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報酬
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数日後、摩耶は学校が終わると、隣の駅のファミレスに向かった。
店内に入ると、少し離れた席から弥生が手を振っているのが見えた。
摩耶は彼女と同じテーブルに着くと、コーヒーを注文した。
弥生は、摩耶の顔をじっと見つめていたが、やがて、ニッコリと微笑んだ。
「うまくいって良かったわね!」
弥生は本当に嬉しそうにカフェオレを飲んだ。
「最初、あなたからこの提案を持ちかけられた時には正直悩んだわ。でも。。」
弥生はカップの中を覗きながら小さく溜息をついた。
「あの子達が私を襲う事を計画していると聞いて、決心がついた。あなたには大変な思いをさせたけど、これで私にも平穏な日々がやってくるわね。それにしても。。」
弥生は包帯を巻いた腕を摩耶に見せた。
「これは痛かったわよ。事前に聞いてもいなかったから、すっかりパニックになってしまって。」
「すみませんでした。あいつらに罠だと悟られない為に、先生には迫真の演技をしてもらう必要があったから。」
「ええ。分かっているわ。」
「ところで、先生?あの。。報酬の件なんですけど。」
「大丈夫、ちゃんとご指定の物を買ってきたわよ。でも。。意外ね。中学生のあなたがこんな物を欲しがるなんて。」
摩耶は、弥生から大きな手提げ袋を受け取った。
ズッシリと重みが伝わってくる。
摩耶は、周囲を少し見渡してから、袋の中を覗き込んだ。
「そうそう、貴子ちゃんにも、お礼しなくちゃね。」
「ええ。。でも、彼女は純粋に鮎良たちが犯人だと信じきっています。私たちが罠を張った事は一切知らないので、その点は十分に注意して下さいね。」
摩耶は袋の中にある黒光りする物を確認して、満足げに弥生を見た。
「ありがとうございます。こういうのって、子供には入れない店でしか買えないので。。」
「それにしても、ゴツい鞭よね~
私ね、家でちょっと借りて、先っぽだけで軽く肘を叩いてみたの。。そしたらそれだけでもびっくりする位痛かったわ。」
弥生は、その時の事を思い出したのか、顔をしかめて手をさすった。
「これは。。鞭の中に金属の芯が入っていて、非力な人でも、破壊力が出せるんです。」
弥生は、身を乗り出してこちらを観ていたが、やがて興味深そうに摩耶に尋ねた。
「ねえ。。そんな物、一体何に使うの?」
私は、弥生に向かってサラりと言った。
「嫌だなあ、先生。これ鞭だもん、もちろん人を打つんですよ、人を! それも先生。。弥生先生をですよっ! トボけちゃってもう、先生ったら!」
店内に入ると、少し離れた席から弥生が手を振っているのが見えた。
摩耶は彼女と同じテーブルに着くと、コーヒーを注文した。
弥生は、摩耶の顔をじっと見つめていたが、やがて、ニッコリと微笑んだ。
「うまくいって良かったわね!」
弥生は本当に嬉しそうにカフェオレを飲んだ。
「最初、あなたからこの提案を持ちかけられた時には正直悩んだわ。でも。。」
弥生はカップの中を覗きながら小さく溜息をついた。
「あの子達が私を襲う事を計画していると聞いて、決心がついた。あなたには大変な思いをさせたけど、これで私にも平穏な日々がやってくるわね。それにしても。。」
弥生は包帯を巻いた腕を摩耶に見せた。
「これは痛かったわよ。事前に聞いてもいなかったから、すっかりパニックになってしまって。」
「すみませんでした。あいつらに罠だと悟られない為に、先生には迫真の演技をしてもらう必要があったから。」
「ええ。分かっているわ。」
「ところで、先生?あの。。報酬の件なんですけど。」
「大丈夫、ちゃんとご指定の物を買ってきたわよ。でも。。意外ね。中学生のあなたがこんな物を欲しがるなんて。」
摩耶は、弥生から大きな手提げ袋を受け取った。
ズッシリと重みが伝わってくる。
摩耶は、周囲を少し見渡してから、袋の中を覗き込んだ。
「そうそう、貴子ちゃんにも、お礼しなくちゃね。」
「ええ。。でも、彼女は純粋に鮎良たちが犯人だと信じきっています。私たちが罠を張った事は一切知らないので、その点は十分に注意して下さいね。」
摩耶は袋の中にある黒光りする物を確認して、満足げに弥生を見た。
「ありがとうございます。こういうのって、子供には入れない店でしか買えないので。。」
「それにしても、ゴツい鞭よね~
私ね、家でちょっと借りて、先っぽだけで軽く肘を叩いてみたの。。そしたらそれだけでもびっくりする位痛かったわ。」
弥生は、その時の事を思い出したのか、顔をしかめて手をさすった。
「これは。。鞭の中に金属の芯が入っていて、非力な人でも、破壊力が出せるんです。」
弥生は、身を乗り出してこちらを観ていたが、やがて興味深そうに摩耶に尋ねた。
「ねえ。。そんな物、一体何に使うの?」
私は、弥生に向かってサラりと言った。
「嫌だなあ、先生。これ鞭だもん、もちろん人を打つんですよ、人を! それも先生。。弥生先生をですよっ! トボけちゃってもう、先生ったら!」
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