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第1章
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しおりを挟む今日のランチはハンバーガー。
贔屓にしているパン屋さんに頼んで作ってもらったふかふかのバンズを噛んだとき香ばしさと食感が楽しくなるように少しだけカリっとさせる。
そこに特製ソースを塗って、シャキシャキのレタス、フレッシュなトマト、肉汁を閉じ込めたパテ、とろりとしたチーズ、程よい酸味のピクルスを入れる。
今日はサラダはなしにしてフライドポテトにした。
ハンバーガーのセットといえばフライドポテト!
これは譲れない。
本当はスカッとするためにソーダあたりをつけたかったところだけれど、炭酸にまだ出会っていないから仕方がない。
ラッシーを今日はセットにつけた。
いつもと違うメニューに双子の目が輝いている。
お昼これにしてあげよ。
カフェに来てくれるお客さんは常連さんが9割、新規のお客さんが1割で安定してきている。
注文を受けてハンバーガーを作っていると、配膳係のミクロが俺のところに何かを持ってきた。
「ユーリ、これもらったー。」
「んー?」
ミクロから何かをもらうと何かのチケットが2枚あった。
「誰にもらったの?」
「アレックスさん。」
ミクロから一旦預かってアレックスさんの元へ向かう。
「アレックスさん、ミクロがアレックスさんから頂いたとこれを持ってきてくれたのですけれど……。」
「ユーリくん忙しいから閉店後でいいって言ったんだけどミクロくん我慢できなかったか。
それは順位戦の招待状だ。」
「順位戦?」
なんでも各騎士団ごとに年に1回騎士団内での順位を決めるトーナメント戦があるそうだ。
それによって階級が変わってしまうこともあるのだとか。
「そんな大事な試合にただのカフェの店員が行っても大丈夫なんですか?」
「これには下心ありだ。
もちろんお金は払うがその日差し入れにこのカフェのお弁当を持ってきてほしいんだ。
俺はここの料理の大ファンなんでね。
試合の日は美味しい昼食を食べたいものさ。
それに男の子ならこういうの好きだろう?
俺のところの長男と次男は今から楽しみにしているよ。」
俺は剣とか正直怖いが、アレックスさんのお子さんが楽しみにしているところを見るに男の子はこういうのに興味があるのかもしれない。
確かに、この世界じゃ騎士は憧れの職業だ。
「ありがたく頂戴します。
何か食べたいものがあれば事前に教えてください。
お弁当にできそうなら用意しますので。」
「こちらこそありがとう。
楽しみにしているよ。
そうそう、この招待券は1名につき、2名付き添い可能だから、残りの1枚は誘いたい人を誘うといい。」
そう言ってハンバーガーを絶賛してアレックスさんは去っていった。
仕事着じゃなかったところを見るに休日だったのだろう。
閉店後、双子に順位戦の話をしたら
「行きたい!」
「……僕も。」
2人の目がキラキラし始めた。
何がなんでも行くことにしたのはいうまでもない。
「楽しみだね。」
「「うん!」」
楽しみな予定が増えた日だった。
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