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地下室の悲劇
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しおりを挟む○月○日○曜日
銀座 ウエノ ユカリ ビューティクリニック B1処置室
深夜、若王子 蒔(まき)は、B1の一番奥にあるドアをノックした。こんな夜更けに通常社員しか通れない通用口から入ってきたのには、理由がある。今夜蒔がここに来た事は、誰にも知られてはいけなかったからだ。
「どうぞ。」
中から男の声がした。蒔は、一度大きく深呼吸すると、意を決してドアを開けた。
今夜。。
自分はこの部屋で足に焼き印を押されるのだ。多額の報酬と引き替えに。。
だが、別にこの部屋の中に今やその存在が社会現象となっている゛ジャッジ゛がいる訳ではない。
これは、ウエノ ユカリ ビューティクリニックが仕組んだ偽装なのだ。
そして、蒔はそれに荷担しようとしている。。
蒔は緊張した面もちで部屋に入った。すると、奥の机に向かっていた初老の男が椅子を回転させて振り向いた。
「やあ、待っていたよ。」
男は、蒔に軽く微笑むと、部屋の中央の治療台を指さした。
蒔は緊張した面もちで部屋に入った。すると、奥の机に向かっていた初老の男が椅子を回転させて振り向いた。
「やあ、待っていたよ。」
男は、蒔に軽く微笑むと、部屋の中央の治療台を指さした。蒔は、ゆっくりと部屋の中を進むと、治療用にセッティングされた椅子に恐る恐る腰掛けた。
「ひょっとして、怖くなって逃げてしまうのではと考えていたが、取り越し苦労だった様だ。」
「ま、まさか。。流石にあれだけの大金を頂いてしまったら、逃げようなんて気は起こりませんよ。」
高田はしばらく蒔を見つめていたが、やがてフッと一息漏らすとニコリと笑った。
「ま、それもそうか。。では、さっそく準備を始めようか。」
高田がそうい終わると、つい先程蒔が入ってきたドアが開き、1人の若い男が部屋の中に入ってきた。
蒔はギョッとしてその男を見た。今夜は高田と2人きりだとばかり思っていたからだった。
「せ、専務さん、これは一体。」
高田は、少し申し訳なさそうな表情をしながら、蒔に近づいてきた。
「いや、悪いが私にはうら若い女性を虐待する事など到底出来そうもないのでね。代わりにその筋のプロにきてもらったんだよ。」
「で、でも虐待なんて大袈裟なものでは。。」
「いや。。」
高田は蒔に同情しているかの様に、悲しげな顔で答えた。
「これはりっぱな虐待だよ。蒔さん。。
考えごらん。君の足、その美しい太股に焼き印を押そうというのだよ。これが虐待でなくて何だと言うんだ。」
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