瞳の奥の漁火~女をいたぶる狂気の女~

黒野拓海

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地下室の悲劇

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ついに焼きゴテが、真っ赤に焼けただれた状態のまま、蒔の太股に押しつけられた。
次の瞬間、比べものにならない程の熱さと痛みが蒔を襲った。

「あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~っっ!いやあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~~っ!やめてええええぇぇぇぇぇ~~~っっ!熱いいぃぃっ!ああああああああぁぁぁぁ~っ!熱いいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~~っっ!あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~っっ!いやあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~~っ!足がああああっ!足がああああああああああぁぁぁぁぁぁ~~~っっ!熱いいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ~~~~っっ!!」

凄まじい絶叫が部屋中に響きわたった。
まさに断末魔の叫びだった。

蒔は、内蔵が飛び出すのではないかと思う程の悲痛な声を上げながら、限界を越えた苦痛に耐えられずに激しく暴れた。それは、きつく縛り上げられた両腕を自ら折ってしまいそうな程の凄さだった。

蒔の太股からは、白い煙が上がり、肉の焼ける音と臭いが高田を覆った。

覚悟を決めていた筈の高田も、所詮は暴力には素人だった。

たまらず両耳を塞いだ高田は部屋を飛び出した。

その背中を、蒔の哀しい叫び声が追いかけて来た。

高田は1階に駆け上がると、ロビーの椅子に座り込み、頭を抱えて゛事゛が終わるのをじっと待った。


そして1時間後。。

高田が恐る恐る静まり返った処置室に戻ると、既に男の姿はなかった。
中央の治療台には、意識を失いガックリと首をうなだれた蒔の姿があった。
彼女はまだ縛られたままだった。

そして、縄を解いてやろうと静かに蒔に近づいた高田は、彼女の有様を見て愕然とした。

「あ、あいつは悪魔か。。なんて事を。。」

蒔の右の太股にはジャッジのそれを正確にイミテートした焼き印が、くっきりと押されていた。
それは、一見しただけで息苦しくなる程の痛々しさだったが、高田が衝撃を受けたのは、そんな事ではなかった。

高田が驚いたのは、焼き印が蒔の左の太股にも押されていた事だった。
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