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第2章

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魔法魔術の授業から帰ってきた双子はご満悦だ。

ちょうどおやつの時間だからできあがったチョコレートケーキを出す。
双子はそのチョコレートケーキを頬張りながら、あれをした、これをした、と嬉しそうに報告してくれる。

この時間は嫌いじゃない。

どうしてそこにつくんだ、というところにチョコレートクリームをつけた双子の顔を拭く。



「夜は何がいい?」

「「ユーリのごはん!」」

「はは、それはいつもだろう?」

成長するにつれて少しずつ俺が作った料理以外も食べられるようになったけれど、よっぽどのことがない限り、と言う感じで基本的には俺のごはんを食べてくれる。

今日はかぼちゃのチーズグラタンにバゲッド。
余ったかぼちゃはポタージュにして明日の朝に回せばいいかな。

かぼちゃのチーズグラタンにはチーズの上に粉チーズを追いチーズする。
こうすると粉チーズの部分がこんがり焼けて香ばしくなる。

いつものように双子とエルヴィスさん、チェルロさんと晩ごはんを食べる。


「ゲージがね、1本と半分いったの!」

「……僕も。」

双子が今日の出来事を嬉々として報告している。

今日を楽しみにしていたことを知っている2人は何度も繰り返される双子からの報告を飽きずにうんうんと聞いてくれている。
すまないね。おふたりさん。



ごはんも食べ終わりまったりタイムに突入すると、唐突にチェルロさんが爆弾を投げ込んだ。








「俺、明日ここから出ていきます。」










……はい?


「……えっとそれはどういう……。」

「あぁ、出ていくといっても薬屋には勤めますよ。

俺の家族がやっとこっちに来れそうなんで。
俺の与えてもらってる薬屋の部屋に家族みんなで暮らすのはさすがに厳しいですからね。」

「……家族?」

「妻と息子です。」

……はい?

チェルロさんはこちらの気持ちなんて関係なくどんどん爆弾を投下してくる。

え?チェルロさん家族いたの?
っていうかそもそも結婚していたの?
さらに子どもいるの!?

というか仮にも1年は一緒にいたし、家族のように親しくしていたのにあっさりしすぎていない?

遊んでいた双子もいつの間にか遊ぶ手を止めて話を聞いていたらしく、泣きそうな顔でフラフラと座っている俺の膝まで来て辿りついた途端ぴゃーと泣き出した。

「えぇぇ!ちびちゃんたちそんなに泣かないでよ!
住むところが変わるだけで毎日会えるから!」

「「ほんと……?」」

「ほんとほんと!
ほら明日も会えるし!」

明日も会えると言う言葉になんとか双子は泣き止んだ。

双子にとってチェルロさんはお兄さんのような存在なんだろう。
俺は双子の兄だけれど育てなきゃいけないという点で俺はもう若いお父さんポジションになってしまっているだろうから。

あ、若いっていうところは譲れない。




それにしてもチェルロさん、結婚していたのか……。


結婚かぁ、俺にはどこか遠い話だ。



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