敗戦の姫

人魔戦争

奴は自ら勇者と名乗り先頭を切ったがやはり種族の違い科学も魔法も兼ね揃えていたという技術の違いにより、圧倒的敗戦の目が見えていたにも関わらず贄とも取れるような戦い方をする特攻作戦に出た。

自分さえ生き延びれればあとは知らぬ

と言わんばかりに奴は自身が危険になったら人を盾にし時には差し出し意地汚く生き残ってみせた。これが勇者と呼ばれる者の真の姿である。傲慢でずる賢い欲の強い人間に他ならない。傲慢な男は自分の犯した罪を全て魔王に擦り付け好いた女を凌辱し孕ませ悦に浸る一生であった。


「つまりは勇者の末裔は凌辱した傲慢男の遺伝子を持っているってこと?」
「聖女としての側面も昔はあった。じゃが、女であれば身内にも手を出す為呪われ生まれなくなったがな」
「女系遺伝子の消失……」

くだらないたった一人の屑な男によって世界までも混沌と化す。集団心理と承認欲求、優越感が暴走した結果の大敗なんて。しかも、それだけでは飽き足らず身内にまで手をかけるとは惨すぎる。

「王族も勇者も鎖果てておる。国は既に傾きかけているのに蓋をし見ないようにしておる。為政者としてあってはならぬ」
「ええ。自国を守れぬ為政者など要りませぬ」
「聖女、主は民を守りたいか?」
「私の国民達ですもの」
「お前が立て。手助けくらいしてやる」
「ありがとうございます」


魔王からまさかの独立の手助けを約束されるとは。これで1人でも多くの民が救える。