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第1章
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しおりを挟む双子が剣に夢中だったので席に戻れたのはエキシビジョンの開始ギリギリだった。
ピューイ
どこからともなく美しい笛の音が聞こえて周囲を見渡せば、場外から三角の形をした赤い飛竜が三角の形になって飛んできた。
その隊列を崩さずに縦横無尽に空を駆け回る。
「うわぁ……!」
竜だ!
おとぎ話の中でしか聞いたことのなかったその存在に思わず俺も興奮してしまった。
ミクロなんて先ほど買ったキーホルダーと見比べてもう大興奮だ。
……フィラは凄すぎて若干目を回しているきがしないでもないが。
竜が去っていったと思ったらいつの間にか競技場に立っていた火魔法を持っている人たちを中心に今回の順位戦に参加した人がパフォーマンスを見せてくれる。
火魔法の者を中心にしているのは第3騎士団のイメージカラーは赤だからだろう。
「「かぁっこいい!!」」
……双子の中で一大ブームが起きそうだな。
孤児院じゃ孤児院の中で生活が完結してしまうから今まで警らしてくれていた騎士の存在にすら気づいていなかったかもしれない。
帰路についている間も双子は俺や一緒に来てくれた2人に何がかっこよかったかずっと語っていた。
「まぁ、こうなるよねぇ。」
汗あみれ砂まみれの2人を家についたらすぐにお風呂に入れたのだが湯船に浸かっている間に2人は舟を漕ぎ出し、お風呂から上がることには寝落ちていた。
お腹が空いたら起きるだろうと、薬屋の方のお風呂に入りに行ってカフェに戻ってきた2人とお茶にする。
今日の夕食は俺もさすがに疲れちゃったから俺のアイテムボックスに眠っている出来合いにする。
「ファントーム皇国でも順位戦のようなものがあると前に言っていましたがこんな感じなんですか?」
「私たちのところは竜の姿でやりますよ。
たまに山がひとつ潰れたりします。」
「……え?」
「あぁ、でも皇帝が元に戻せるので大丈夫です。」
「…………え?」
「竜の姿の方が力加減しなくていいので楽なんですよ。」
竜人族、桁違いじゃん……。
「見てみたいですか?
ちょうど1年後に開催されますよ。」
「怖い、ですけど、数年に一度なら見てみたい、ですね……。」
「ではそのときになったら招待しますよ。」
1年あれば心の準備もできているはず!
あ、でも双子は怖がるかな……?
いや今日の様子を見ていたら怖がらないどころか、大興奮しそうだな…
エルヴィスさんと話している間、チェルロさんは以前双子が作ってくれてアイテムボックスにしまっていたオレンジのパウンドケーキとりんごのパイをもっしゃもっしゃと食べていた。
「ちびちゃんたちも料理の才能ありそうっすね!」
なんて言いながら。
エルヴィスさんの分まで食べそうな勢いでエルヴィスさんに笑顔で怒られていたけれど。
…………チェルロさん……。
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