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第1章

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試合が終わりお昼ごはん。

席の前に敷物を敷いた。

お弁当を広げるのはエルヴィスさんとチェルロさんに任せて、俺はアレックスさんの元へ。



と思ったのだが、アレックスさんは現在治療をしているということだったので、お弁当は秘書の方に渡して俺はすぐその場を立ち去った。



席に戻ればみんな俺を待ってくれていた。

「ごめん、待たせちゃったね。
じゃ……!」

「「「いただきます!」」」

弁当はアレックスさんたちに渡したのとほぼ一緒。
まるで運動会のお昼ごはんだ。

俺は経験がないけれど、周りの子はみんな家族とこうやってお弁当を囲んでいたのをみていた。


……この世界に来て幼い頃にできなかったことを体験できている。


「ユーリ!これおいしい!」

ミクロが差し出してきたのは焼きそばパン。

「本当?よかった!
野菜も食べてるんだよ。」



「……ぼく、これすき。
……おいしくて、きれい。」

フィラが差し出してきたのはオレンジのフルーツサンド。
切った断面を花のようにしていて、それがフィラの琴線に触れたようだ。

ちびちび齧っては断面をみている。


「フィラ、きれいっていってくれるのは嬉しいけれど、あんまりゆっくり食べてたら他のおかず食べられなくなっちゃうよ。」

いつもごはんを美味しいって言ってくれるチェルロさんは右手に焼きそばパン、左手にサンドイッチを持っていた。



「ユーリさんのごはんは本当に美味しいですねぇ。
私、ユーリさんの作ってくれるごはんが今まで生きてきた中で一番すきです。」

唐揚げをぱくつくエルヴィスさんがそんな嬉しいことを言ってくれる。

「そんな嬉しいことを言ってくれるなんて、どんどん食べてくださいね!」

エルヴィスさんは所作がきれいだから食べる姿もきれいなんだけれど、意外と食べる。
それはチェルロさんも。

双子もいつもより食べてくれて8人前ほどあったお弁当はペロリときれいさっぱりなくなった。




お昼ごはんを食べ終え、一度会場の外へ出る。
なんと外の出店に順位戦のグッズが売っているようだ。

双子と手を繋いで見にいくとそこにはマグカップやキーホルダーの小物から、騎士の服を模した子ども用の服などまで売っていた。

「フィラ、あった!」

「……うん!」

双子はアレックスさんのコーナーを見つけ、俺の手を引きながら駆けていく。

一番人気はやっぱりアレックスさんなのだろう。
設けられているコーナーが大きい。



ミクロはマスコット化したアレックスさんが飛龍に乗っているキーホルダーを買い、フィラはピンとくるモノがなかったのか何も買わなかった。


そのあとはエキシビションが始まるまでミクロもフィラも展示されていたアレックスさんの大剣のレプリカの前にへばりついていた。
他にも子どもがいて見えなかったからか、付き添ってくれていたエルヴィスさんとチェルロさんに肩車を頼んで。




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