瞳の奥の漁火~女をいたぶる狂気の女~

黒野拓海

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巨大な地下室

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1ヶ月後の週末の夜、美穂はTDLの地下にある広大な地下室にいた。

日本一有名な巨大テーマパークの地下にまさかこんな施設があるとは誰も思わないだろう。

美穂は、数十メートルはある高い天井を見上げながら、圧倒された。周囲は人で溢れかえっている。フロアの中央には、まるで格闘技のリングの様なステージが設けられていた。
ここで今夜何が起こるのか、美穂には想像もつかなかった。

知らされている事は、抽選でゲストの中から1人が選出され、美穂達キャストの中の誰かが、その人間の願望を叶える為に奉仕しなければならないという事だけだった。

ゲストのリクエストには、絶対服従

これは契約の時に強く言われていた事だった。
美穂は、ゲストのリクエスト内容については知る由もなかったが、最悪体を許す事になるかもしれないという覚悟はしていた。あれだけ法外な報酬が得られるのだから、それ位のリスクはむしろ当然とも思えた。
もちろん、覚悟はしていても今夜ここに来るまでは、不安で一杯だった。しかし、実際に会場に入ってみると、想像以上にキャストが多い事がわ分かり、少し安堵を覚えた。これだけの人数の中から1人を選ぶのであれば、自分が選ばれる確率はかなり低いだろう。

美穂は最初に比べて幾分リラックスしながら、改めて会場内を見渡した。

少し離れた壁際にバーカウンターが見える。

キャストも飲めるのかしら。。

少し緊張が溶けてきた美穂は、ゆっくりとバーカウンターに近づき、スタッフに声をかけた。

「すみません。キャストの私も飲ませてもらえるのかしら。」

スタッフは若い男だったが、美穂の方を見ると、満面の笑みを浮かべた。


「もちろんですよ。キャストの方も、今夜の主役に選ばれなければ、りっぱなゲストですからね。」

「そう、よかった。じゃあ、ボッチェボールを作って頂けるかしら。」

スタッフは、ニコリと笑うと、シェイカーを取り出し、準備を始めた。

美穂がカウンターの椅子に腰掛けると、突然背後から歓声が上がった。

振り返ってみると、中央のリングに黒いスーツ姿の若い女が上がってくるのが見えた。女は、リングの中央に立つと、深々と頭を下げ、場内のゲストに挨拶した。
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