瞳の奥の漁火～女をいたぶる狂気の女～

回想

1

思えば、今まで何人の女を虐待してきたのだろう。
摩耶は鏡に映る自分の顔をじっと見つめた。

綺麗だ。。
どこから見ても完璧。実際、街を歩いても、振り返らない男は１人としていないと言っていい。
まさに非の打ち所のない美しさだ。

ナミは自分のこの美しさが、沢山の女達の犠牲の上に形成されたものだと言ったが、それはおそらく真実なのだろう。
にわかには信じがたい話だが、美菜を見ていれば分かる。

初めて会った時から、既に類稀な容姿をしていた彼女だが、日々摩耶にいたぶられ、また一方で摩耶を虐待する事で、今も進化を続けている。
やがて、彼女は摩耶でさえひれ伏すような、化け物の様な美しさを手に入れるだろう。

それについて、同じ女として嫉妬を覚えない事もない。
だが、摩耶にとっては美菜が美しく成長してくれる事の方がずっと嬉しい。なぜなら、獲物が美しければ美しい程、摩耶の悦びも大きくなるのだから。

悦び。

そう。今日まで続けてきた暴虐は、決して美しくなりたかったからではなかった。それは、摩耶の〝裏の性〝が解放された結果でしかない。
全ては、摩耶の加虐への欲望を満たす為だった。
摩耶は、自分が気に入った子、綺麗な子をいたぶる為には、どんな手でも使ってきた。

これからも、この生き方を変えることはできないだろう。

〝裏の性〝を解放する悦びを知ってしまった以上は。。

摩耶が、初めて自分の性癖を自覚し始めたのは、小学校低学年の時だった。もちろん、最初はその意味さえも分かってはいなかったが。。

美菜は、次第に幼い頃の記憶を蘇らせ始めていた。