瞳の奥の漁火~女をいたぶる狂気の女~

黒野拓海

文字の大きさ
上 下
330 / 424
加虐の天使

3

しおりを挟む
哀しくなる程の痛みが奈緒美を責め立てた。しかも、間髪を入れずもう一度打たなければならない。

奈緒美は、無理矢理自分を奮い立たせて、続けざまにもう一発打ち込んだ。

痛い。。
心の芯が折れそうになる程の痛み。。

奈緒美は、悲しくなって声を出して泣き始めた。痛いからだけではなかった。
悲しくてたまらなくなってしまったのだ。

足に痛みを与えられる事を自分から望んでおきながら、一方で酷い目に遭っている自分が哀れになってくる。

なぜ。。
なぜこんなに苦しまなければならないのか。。

奈緒美は、泣きながらキーボードを叩いた。

゛お願いです。。もうお許し下さい。。痛くて、痛くてたまりません。お願い、許して。。゛

奈緒美は、無駄と分かっていながら、加虐の天使に許しを請うた。

しばらくすると、加虐の天使が返事を書き込んできた。

゛ダメだ。一度始めた罰は最後まて受けるのがルールの筈だろう?私を裏切る気なのか?許さないぞ。゛


゛す、すみません。。あまりに痛くて、本当に痛くて。。〝

ダメだ。加虐の天使にはなぜか逆らえない。

罰を受けると言っても、所詮は自虐なのだ。嫌ならやめればいいだけだ。

なのに。。

なぜか、加虐の天使に命令されると、忠実に実行せざるを得ない気持ちになる。
さっきの様に弱気になる自分が、次の瞬間には許せなくなっている。。

゛すみませんでした。。もう泣き言はいいません。。次の。。次の命令をお願いします。゛

奈緒美が書き込むと、加虐の天使は情け容赦なく次の過酷なリクエストを書き込んできた。

゛下ろし金を右の膝に両手で強く押しつけ、そのまま太股の付け根まで強く擦りなさい。皮膚が擦り下ろされてしまう位に思い切り強くだ。手加減しなければ、一度だけで許そう。゛

なんて惨い。。

だが、逆らうことは出来ない。

奈緒美は、脇に置いてあった下ろし金を両手で握り締めた。
そして、自分の右膝、皿の少し上の辺りに強く押し付けた。
下ろし金の表面の細かく鋭い凹凸が、皮膚に感じられた。

奈緒美は、またしても大きく息を吸い込んだ。

躊躇してはダメだ。
一気に。。一気にやってしまわなければ。。

奈緒美は、意を決すると、両手に力を込めた。そして、太股の付け根に向かって下ろし金を思い切り強く、一気に引きずった。
太股全体が、下ろし金で強く擦られると同時に、もの凄い痛みが奈緒美を襲った。皮膚を削り取られ、太股全体にみるみる血が滲み始めた。

奈緒美は、タオルを太股に押し当て、必死に苦痛に耐えた。

涙で霞んだ目でパソコンの画面を見ると、そんな奈緒美の姿をまるで側で見ているかの様に、加虐の天使が書き込んできた。

゛どうやら、少しは本気でやったみたいだな。痛いか?゛

情け容赦のないコメントだ。

゛今日は、これで許してやろう。゛

゛ありがとうございます。゛

許しをもらい、礼を言う奈緒美。

だが、本当の試練がこれからだという事が、奈緒美には分かっていた。

゛では。これで終了する。いつもの様にオキシドールでの消毒を忘れない様にな。゛

加虐の天使は、奈緒美の返事を待たずに退室していった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

パラサイト/ブランク

羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熾ーおこりー

ようさん
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞参加予定作品(リライト)】  幕末一の剣客集団、新撰組。  疾風怒濤の時代、徳川幕府への忠誠を頑なに貫き時に鉄の掟の下同志の粛清も辞さない戦闘派治安組織として、倒幕派から庶民にまで恐れられた。  組織の転機となった初代局長・芹澤鴨暗殺事件を、原田左之助の視点で描く。  志と名誉のためなら死をも厭わず、やがて新政府軍との絶望的な戦争に飲み込まれていった彼らを蝕む闇とはーー ※史実をヒントにしたフィクション(心理ホラー)です 【登場人物】(ネタバレを含みます) 原田左之助(二三歳) 伊代松山藩出身で槍の名手。新撰組隊士(試衛館派) 芹澤鴨(三七歳) 新撰組筆頭局長。文武両道の北辰一刀流師範。刀を抜くまでもない戦闘の際には鉄製の軍扇を武器とする。水戸派のリーダー。 沖田総司(二一歳) 江戸出身。新撰組隊士の中では最年少だが剣の腕前は五本の指に入る(試衛館派) 山南敬助(二七歳) 仙台藩出身。土方と共に新撰組副長を務める。温厚な調整役(試衛館派) 土方歳三(二八歳)武州出身。新撰組副長。冷静沈着で自分にも他人にも厳しい。試衛館の弟子筆頭で一本気な男だが、策士の一面も(試衛館派) 近藤勇(二九歳) 新撰組局長。土方とは同郷。江戸に上り天然理心流の名門道場・試衛館を継ぐ。 井上源三郎(三四歳) 新撰組では一番年長の隊士。近藤とは先代の兄弟弟子にあたり、唯一の相談役でもある。 新見錦 芹沢の腹心。頭脳派で水戸派のブレインでもある 平山五郎 芹澤の腹心。直情的な男(水戸派) 平間(水戸派) 野口(水戸派) (画像・速水御舟「炎舞」部分)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...