瞳の奥の漁火~女をいたぶる狂気の女~

黒野拓海

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お灸

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「あああぁぁぁ~っ!あ、熱い。お、お願い、ハァ、ハァ、ハァ。。も、もう止め。。熱いいぃぃ~っ!」


背中全体が灼熱になり、呼吸が辛くなる、美波の肩、背中は大きく波打った。

顔の真下にある、手錠に繋がれた自分の両手は、美波自身から滴り落ちる汗にまみれていた。その手をギュッと握り締めて、必死に熱さに耐える。

アキラは美波の前にしゃがみ込んで苦しむ彼女の顔を見た。

「う~ん、いい表情だ。。だが、まだまだ限界じゃない筈だ。もっと楽しませてあげるよ。。」

アキラは、ベッドの上に置いてあった団扇を持ってくると、美波の背中を扇ぎ始めた。彼女の背中で燃えているお灸が、新鮮な酸素を吸い込んで激しさを増した。

「きゃああああああ~っ!熱いいいいぃぃぃぃぃ~っ!」

美波は苦痛と汗と涙で顔をグシャグシャ
にしながら悲痛な叫びを上げた。


美波の全身から脂汗が滴り始めた。
全身の痙攣が激しさを増す。

「お、お願。。お願い。。クッ、クククッ。。ツ、ツアアアァァ~ッ。。あ、熱。。熱いっ。。」

苦痛のあまり、まともに話す事の出来ない美波を、アキラは目を細めて見つめた。

「キミのその表情が好きだ。それがキミの全てだ。キミの存在意義はそれだけだ。だから。。」

「他には何も求めない。その代わり。。500万円分目一杯苦しんでもらうよ。」

アキラは、箱からお灸を2個取り出した。そして、手錠をかけられている美波の手の甲の上にお灸を乗せた。


「い、嫌っ。。もう許してっ!お、お願いっ!」

必死に許しを請う美波だが、無情にも彼女の両手の上のお灸にもすぐに火がつけられた。

「さあ、もっといい顔になるんだ。もっと、もっと私の為に苦しむんだ。」

アキラの声が号令だったかの様に、美波の両手のお灸は、すぐに耐えがたい程の熱さに達した。

一際大きな叫び声を上げ、必死に熱さに耐える美波。
その姿を、表情を、アキラは満足そうに見つめ、笑みを浮かべた。




ふと気が付くと、美波はベッドに横たわっていた。どうやら、お灸責めの後に意識を失ってしまったらしい。

部屋の明かりは、室内がかろうじて見通せる程度に照明が落ち、薄暗くなっている。

美波はゆっくりとベッドの上で起き上がった。背中と両手にはヒリヒリとした痛みが残っていたが、先程までの灼熱地獄に比べれば、むしろ心地よい位だった。

アキラは。。

美波は部屋の中を見回したが、彼の姿は見えなかった。
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