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第1章
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ミクロはヒーローが活躍する短編の童話をいくつも集めた読み聞かせの本。
フィラはほっこりするような可愛らしい短編の童話をいくつも集めた読み聞かせの本だった。
本も貴族向けなのか、表紙に刺繍がされていたりと本にしてはすごく豪華だ。
おぉ5歳なのに随分大人びたチョイスだな。
本が好きなら本屋のおじいさんのところに連れていくのもいいかもしれない。
あそこは子供用の本が売ってあるかはわからないけれど。
「大事にできる?」
「「うん。」」
会計を済ませ、俺もひとつおもちゃを買って店内を彷徨いている先ほどの女性を避けつつ店を出た。
「さて、今度は俺に付き合ってもらおうかな。」
「「はい。
……おもちゃ、ありがとう。」」
「ふふ、どういたしまして。」
重たいからひとまず本は預かって、俺が行きたかったお店に連れて行った。
「今から行くお店は貴重なものが多くて高いものや危ないものもおいてあるから商品には触れないこと、それから俺のそばから離れないこと、約束。」
「「はい。」」
王城により近いエリアにある魔道具店。
作ってみたいものがあって、その材料を買いに来たのだ。
本屋さんの隅で埃を被っていた本に惹かれて4冊ほど購入したのだが、『この世界の歩き方』というなんとも変わった題名の本にこの魔道具店の名前が載っていたのだ。
なんでも持ち主を選ぶ商品が多いらしい。
貴族街にあるお店なのに迷路のようになっている上に、いろんなものが雑多においてある。
これは双子と逸れてしまったら探すのに一苦労だ。
双子は列になって僕のローブを掴んでいた。
双子が離れていないか確認しつつ、欲しいと思っているものを探す。
急を要するものでもないから、出会えたらいいな~くらいで考えている。
「お、ラッキー。」
埋もれるようにあった随分と古いキャビレットの中が気になって開けてみれば、欲しいものがあった。
そのうちピンとしたものをとって、それからも色々見つけて会計を済ませた。
「いやぁ、ついていたな。」
それに1人だったら掘り出しものを探しにいくのも楽しいかもしれない。
「ユーリ、嬉しそう。」
「出会えるかわからないものに出会えたのだからそりゃあ嬉しいさ。」
「……何が欲しかったの?」
「ん~うまくいくかわからないからできるまでのお楽しみ。
結構時間経っちゃったから何か買っていこう。」
市街地に戻り、色々買って家に帰った。
「……どうした?
いつもより食べてないんじゃないか?」
「お肉かたい……。」
「……しょっぱい。」
「「ユーリのごはんがいい。」」
買ってきたものをお皿に並べてお昼にする。
双子は頑張っていたようだが、いつもの半分の量で食べるのをやめてしまった。
無理に食べるのも辛いからな。
余ったのをなんとか俺が食べ、なんともいえない昼食を終えたのだった。
「さ、2人には文字の練習と料理に使う基本的な調味料や食材を覚えてもらうよ。」
ふたりは文字は読めるけれど書けないから、その練習と調味料や基本的な食材を描いたイラストを渡して覚えてもらう。
「とりあえず晩ごはんまで頑張ろう。
俺はキッチンにいるから何かあったら呼んでくれ。」
事務室の扉は開けたままにして、キッチンでお弁当作りに励む。
休みの日にお弁当を種類ごとに30食作ってアイテムボックスにしまっておけば、朝余裕を持って準備できる。
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