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第1章
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しおりを挟む商業ギルドの受付に行ってギルドカードを差し出す。
「紋章の登録と依頼を出したいのですが。」
「紋章の登録ですね。
今は誰も待っている方はいないので、そのまま登録室へ向かってください。
ご依頼の件は登録完了後お伺いしますので、登録が終わりましたらまた受付の方にお越しください。」
「わかりました。」
本屋のおじいさんから教えてもらったのだが、お店をやるなら紋章登録をしておいた方がいいらしい。
紋章はいわば店の印、ロゴマークやブランド名みたいなものだ。
登録しておけば店の商品に紋章を入れて周囲にお店をアピールしたり、信用を買うことができるし、登録しておけば物や知識を盗まれてもギルドを通して対応することができる。
俺ならレシピなんかを紋章と一緒に登録しておけば、使用料も入るし、知識的財産を守ることができるってわけだ。
まぁ、俺が考え出したものではないしレシピの特許を取るつもりはない。
まぁ、お弁当システムは食中毒の問題もあるから下手に真似されないように登録した方がいいかな。
もしかしたら真似しようとしてくれる人もいるかもしれないし。
俺としては真似してくれたら俺以外のお弁当も食べることができから万々歳だ。
「ようこそいらっしゃいました、ユーリ様。
紋章の作成と登録を承っております。
何か希望などはありますか?」
「この花を円のようにして下の方にこの文字を。」
藤の花2房を左右対称に上から下に円のように並べてもらい、下には漢字で藤花の文字を。
日本で生まれたことを忘れないように。
それに漢字なら真似しづらいだろうし。
「似ているような紋章もないですし、登録できますよ。
ギルドカードをお預かりしてもよろしいですか?
ギルドカードに紋章を登録いたしますので。」
「よろしくお願いいたします。」
数分するとカードが返ってきた。
「工房等にはこのギルドカードを見せると商品に彫ったり、書いたりしてくれます。
契約の際はこのカードを契約書に触れさせるとサインできます。」
「便利ですね。」
「複製も難しいですからなかなか好評ですよ。」
それから受付に戻り、お弁当システムの特許を取得し、ギルドが紹介してくれたいくつかの工房を回って欲しいものを作成してもらった。
口コミで限定食が広がったのか、1週間経つ頃にはお店を開いて1時間ほどで売り切れてしまうようになった。
やっと頼んでいたお弁当箱なども届いたし、軌道に乗ってきたこともあり、お試し期間も終わりということで少し営業方法を変えることにしたのだ。
思い切って営業は週3日だけ。
ランチは11時から13時の2時間だけ。
朝は1時間限定で限定20食お弁当を販売する。
お弁当箱は返却してくれれば10%引き。
スープセットは持参してもらった水筒に入れるか、紋章入りの水筒を買ってくれたらお玉一杯分お弁当箱につけることにした。
お弁当箱には藤の花の紋章を入れてもらった。
返却してくれたことがわかるように。
たくさん稼ぐより、この世界に来たからには色々なものを見たりしたいし、いずれは旅行だってしてみたい。
だから詰め詰めで働いたりせず、のんびりとした生活を送っていきたい。
その日の夜はランチの仕込みと弁当作りに励んだ。
アイテムボックスの鞄に出来上がったお弁当をせっせと入れていく。
スープも熱々のまま寸胴鍋ごと鞄へ。
ランチもある程度仕込みをしておく。
そして今後のためにもちまちま準備をしておいた。
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