瞳の奥の漁火~女をいたぶる狂気の女~

黒野拓海

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神の手

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「お、お願い。。手。。手だけは許して。。」

美咲の悲愴な顔は、木刀で殴られている手の痛みだけではなかった。
手を潰されれば、もうスリが出来なくなる。スリは美咲の全てだった。悪質な犯罪であり、畜生にも劣る行為だが、他に生きていく方法はなかった。それが今、美咲の唯一の希望が失われようとしていた。

美羅は、美咲の悲痛な叫びを無視して、ひたすら木刀を振るい続けた。


しばらくして、美羅が木刀を床に投げ捨てた時には、美咲の両手は見るも無惨な状態になっていた。

両手の指の骨は全て折れていた。手は大きく腫れ上がり、赤と真紫に変色していた。

美羅は、息を弾ませながら言った。

「どう?痛い?、これでもう゛神の手゛なんてふざけた技も使えないわね。」

美咲は、グッタリとしながらも美羅の言葉に反応した。

「な。。なぜ。。私の技を。。」

「さあ、何故かしらね。」

美羅は、意味ありげに二階堂を見た。
すると、二階堂は美咲の前にしゃがみ込んで、彼女をじっと見つめた。

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