127 / 424
私自身
1
しおりを挟む
「1人足らないって。。な、なんの事かしら!?」
美菜は、摩耶の言葉の意味が分からなかった。
いや。。
分からないふりをしたと言った方が良いかもしれない。
摩耶は、そんな美菜を追い込んでいくのを、楽しんでいるかの様だった。
「ナミさんという人格が現れた理由、それは、美菜さん自身に気付かれない様に〝裏の性〝を表に出す為だった。そして、その結果、加虐の性癖は解放された。
だとすれば、もう一方の被虐の性癖にも、解放される為の人格が必要なハズです。そうですよね?
でも、美菜さんの中にそんな人格は存在していない。
実際、被虐の性癖は美菜さんを通じて解放されているのにですよ。これはどういう事でしょう。」
「理由は一つしかありません。簡単な話です。
それは。。」
「お、お願い!言わないで。。」
美菜は摩耶にそう叫びながら、両手で耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。
しかし、摩耶は黙ってはくれなかった。
「美菜さん、あなたは最初から被虐の性癖を自覚していたんでしょ?」
言ってしまった。。
美菜が誰にも言えなかった事を、摩耶が口にしてしまった。
「これは想像ですが、美菜さんの本能が2つの〝裏の性〝を解放しようとした時、本能はおそらく2つの人格を用意しようとしたに違いありません。でも、美菜さんは被虐の性癖を解放する役を、別の人格に譲りたくなかった。。」
「だから美菜さんは、自分の分身であるナミさんをも欺き、哀れなヒロインを演じながら、その一方で。。」
摩耶は小さな溜息をついてから、静かに言った。
「解放されたいなんて嘘。あなたは日々、ナミさんにいたぶられる快楽に密かに酔いしれていたんです。」
「ナミさんも、美菜さんが演技をしているとは夢にも思わなかったみたいです。
でも、今まで何人もの女性を虐待してきた私は、責めている時の美菜さんの〝反応〝
でそれに気付いてしまったんです。」
美菜は、ガックリとうなだれながら、ただ摩耶の話を聞いていた。
摩耶は、美菜の前に腰を落とすと、美菜の顎に手を当て、優しく顔を持ち上げた。
「美菜さん。。
私の責めに従順に反応しつつ、一方で悦びを必死で隠そうとするあなたは、
とても可愛かったわ。。」
摩耶は、暗闇の中で目を細め、美菜を愛しそうに見た。
「これからはナミとしてではなく、逸見麻耶として、あなたをいたぶってあげる。。
真実が明らかになった今、もう私が無理にナミを演じる必要はないものね。
もちろん。。
あなたがナミとして私に会いに来る時は、私をどんなに惨く虐待しても構わない。
それがあなたをより美しくする事になるのなら、そんなのちっとも苦にならないわ。
もっともっと、綺麗になってね。
そして。。
その上で私の為に泣いてね、叫んでね、苦しんでね。」
美菜は、麻耶に顔を委ねたまま、目を閉じた。
無理だ。。
美菜には、もう摩耶に逆らう事が出来ないのは分かっていた。
体に刻み込まれた激しい痛み、その悦びを、忘れられるハズがなかった。
麻耶は、そんな美菜の心理を巧みに読んでいた。
「美菜さん、あなたに必要なのは私なの。
あなたには、彼氏なんて必要ない。さっさと別れてしまいなさい。
会う回数を減らせですって?
体に傷が残らない様に責めろですって?
ウフフフッ!
そんな事できる訳ないでしょ?」
麻耶は子供でもあやすかの様に微笑みながら、
美菜に言った。
そう、そんな事ができる訳がないのは、最初から
分かり切っていたのだ。
なぜなら、美菜自身がそんな事を望んでもいないのだから。
美菜は、摩耶の言葉の意味が分からなかった。
いや。。
分からないふりをしたと言った方が良いかもしれない。
摩耶は、そんな美菜を追い込んでいくのを、楽しんでいるかの様だった。
「ナミさんという人格が現れた理由、それは、美菜さん自身に気付かれない様に〝裏の性〝を表に出す為だった。そして、その結果、加虐の性癖は解放された。
だとすれば、もう一方の被虐の性癖にも、解放される為の人格が必要なハズです。そうですよね?
でも、美菜さんの中にそんな人格は存在していない。
実際、被虐の性癖は美菜さんを通じて解放されているのにですよ。これはどういう事でしょう。」
「理由は一つしかありません。簡単な話です。
それは。。」
「お、お願い!言わないで。。」
美菜は摩耶にそう叫びながら、両手で耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。
しかし、摩耶は黙ってはくれなかった。
「美菜さん、あなたは最初から被虐の性癖を自覚していたんでしょ?」
言ってしまった。。
美菜が誰にも言えなかった事を、摩耶が口にしてしまった。
「これは想像ですが、美菜さんの本能が2つの〝裏の性〝を解放しようとした時、本能はおそらく2つの人格を用意しようとしたに違いありません。でも、美菜さんは被虐の性癖を解放する役を、別の人格に譲りたくなかった。。」
「だから美菜さんは、自分の分身であるナミさんをも欺き、哀れなヒロインを演じながら、その一方で。。」
摩耶は小さな溜息をついてから、静かに言った。
「解放されたいなんて嘘。あなたは日々、ナミさんにいたぶられる快楽に密かに酔いしれていたんです。」
「ナミさんも、美菜さんが演技をしているとは夢にも思わなかったみたいです。
でも、今まで何人もの女性を虐待してきた私は、責めている時の美菜さんの〝反応〝
でそれに気付いてしまったんです。」
美菜は、ガックリとうなだれながら、ただ摩耶の話を聞いていた。
摩耶は、美菜の前に腰を落とすと、美菜の顎に手を当て、優しく顔を持ち上げた。
「美菜さん。。
私の責めに従順に反応しつつ、一方で悦びを必死で隠そうとするあなたは、
とても可愛かったわ。。」
摩耶は、暗闇の中で目を細め、美菜を愛しそうに見た。
「これからはナミとしてではなく、逸見麻耶として、あなたをいたぶってあげる。。
真実が明らかになった今、もう私が無理にナミを演じる必要はないものね。
もちろん。。
あなたがナミとして私に会いに来る時は、私をどんなに惨く虐待しても構わない。
それがあなたをより美しくする事になるのなら、そんなのちっとも苦にならないわ。
もっともっと、綺麗になってね。
そして。。
その上で私の為に泣いてね、叫んでね、苦しんでね。」
美菜は、麻耶に顔を委ねたまま、目を閉じた。
無理だ。。
美菜には、もう摩耶に逆らう事が出来ないのは分かっていた。
体に刻み込まれた激しい痛み、その悦びを、忘れられるハズがなかった。
麻耶は、そんな美菜の心理を巧みに読んでいた。
「美菜さん、あなたに必要なのは私なの。
あなたには、彼氏なんて必要ない。さっさと別れてしまいなさい。
会う回数を減らせですって?
体に傷が残らない様に責めろですって?
ウフフフッ!
そんな事できる訳ないでしょ?」
麻耶は子供でもあやすかの様に微笑みながら、
美菜に言った。
そう、そんな事ができる訳がないのは、最初から
分かり切っていたのだ。
なぜなら、美菜自身がそんな事を望んでもいないのだから。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
パラサイト/ブランク
羊原ユウ
ホラー
舞台は200X年の日本。寄生生物(パラサイト)という未知の存在が日常に潜む宵ヶ沼市。地元の中学校に通う少年、坂咲青はある日同じクラスメイトの黒河朱莉に夜の旧校舎に呼び出されるのだが、そこで彼を待っていたのはパラサイトに変貌した朱莉の姿だった…。
熾ーおこりー
ようさん
ホラー
【第8回ホラー・ミステリー小説大賞参加予定作品(リライト)】
幕末一の剣客集団、新撰組。
疾風怒濤の時代、徳川幕府への忠誠を頑なに貫き時に鉄の掟の下同志の粛清も辞さない戦闘派治安組織として、倒幕派から庶民にまで恐れられた。
組織の転機となった初代局長・芹澤鴨暗殺事件を、原田左之助の視点で描く。
志と名誉のためなら死をも厭わず、やがて新政府軍との絶望的な戦争に飲み込まれていった彼らを蝕む闇とはーー
※史実をヒントにしたフィクション(心理ホラー)です
【登場人物】(ネタバレを含みます)
原田左之助(二三歳) 伊代松山藩出身で槍の名手。新撰組隊士(試衛館派)
芹澤鴨(三七歳) 新撰組筆頭局長。文武両道の北辰一刀流師範。刀を抜くまでもない戦闘の際には鉄製の軍扇を武器とする。水戸派のリーダー。
沖田総司(二一歳) 江戸出身。新撰組隊士の中では最年少だが剣の腕前は五本の指に入る(試衛館派)
山南敬助(二七歳) 仙台藩出身。土方と共に新撰組副長を務める。温厚な調整役(試衛館派)
土方歳三(二八歳)武州出身。新撰組副長。冷静沈着で自分にも他人にも厳しい。試衛館の弟子筆頭で一本気な男だが、策士の一面も(試衛館派)
近藤勇(二九歳) 新撰組局長。土方とは同郷。江戸に上り天然理心流の名門道場・試衛館を継ぐ。
井上源三郎(三四歳) 新撰組では一番年長の隊士。近藤とは先代の兄弟弟子にあたり、唯一の相談役でもある。
新見錦 芹沢の腹心。頭脳派で水戸派のブレインでもある
平山五郎 芹澤の腹心。直情的な男(水戸派)
平間(水戸派)
野口(水戸派)
(画像・速水御舟「炎舞」部分)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる