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第1章
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しおりを挟む営業を週3日に減らしてから少し余裕ができたこともあって、朝のお弁当は限定30食まで増やすことができ、体をよく使う仕事をしている方々は量が足りないとわかってからは簡単なサンドイッチを別売りで売るようにした。
お昼は11時から13時と決めているけれど、材料がなくなって閉店になってしまう日もたまにあった。
当初想定していた何倍も順調だ。
今日も30分早く閉店してしまった。
「うーん、ここ、もったいないよなぁ。」
片付けを終えて、店内を見渡せばとある場所が目に入ったのだ。
キッチンコンロの裏に程よい棚があるんだけれど、植物を数個飾っているだけで使用していないに等しかった。
「よし、まずは買い物行こう!」
いいアイデアは大体お風呂か散歩中に思いつくのだ。
何かを見れば思いつくかもしれないし。
「おや、ユーリちゃん、さっきぶりだねぇ。」
「あはは、確かにそうですね。」
馴染みの雑貨屋さんに行けば、今日もランチを食べにきてくれた雑貨屋さんのおばちゃんが迎えてくれた。
本屋のおじいさんもそうだけれど、俺のご近所さんは面倒見のいい人たちなのだ。
雑貨屋さんをぐるりと回れば、コルク栓で封されたジャム瓶くらいの大きさのガラス瓶が売っていた。
!!
やっぱりアイデアは座ってるだけじゃダメだよね。
「おばさん、このガラス瓶って定期的に仕入れてます?」
「そこらへんの商品はいろんな用途で使えるから、売れればすぐに仕入れているよ。」
「じゃあ、今日ここにあるの全部買って行っても大丈夫ですか?」
「全部!?ははーん、また何か新しいことでも始まるのかしら?
いいよ、それだけ買ってくれるのなら5個分サービスしてあげよう。」
「!?ありがとうございます!
うまくいったらお礼しにきますね!」
「はは、楽しみにしているよ。」
大小さまざま口が広めのガラス瓶を買って行ったのだった。
店に戻って全部に浄化魔法をかけて綺麗にする。
それが終わったら、キッチンに戻って、ボックスクッキー、フロランタン、ビスコッティ、アーモンドのはちみつ漬け、ガーリックバター、パンのミミを利用したシュガーラスクを数時間かけて作り上げた。
クッキーとフロランタン、ビスコッティは味を変えて2種類ほど。
それを買った瓶に詰めて紋章が入ったタグを口のくびれた部分にワイヤーでつけ、あの棚に並べていく。
そして本屋さんで安く買った、あまり紙を切って棚に値段をつければ完成だ。
「なかなかいい感じになったかも。」
うん、カフェっぽくなった。
いずれはケーキなんかも売りたいなぁ。
ケーキとかはショーケースが必要になるからまた考えないといけないけれど、今のひとり経営じゃ無理だしなぁ。
お菓子作りを終えて今後の妄想を膨らませつつ、3日間の会計を締めた。
想像以上にうまくいっていて貯金を崩さずに利益で食べていくことができていた。
この調子でいけば、ひとりくらいは従業員を雇えるようになるかもしれない。
そうすればもう少しやれることが広がるかな。
そんなことを考えながら眠りについたのだった。
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