気まぐれ店主ののんびり?生活

朝比奈和花

文字の大きさ
上 下
16 / 90
第1章

16

しおりを挟む



ちゅんちゅん……。



小鳥の囀り。
温かな日差し。
柔らかなリネン。
視界に入る真紅の瞳。



真紅の、瞳……?

「うぇ!?」

そう、双子が俺のベッドに乗り上げてこちらをじーっと見ていたのだ。
もはやホラーだ。

「うわぁぁぁ!

……じーっと見てたら怖いよ!
せめて起こして!」

「「わかった。」」

「朝からびっくりした……。

……おはよう。」

「「おはよう。」」

「それにしても芸術的な頭だな2人とも。」

2人の髪はどんな寝方をしたらそうなるんだってくらいあっちこっちに跳ねまくっていた。
片方が顔を洗っている間にもう片方の髪を直し、洋服を着替えさせて下に向かわせる。
俺も身支度を整えて下に向かえば2人はお菓子棚の前で値段の復習をしていた。

目を小さな手で押さえて問題を出し合っているのがかわいい。

「さ、手伝って~。」

「「うん。」」

店のキッチンと家のキッチンは下で兼用にしているから、上にダイニングはなく、カフェスペースは外から見えるから食べるのは事務室。
事務室のテーブルをふきんで拭いてもらい、カトラリーを出してもらう。
後は飲みたいものを自分で注いでもらう。

料理は火が危ないからやらせないけれど、自分でできるものは自分でやってもらうことにした。

簡単に作ったサンドイッチとサラダを食べながら今日の予定を話す。

「今日はふたりの従業員登録を商業ギルドにしにいって、買い物して、家に帰ったらまた昨日のように少し仕事してもらおうかな。」

「「はい。」」

昨日から2人と過ごしてわかったことがある。
顔はそっくりだけれど、だいぶ性格は違う。

ミクロは積極的で弟のフィラを引っ張っていく。
昨日の計算の仕方を見るに要領がいい。悪知恵も働くタイプだろう。

フィラはどちらかというとミクロの後ろに隠れるようなタイプ。
頭の回転が早く、細かなところにも気づく。

「さて、準備でき次第出発するから準備しておいで。
昨日買った鞄に昨日渡したお金も入れてね。

もしかしたら何かほしい物があるかもしれない。」

数分すれば2人はお揃いの鞄を持って降りてきた。

「よし、行くか。」




商業ギルドに行く前にふたりにも銀行口座を開かせておいた。

「いいかい、ふたりは成人するまで食べるもの、着るもの、住むところは俺が困らないようにする。

成人を迎えたら、お給料や商売をして自分で食べるもの、着るものを買って、住むところを探さなきゃいけなくなるかもしれない。
それに将来やりたいことがすごいお金がかかることかもしれない。

そのためにもお金を貯めていく必要があるわけだけど、家だったら貯めたお金を守ってくれる人がいない。
だから銀行に預けて代わりに守ってもらうんだ。」

「「わかった。」」

毎月一緒に来て少しでも入れさせていけばいいだろう。

銀行での用事を終えたら、商業ギルドに行き無事に2人の従業員登録を終えた。
左にミクロ、右にフィラと逸れないように手を繋いでいれば、双子の容姿がやっぱり珍しいからか注目されている気がした。

ま、2人はかわいいからな。




しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

処理中です...