俺の嫁成長記

壱婁

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番外編

クリスマスデート

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恋人達の聖なる夜

教会や街の節々から聖歌や讃美歌がこの国を包み込むクリスマス

俺がこの街や国で初めてのクリスマスを愛する人と過ごせる事は恵まれた幸運なのだろう。




日本に居た頃は商戦だテストだ卒試だとクリスマスに関する思い出は無いに等しい。会社は3連休となりクリスマス市や街中で買い物をし、当日は教会に出向きミサを受ける。

イルミネーションも音楽も綺麗で少年少女や淑女たちの歌声が響き渡る中、りぃちゃんと手を繋ぎながら帰るのもこの時期ならではの楽しみであったりする。


「はじめてイルミネーションなるものを観ました。ただの灯りかと思っていたのですが、百聞は一見に如かずですね。こんなに綺麗だとは」
「日本じゃただ派手に照らしているだけの事が多いからここは本当に綺麗だよ」
「見栄と傲慢でできてますからね。今は」


会話は相変わらず棘を含むが嬉しそうに微笑むりぃちゃんに俺も嬉しくてしかたがない。


「神は傲慢ですが、人はその上を行きます。嫉妬心が強くて傲慢で欲深いですが、たまに綺麗なものや想像以上の事を生み出すのもまた人なのですし」
「だからこそ発展と後退を繰り返すってね」


いつもより饒舌なのは楽しんでいる証拠であり頬を赤らめながら街の中でチェロの音に乗りステップを踏む少女と女性の間を行き来する熟しきってない果実の様な儚げで艶やかな恋人に心奪われてしまう。


天使とはこういう事なのだろうか。



ただ慰み者として国に飼われていた人形だった子が喜怒哀楽を露わにし踊る昔はごく当たり前に居た少女になった。人として生きるようになったと思う俺は傲慢な人間だろう。

だが、人として生きているりぃちゃんを俺は見たかった。ただそれだけのエゴだ。


「クリスマスなのでノンアルのシャンパンを買って帰りましょう。そしてオードブルを食べながらのんびり過ごすのです」
「ローストビーフを食べながら映画観たいな」
「採用します」


怒涛だった今年もあと少しで終わると思うと複雑だけどね。


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