瞳の奥の漁火～女をいたぶる狂気の女～

コヨーテ

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「いえ。。ご心配いただいてありがとうございます。でも、私だってちゃんと休んでいますから、大丈夫です。」

輝美は、寺崎に笑顔を見せると、一礼して本部を後にした。

これからすぐに京都に向かわなければならない。寺崎にはああ言ったものの、実際にはこの数日ほとんど寝ていない。いや、この事件を担当し始めてから、輝美に安眠の日など１日もなかった。

だが、犯人を捕まえる為ならそんな事は苦にならない。日増しに増えていく犠牲者達。彼女たちが味わった恐怖、苦痛、そして、消えることのない心の傷を警察関係者で誰よりも分かっているのは、他ならぬ自分なのだ。

〝私がやらなくて、誰がやるというの。
コヨーテ゛ですって？上等だわ。必ず犯人の喉に食らいついてやるわ。〝

署を出た輝美は、東京駅に向かおうとして、立ち止まった。


まただ。。
犯人の、奴らへの怒りがこみ上げると、必ず痛む。疼いて疼いてたまらなくなるのだ。


そう、右足の焼き印の跡が。。