸板がまた固くて意外とムキムキで自分のおでこの方が痛くてその首元に顔を埋めた。
「ユーリさんは絡み上戸ですか。
かわいいですけど、他の者にやらないか不安になりますね。」
「ん~?」
「なんでもありませんよ。
さ、水飲んで寝ましょう。」
「いーや!
えるゔぃすさん、手、ここ、よし。
そのまんまね。
離しちゃだめですよ。」
エルヴィスさんの手を腰に回してごそごそといい塩梅を見つけて目を閉じた。
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