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第1章
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しおりを挟む今日は第2騎士団の順位戦。
昨日結局ごはんも食べずに寝通した双子は朝ごはんを俺と同じくらい食べた。
ミクロは昨日買ったアレックスのキーホルダーをカバンにつけてホクホクで準備を終えていた。
フィラは若干眠そうだ。
会場につけば昨日と席は同じだったのだが今日は先客がいた。
若草色のドレスをきた女性だ。
そう一度俺のカフェに来てくれたフェリックスさんの奥様、フェリシア様だった。
それともう1人側には薄ピンクのかわいらしいドレスを着た7歳くらいの女の子もいた。
「まぁ、来てくださったのね。
嬉しいわ。
さぁ、礼儀や作法は気にしなくていいから座ってください。
あ、紹介しますね。
この子は娘のアリステア。
ほら、アリス、ご挨拶を。」
フェリシア様に促されたアリステア様は見事なカーテシーと共に挨拶してくれた。
「ルクセンベルク家長女、アリステアともうします。」
だいぶおしゃまなお嬢様なようだ。
「丁寧なご挨拶をありがとうございます。
小さなレディー。
私はしがないカフェの店主をしておりますユーリ=トウカと申します。
この子達は弟のミクロとフィラです。」
「ミクロです。」
「……フィラ、です。」
2人は若干俺の後ろに隠れていたけれど、きちんと挨拶はできた。
アリステア様は2人の色彩に偏見はない上に面倒見のいい性格なようで、話かけに来てくれた。
「フェリシア様、薬屋の店主のエルヴィスさんとチェルロさんです。」
2人をフェリシア様に紹介して席についた。
今日はフェリシア様、アリステア様、双子、俺、エルヴィスさん、チェルロさんの席順だ。
席順は決まったのだが、フェリシア様は身重であることもありフェリックス様の試合が来るまで、違うところで休むことになった。
あまり試合に興味なさそうなアリステア様も一緒に。
貴族だから、どこか違う場所があるのだろう。
第2騎士団所属でカフェに来てくる方たちを応援しつつ、フェリックスさんが出る試合を待った。
「いよいよですね。」
第2騎士団も決勝は団長対副団長だった。
どちらかというと細身のフェリックスさんに対して副団長は筋骨隆々の大男だった。
双子の身長ほどあるメイスを持っている。
俺ならあれに触れただけで死にそうだな。
一方フェリックスさんは素手だったから昨日の副団長の方みたく魔法が主なのだろう。
この世界では魔法のために杖を使うことはなくて杖を使うのは魔術の方だ。
術式を組むときに必要になる。
俺はまだ自分専用のは持っていなくて、適当に買った中古のやつを使っている。
基本的に自分の武器は自分で材料を集めないといけないから、戦えない俺は中古で我慢するしかない。
いずれどこかのお店や商会を通して買うことができればいいかなーって考えて入るけれど、それも財布と相談だ。
お金に今は困っていないとはいえ、何でもかんでも欲しいからと買うわけにはいかない。
家のときみたく必要に迫られることもあることもあるかもしれないし。
…………自分の杖を手に入れられるのはいつになることやら……。
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