61 / 65
花を持たせる
しおりを挟む
「イイノカ?」
遠くから響く歓声に、肩に止まった相棒がカイの方を見やる。
「ああ」
歓声の向こうに見えるのは、手を振る人々に応える小さな影、人々の生活を脅かす魔王を倒した勇者。
「ダガ、魔王ヲ倒シタノハ」
「俺は、手伝っただけだ」
カイの肩で翼を広げた相棒を、首を横に振ることで黙らせる。
余所者のカイがしゃしゃり出ても、冷たい視線を向けられるだけ。この国で生まれ育ったあの勇者に花を持たせた方が、人々も納得するし、あいつも、……不幸な生い立ちから脱出できる。だから。
風に乗って飛んできた、勇者を歓迎する花の欠片を掴む。自分には、萎れかけたこの花の方が似合う。一人頷くと、カイは、人々の歓声に背を向けた。
遠くから響く歓声に、肩に止まった相棒がカイの方を見やる。
「ああ」
歓声の向こうに見えるのは、手を振る人々に応える小さな影、人々の生活を脅かす魔王を倒した勇者。
「ダガ、魔王ヲ倒シタノハ」
「俺は、手伝っただけだ」
カイの肩で翼を広げた相棒を、首を横に振ることで黙らせる。
余所者のカイがしゃしゃり出ても、冷たい視線を向けられるだけ。この国で生まれ育ったあの勇者に花を持たせた方が、人々も納得するし、あいつも、……不幸な生い立ちから脱出できる。だから。
風に乗って飛んできた、勇者を歓迎する花の欠片を掴む。自分には、萎れかけたこの花の方が似合う。一人頷くと、カイは、人々の歓声に背を向けた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
池手名 伊三(いけてな いぞう)物語 ~うっとしいおっさんが行く~
わいんだーずさかもと
大衆娯楽
こんなおっさんおったらうっとしいやろなぁっていう、架空のおっさん「池手名伊三」を描いていきます。短めの話を一話完結で書いて行こうと思いますので、ゆるい感じで見ていただければ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる