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第1章
74 side 双子
しおりを挟む「「おいしー!」」
やっぱりユーリのごはんは美味しい!
「ユーリさんのごはんついつい食べすぎちゃうよなぁ……。」
「本当に美味しいですよね。
私もユーリさんの料理が一番美味しいと思います。」
いろんなところに行っていろんなものを食べているふたりが言うんだ。
ユーリのごはんはきっと世界一美味しいんだ!
「そうだ!
チェルロやエルヴィスさんは竜になれるの?」
「もちろんなれますよ。
なんていったって“竜”人族ですからね。
でも竜の姿になるのは故郷くらいですね。
いかんせん場所をとるので。
そうですねぇ。」
そう言うとエルヴィスさんの背中から僕たちの身長くらいあるでっかい黒い翼が現れ、その黒い髪の間から僕たちの腕くらいの黒くてツヤツヤした角がメキメキと生えた。
「「うわぁぁっ、かっこいい!」」
「竜人族は人族と同じ姿にもこのような姿にも完全な竜の姿にもなれます。」
チェルロにせがんで見せてもらえばチェルロは赤い翼に緋色の角が現れた。
エルヴィスさんよりは少し角は短い。
竜人族も人によって色や形が違うようだ。
それからは湖の周りで追いかけっこをしたり、もう一度森の中に入って薬草の種類や捕り方を教えてもらったり、動物と触れ合ったりした。
初めての探検はとても楽しかった。
早くユーリに話したいと家路を急いだ。
家についたと思ったらユーリにこの探検の話をしようとしたらハンカチで目を塞がれて事務室に案内される。
ハンカチが取られれば、目の前には今まで見たこともないご馳走が並んでいた。
「「「ミクロ、フィラ、6歳の誕生日おめでとう!」」」
……!!
そっか、今日はユーリに出会って1年だ。
誕生日の知らない僕たちに誕生日をくれたんだ……。
なんだろう、すっごく嬉しいのになんでか泣きそう。
嬉しくて嬉しくてたまらないのに泣きそうになっている顔を見られたくなくてユーリの太ももに顔を隠せばその気持ちすらわかっているよというように頭をそっと撫でてくれた。
ご馳走をお腹いっぱい食べてそれぞれにくれた誕生日ケーキもみんなと分け合って食べた。
僕たちは双子で、2人で1人だけど、1人ずつでもある。
ユーリはいつもお揃いとかはしてくるけれど、2人で1つ、とかは絶対にしない。
初めての誕生日プレゼントは3つももらうことができた。
しかもとっても素敵なもの。
ボール遊びもしたいし、リバーシもしたいし、薬作りもしたい。
アレックスさんの剣の真似もしたいし、杖で術式を組むふりもしてみたい。
なんでやりたいことがたくさんあるのに体はひとつしかないんだろ。
でもちょっとずつ遊んでいくのも楽しいよねって2人で話し合ってちょっとずつ、何回も遊ぶことにした。
まぁ、寝るときは持っていけるおもちゃは持っていっちゃったけれど。
ユーリは呆れながらも嬉しそうに許してくれた。
誕生日って嬉しい!
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