14 / 83
第1章
14
しおりを挟む「お昼どきだけれど2人は昼食は孤児院で食べてきた?」
聞けば2人揃って首を振る。
よし、前に余ったお弁当があったな。
アイテムボックスにいれてるから大丈夫。
「今すぐ出せるのはこれくらいかな。」
お弁当を2人に渡し、スープも添える。
「お弁当って言ってね、朝売っているんだ。」
「「おべんとう……」」
蓋を開けて中を見た2人の目がキラキラしている、かわいい。
好き嫌いもないのか、2人はお弁当箱に野菜ひとつ残さずピッカピカに食べてくれた。
「えらいぞ、残さず、綺麗に食べれて!」
思わずサラサラの髪を撫でてしまった。
「さ、ごはんでお腹も膨れたところで、お仕事を頼みたいのだけれどいい?」
2人にはまずは売り出しているものの値段を覚えてもらうことにした。
お金も見たことなかった2人にお金を見せ、実際にものを覚えさせていく。
これくらいの子どもなら遊び感覚のほうが早く覚えてくれるだろうから。
「ミクロ、クッキーをください。」
「クッキーは500イェンだから、これ?」
「正解だ!すごいぞ!」
「フィラ、ラスクをください。」
「えと、400イェン……。」
2人はお金の種類も、商品の値段も覚えるのもとんでもなく早かった。
なんと一日でお釣りの計算までできたのだ。
「2人ともすごいな!
本当にすごい!
これなら明後日の営業から大活躍だよ!」
明後日はお弁当を手渡す、という作業をしてもらおうと思っていたけれど、ランチタイムのお菓子の販売を任せられそうだ。
「そんなすごい子たちにはお小遣いをあげよう。」
2人にお金の勉強も兼ねて、100イェン硬貨を5枚、500イェン硬貨を1枚渡した。
「このお小遣いは“弟”にあげるお金だよ。
毎月1の日に渡そう。
給料と一緒で使ってもいいし貯めてもいい。」
あちらの世界とは常識が違うから、働き方などもやっぱり違うし、契約内容びっくりしたものだ。
そもそも5歳で働くとは、ってなったけれど義務教育がある世界でもなく、孤児は生きることがまず重要なのだ。
これは孤児に限らず市民だってそうなのかも。
双子たちと計算の勉強をしていればあっというまに夜ごはんの時間になり、少しだけ余らせていた米を炊いてオムライスを作る。
家族になったからには今後米が出てくることが多々あるし慣れてほしい。
「これ、なに?」
「オムライス、っていうものだよ。
俺の故郷の主食米……ここではサクラマイか。
それを味付けしたものを卵で包んだんだ。
じゃ、食べようか。
いただきます。」
「「……イタダキマス?」」
「いただきますは作ってくれた人への感謝や、料理の具材を作ってくれた人、食材自体に感謝する挨拶なんだ。
俺は大事な言葉だと思っているよ。」
「「いただきます。」」
「はい召し上がれ。」
やっぱり子どもにも人気のメニューだからか、お昼のお弁当よりさらに食いつきが良かった。
米への抵抗もないみたいだ。
ごはんを食べた後はお風呂で2人を丸洗いして、髪を乾かし、歯を磨き、夢の中に片足突っ込んでいる2人をベッドに入れたのだった。
突如として増えた家族。
家族に縁が薄かった俺だけれど、これからの生活がきっと楽しくなるのだろうとワクワクしながら眠りについた。
2,356
お気に入りに追加
3,440
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

婚約破棄されたショックで前世の記憶&猫集めの能力をゲットしたモブ顔の僕!
ミクリ21 (新)
BL
婚約者シルベスター・モンローに婚約破棄されたら、そのショックで前世の記憶を思い出したモブ顔の主人公エレン・ニャンゴローの話。
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします
muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。
非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。
両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。
そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。
非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。
※全年齢向け作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる