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main story
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しおりを挟む※残酷(暴力的)な表現があります。
苦手な方はご遠慮ください。
side 縞
「俺、カウンター内のごみを出してきますね。」
お客様に聞こえないようこっそりと伝える。
「雨降っていて地面滑るから気をつけろよ。」
「はい。」
カウンター内の空き瓶や細々としたごみをまとめてオフィスを通り、裏口から少し離れた専用のごみ捨て場に向かう。
「うわぁ、雨ひどいな。」
裏口から出ると水たまりにいくつも波紋が広がるほど雨が降っていた。
ついでにオフィスのごみもまとめて持ってきたから傘なんてさせなくて濡れながらごみを運ぶ。
「ふぅ、重かった……。
早く戻らな、んぐぅっ!」
手をパンパンと払って戻ろうと振り向いた瞬間に口を塞がれて裏路地に引きずり込まれた。
空いている手足を必死にばたつかせて抵抗するが手や足は空を切ってしまう。
それに佐助くんに付き合って飲んだお酒やお客様に付き合って飲んだお酒が抜け切っておらず思考が少しぼやけている。
「大人しく、しろ!」
バシャン、と音を立てて水たまりに倒された。
したからじわりとワイシャツを通して水がまとわりつくのが気持ち悪い。
「なんで……っ。」
けれど濡れる身体より押し倒してきた人物が5年前に俺を捨てた運命だったことに身体が動かなくなる。
目の前にいる男は息を荒くしてまるで獣のように俺に迫ってきた。
「っやだ、なに、やめて、やめろ!
……誰か!助けて!」
必死に助けを求めるがこんな裏路地には誰も来ない…
容赦なく男の手が顔に飛んできてその衝撃に目の前がまっしろになる。
「うるせぇ。
お前、俺の運命だろ?
5年前、熱の籠った気持ち悪い目で見てたもんなぁ?
おら、黙って股開けよ!」
必死に内股に力を入れるも圧倒的な力に為す術もない。
「な、なんで、あのとき……あのとき貴方はあの子を選んだ……っ!」
「あぁ、今では結婚して俺の妻さ。
でもβじゃαの子どもを産む可能性はほぼない。
それじゃあこの優秀なαの血が途絶えるだろう?
どうしようか悩んでいたときにまたお前を見つけたのさ!
Ωなんて子どもを孕むための寄生するしか脳のない種だろ!?
それにお前は俺の運命なんだから好きにしていいはずだろ……?
そもそもお前みたいな平凡を相手にしてやる俺にお前が感謝すべきなんだ。
ほら言えよ、犯してくださいって。
優秀なα様の子を孕ませてくださいってなぁ!」
言葉という暴力を浴びせながら俺の服を脱がせてきて必死に抵抗するが殴られ続ければもう抵抗する力は残っていなかった。
ずっと前に割れてしまった心の破片が硝子のナイフに変わって俺を鋭く切りつけてくる。
なんでこの人がαなんだろう。
なんでこの人が俺の運命だったんだろう。
なんで俺はΩなんだろう。
……なんで俺は生まれてきてしまったんだろう。
「ぐ、あ“ぁっ!い“っ……!
……っぅあ“あ”あ“ぁぁぁぁっ!」
どこかで聞こえる絶叫は遠くてひたすら喉とお尻の穴が熱い。
身体を反転させられ至る所に噛みつかれ首あたりから血の匂いもするが痛みはもう感じなかった。
「縞さん!!」
現実か、幻想か。
もうよくわからないけれど俺の目の前には青砥くんがいた。
君を悲しませた日も雨だった。
ごめんね、悲しませて。
こうなるなら年甲斐もなく君を愛してほしいとわがままを言えばよかった。
こうなるなら運命と出逢っても俺を選んでと言えばよかった。
こうなるならさっさと生きることすら諦めればよかった。
だから俺を唯一愛してくれた君に頼みがあるんだ。
「おれを……ころ、して……?」
君の愛してると言ってくれた言葉だけ持ってもう1人になりたい。
おれの意識はそのまま暗闇に沈んでいった。
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