気まぐれ店主ののんびり?生活

朝比奈和花

文字の大きさ
上 下
18 / 83
第1章

18

しおりを挟む



「「これにする。」」

ミクロはヒーローが活躍する短編の童話をいくつも集めた読み聞かせの本。
フィラはほっこりするような可愛らしい短編の童話をいくつも集めた読み聞かせの本だった。

本も貴族向けなのか、表紙に刺繍がされていたりと本にしてはすごく豪華だ。

おぉ5歳なのに随分大人びたチョイスだな。
本が好きなら本屋のおじいさんのところに連れていくのもいいかもしれない。
あそこは子供用の本が売ってあるかはわからないけれど。

「大事にできる?」

「「うん。」」

会計を済ませ、俺もひとつおもちゃを買って店内を彷徨いている先ほどの女性を避けつつ店を出た。

「さて、今度は俺に付き合ってもらおうかな。」

「「はい。

……おもちゃ、ありがとう。」」

「ふふ、どういたしまして。」

重たいからひとまず本は預かって、俺が行きたかったお店に連れて行った。

「今から行くお店は貴重なものが多くて高いものや危ないものもおいてあるから商品には触れないこと、それから俺のそばから離れないこと、約束。」

「「はい。」」

王城により近いエリアにある魔道具店。

作ってみたいものがあって、その材料を買いに来たのだ。
本屋さんの隅で埃を被っていた本に惹かれて4冊ほど購入したのだが、『この世界の歩き方』というなんとも変わった題名の本にこの魔道具店の名前が載っていたのだ。

なんでも持ち主を選ぶ商品が多いらしい。

貴族街にあるお店なのに迷路のようになっている上に、いろんなものが雑多においてある。
これは双子と逸れてしまったら探すのに一苦労だ。

双子は列になって僕のローブを掴んでいた。

双子が離れていないか確認しつつ、欲しいと思っているものを探す。
急を要するものでもないから、出会えたらいいな~くらいで考えている。

「お、ラッキー。」

埋もれるようにあった随分と古いキャビレットの中が気になって開けてみれば、欲しいものがあった。
そのうちピンとしたものをとって、それからも色々見つけて会計を済ませた。

「いやぁ、ついていたな。」

それに1人だったら掘り出しものを探しにいくのも楽しいかもしれない。

「ユーリ、嬉しそう。」

「出会えるかわからないものに出会えたのだからそりゃあ嬉しいさ。」

「……何が欲しかったの?」

「ん~うまくいくかわからないからできるまでのお楽しみ。

結構時間経っちゃったから何か買っていこう。」

市街地に戻り、色々買って家に帰った。





「……どうした?
いつもより食べてないんじゃないか?」

「お肉かたい……。」

「……しょっぱい。」

「「ユーリのごはんがいい。」」

買ってきたものをお皿に並べてお昼にする。

双子は頑張っていたようだが、いつもの半分の量で食べるのをやめてしまった。
無理に食べるのも辛いからな。
余ったのをなんとか俺が食べ、なんともいえない昼食を終えたのだった。

「さ、2人には文字の練習と料理に使う基本的な調味料や食材を覚えてもらうよ。」

ふたりは文字は読めるけれど書けないから、その練習と調味料や基本的な食材を描いたイラストを渡して覚えてもらう。

「とりあえず晩ごはんまで頑張ろう。

俺はキッチンにいるから何かあったら呼んでくれ。」

事務室の扉は開けたままにして、キッチンでお弁当作りに励む。
休みの日にお弁当を種類ごとに30食作ってアイテムボックスにしまっておけば、朝余裕を持って準備できる。



しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!

ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。 ★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

竜王陛下、番う相手、間違えてますよ

てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。 『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ 姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。 俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!?   王道ストーリー。竜王×凡人。 20230805 完結しましたので全て公開していきます。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...