玉響から久遠へ

朝比奈和花

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after story 3

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side 縞


心がいっぱいすぎて疲れなんてどこかいきました!という若さの塊の京弥くんが作ってくれた朝ごはんはとても美味しかった。

「美味しい……美味しいね、これ。」

ずっと砂を噛んでいるかのような食事だった。
せっかく京弥くんが作ってくれた食事を美味しく食べられないのがとても悲しかった。

でも今はトマトの酸味と甘みがちゃんとわかる。

京弥くんは驚いてお医者さんを呼び、俺はすぐさま検査された。

お医者さんが言うには味覚障害は精神的なものだったからつがいができて精神的に安定したのだろうということだった。

手の方ももう爪は生えているし痛めたところを動かさなければ1週間程度で治るとのこと。



それから俺は京弥くんにも手伝ってもらってリハビリをして縞さんはここですきなことをしていていいんだよ!?と言ってくる京弥くんをなんとか説き伏せて職場へ復帰することにした。

つがいになってからほぼ京弥くんと一緒だったから少し不安はあるけど、でもきっと大丈夫。

京弥くんは職場と連絡をとってくれていたようで復帰もスムーズにできそうだったけれどやっぱり散々迷惑をかけた俺自身がきちんと謝るのが道理だ。



京弥くん同伴のもと一番迷惑をかけた甲斐さんに会いに行くと甲斐さんはその物静かでダンディーな雰囲気を粉々にしてくしゃくしゃの泣き顔で無事でよかったと手を握ってくれた。

京弥くんは俺が京弥くんの部屋にひきこもっていたときに甲斐さんには挨拶してつがいになったことも知らせてくれていたらしい。

甲斐さんから信頼されている様子を見て俺が戻りやすいようにしてくれていたんだなと改めて感謝した。

……甲斐さんは俺の中では親同然だったから甲斐さんと京弥くんの様子を見て嬉しかったのもある。


京弥くんに

「僕たち結婚するんだから一緒に暮らしましょう!

でなきゃ、お仕事に復帰することを許可してあげられないなぁ。

あ!近々婚姻届取りに行かなきゃ!
あと結婚指輪も作ろう!

縞さんは婚約指輪もほしい?
まぁ婚約期間なんてほぼないようなものだけど婚約指輪は少し豪華にできるらしいし、うん、やっぱり必要だね。

ね、縞さん!」

ときらっきらの笑顔で言われてしまっては全てに首を縦に振ることしかできず……。

若者の勢いって怖いなぁ、と思わず苦笑してしまったけれど同時にそれだけ俺を大事にしてくれている気持ちになれて心が温かくなった。

つがい=結婚というのも泣きそうなほど嬉しかった。

あぁ、幸せ。





END.



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