気まぐれ店主ののんびり？生活

第1章

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乗合馬車に乗って市民街の端の方へ向かう。
そこは小さな要塞になっていた。

この小さな要塞の中にいろんな工房が入っている。
要塞みたくなっているのは技術が漏れるのを防ぐためだろう。

ここには紹介状がないと入れない。
俺は商業ギルドにある程度まとまったお金を入れて紹介してもらった。

タグを見せて、目的の工房に足を進める。

「ドムさん、おはようございます。」

「なんだ、お前か。」

ドワーフのドムさん。
俺が贔屓にしている職人さん。

「ドムさんに依頼がありまして。
これ、作れます？」

そう、作ってもらいたいのはたこ焼き機とホットプレート。

「……何に使うんだ？」

「新しい料理に使うんですよ。」

ドムさんにあれやこれやと質問され、また変わったものを持ってきやがって、と小言をもらって設計書を受け取ってもらえた。
拙い設計書でもドムさんにかかれば予想以上の出来になって納品される。

「今は2つ仕事があるから少し時間くれや。」

「はい、よろしくお願いします。」

お酒好きなドムさんに以前歓迎会のときに作って避けておいたアクアパッツァを献上して工房を後にした。

「やばい、時間がやばい。」

工房で依頼したらカフェに戻ってコーヒーブレイクでもしようかな～なんて思っていたのにあっという間にランチタイム1時間前になっていて急いで乗合馬車に乗って戻ったのだった。

きちんと家に帰ってきていた双子には置き手紙を残しておいたとはいえ、心配されてしまった。
反省。









本日のランチはハンバーグ。
味はデミグラスソース。

開店と同時に少ない席はあっという間に満席になってしまった。

心苦しいけれど数人には店の外で待ってもらう。
店の外で待ってもらう人に薬屋さんができたことが宣伝できていいのかもしれない。

「お会計はハンバーグのセットとガーリックバターで2,300イェンです。」

「今日の会計係はミクロくんか。」

「はい！」

ミクロとフィラには日替わりで会計を任せているんだが、話し方に特徴があるからか、通ってくれているお客さまは2人の見分けがついているみたいだ。

ちなみにフィラは配膳係。

ミスがないか心配はあるけれど、料金は数種類しかないしカフェを開いた日には毎晩チェックはしている。

「フィラ、ここはいいからこれ、届けてきてくれる？
ゆっくりでいいからね。」

「……うん。」

ハンバーグセットをトレーに乗せてフィラに渡す。
これはエルヴィスさんとチェルロさんの分だ。

中を通って、薬屋の方の2階のリビングに置いてきてもらう。
フィラは体が小さいから1セットずつ。

これで2人のお昼ご飯は心配なし。

無事に13時までのランチタイムを終えれば今度は俺たちのごはん。
ランチタイムのハンバーグのスープセットを食べる。

「俺たちはちょっとスペシャルにしよっか。」

チーズを乗っけて炙れば、チーズハンバーグの出来上がり。

美味しいね、と言い合いながら食べる。
今日も幸せ。