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悪魔もひれ伏す女
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理絵がボタンを押すと、すぐに針はその動きを停止した。
理絵は、すぐに右腕の衝撃に備えて歯を食いしばったが、右腕の部分はすぐには動き出さなかった。
この一瞬の間、太股の激痛から解放された事で、理絵の緊張感はほんのわずかながら緩んでしまった。
無理もなかった。苦痛に耐える事に対して何の訓練も受けていないのだ。
誰でもそうなる。
そして、この一瞬の間は、そうした人間の心理に巧みにつけ込む為にプログラムされていたのだ。
゛ボキッ゛
正常な精神状態の人間ならば、思わず耳を塞ぎたくなる様な、醜悪な音が場内に響き、理絵の右腕は肘の部分から大きく後ろに折れ曲がった。
同時に、凄まじい絶叫が轟いた。
ほんの一瞬、気を抜いたタイミングで腕を折られた理絵は、その痛みをまともに受けてしまった。身構えてさえいれば、例えほんの数パーセントでも苦痛を和らげる事が出来たかもしれなかった。
しかし、今の理絵にはそれを悔いる余裕さえなかった。
理絵は美しい顔を激しく歪めて、泣き叫んだ。90度近く折れ曲がった彼女の肘からは、折れた骨が飛び出している。
この凄まじい光景に、場内が息を呑んだ。
ゲストも、泣き叫ぶ理絵を見つめながら沈黙していたが、やがて摩耶を見つめると感嘆の吐息を漏らした。そして、彼が摩耶に何か話しかけようとした途端、理絵が一際激しい悲鳴を上げた。
「いやあああぁぁぁぁ~っ!痛いいぃぃ~っ!何でよっ!止めるって言ったでしょ?早く止めて~っ!」
半ば半狂乱になってパニック状態で叫ぶ理絵に、場内が騒然となった。
そう。止まった筈の右足の針が、再び動き出したからだった。
摩耶が
「あら、ごめんなさい。機械の故障かしら。嘘をついたつもりはないんだけど、ま、運が悪かったと諦めてね。」
と言うと、予想外の展開に場内から大きな歓声が上がった。
「だ、騙したのね!この悪魔!汚いわ、許さな。。
きゃああああああああぁぁぁぁぁぁ~っ!痛いいいいぃぃぃぃ~っ!」
理絵は激しい苦痛に襲われながらも、摩耶に向かって叫ぼうとした。しかし、針が速度を早めて彼女の太股に深く突き刺さり始めた為、もはや話す事は出来なかった。
場内の皆がこの残酷な光景に釘付けになっている中、香奈恵だけが摩耶を見つめていた。
「なかなかやるじゃない。」
彼女は摩耶に一言だけ話しかけると、黙って見つめていた。
摩耶は、深々と頭を下げた。
冷ややかに摩耶にそそがれた香奈恵の視線は、摩耶に゛次はお前だ゛と忠告していた。
摩耶と香奈恵がにらみ合うすぐそばで、理絵は悲痛な叫びを上げ続けていた。
彼女の地獄は、これからが本番だった。
理絵は、すぐに右腕の衝撃に備えて歯を食いしばったが、右腕の部分はすぐには動き出さなかった。
この一瞬の間、太股の激痛から解放された事で、理絵の緊張感はほんのわずかながら緩んでしまった。
無理もなかった。苦痛に耐える事に対して何の訓練も受けていないのだ。
誰でもそうなる。
そして、この一瞬の間は、そうした人間の心理に巧みにつけ込む為にプログラムされていたのだ。
゛ボキッ゛
正常な精神状態の人間ならば、思わず耳を塞ぎたくなる様な、醜悪な音が場内に響き、理絵の右腕は肘の部分から大きく後ろに折れ曲がった。
同時に、凄まじい絶叫が轟いた。
ほんの一瞬、気を抜いたタイミングで腕を折られた理絵は、その痛みをまともに受けてしまった。身構えてさえいれば、例えほんの数パーセントでも苦痛を和らげる事が出来たかもしれなかった。
しかし、今の理絵にはそれを悔いる余裕さえなかった。
理絵は美しい顔を激しく歪めて、泣き叫んだ。90度近く折れ曲がった彼女の肘からは、折れた骨が飛び出している。
この凄まじい光景に、場内が息を呑んだ。
ゲストも、泣き叫ぶ理絵を見つめながら沈黙していたが、やがて摩耶を見つめると感嘆の吐息を漏らした。そして、彼が摩耶に何か話しかけようとした途端、理絵が一際激しい悲鳴を上げた。
「いやあああぁぁぁぁ~っ!痛いいぃぃ~っ!何でよっ!止めるって言ったでしょ?早く止めて~っ!」
半ば半狂乱になってパニック状態で叫ぶ理絵に、場内が騒然となった。
そう。止まった筈の右足の針が、再び動き出したからだった。
摩耶が
「あら、ごめんなさい。機械の故障かしら。嘘をついたつもりはないんだけど、ま、運が悪かったと諦めてね。」
と言うと、予想外の展開に場内から大きな歓声が上がった。
「だ、騙したのね!この悪魔!汚いわ、許さな。。
きゃああああああああぁぁぁぁぁぁ~っ!痛いいいいぃぃぃぃ~っ!」
理絵は激しい苦痛に襲われながらも、摩耶に向かって叫ぼうとした。しかし、針が速度を早めて彼女の太股に深く突き刺さり始めた為、もはや話す事は出来なかった。
場内の皆がこの残酷な光景に釘付けになっている中、香奈恵だけが摩耶を見つめていた。
「なかなかやるじゃない。」
彼女は摩耶に一言だけ話しかけると、黙って見つめていた。
摩耶は、深々と頭を下げた。
冷ややかに摩耶にそそがれた香奈恵の視線は、摩耶に゛次はお前だ゛と忠告していた。
摩耶と香奈恵がにらみ合うすぐそばで、理絵は悲痛な叫びを上げ続けていた。
彼女の地獄は、これからが本番だった。
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